鶏から神気を感じる

犬や猫などの動物には
心を通わせることができるが、
鳥には心が通じにくい。
表情がないから
何を考えているかわかりにくい。
しかし、神気を感じることができれば
鳥の心がわかるという。
伊藤若冲は鶏から神気を感じようとした。

若冲は鶏をいつまで見ていても飽きない。
神気を感じようとしたからだ。
鶏を見つめに見つめ絵にしたためた。
「神気を描けば絵に命を与えることができる」
若冲の描く鶏はまるで生きているよう。
首を動かし羽根を動かしているように見える。
絵の鶏に生きた動きが存在する。
若冲の画期的な鶏の絵である。

真っ赤なトサカ、長い茶色の首毛、
がっしりと大地を踏む二本の脚、
厳ついギョロ目で世界を圧倒する。
若冲が描く鶏は精気が漲っている。
派手に堂々と君臨する「小国鶏」、
今にも戦闘に立たんとする「赤色野鶏」。
「仙人掌群鶏図」や「蕪に双鶏図」、
「紫陽花双鶏図」「大鶏雌雄図」、
「南天雄鶏図」など魅せられてやまない。