「麗子像」

岸田劉生の「麗子像 童女図」。
若い頃からずっと部屋に飾ってある。
大きな複写の絵なのだが、
この絵のどこに魅せられたのだろう?

四角く扁平な浅黒い顔におかっぱ髪、
一重まぶたの細い目は何を見ているのか?
赤い着物と異様に細い腕と小さな手。
劉生は娘麗子をなぜこのように描いたのか?

現実的で卑近味、猥雑で濃厚、皮肉で淫蕩。
変態的快感とグロテスクな牽引と怖いもの見たさ。
皮膚に貼り付くねっとりした湿った感覚。
可愛い娘が劉生の絵画観でこの絵に変貌した。

実は劉生の麗子の絵は五十点はくだらないという。
「麗子五歳之像」などは実物に似て可愛い少女だ。
歳を経る毎に鏡餅のような押し潰れた顔になった。
ボクはその潰れた麗子が目に焼き付いて離れないのだ。