真相は藪の中

平安時代、
男が一人死んでいた。
夫婦になった二人が
男の故郷へ行く途中のことだった。

男は殺されたと思われた。
盗賊がつかまり、
自分が殺したと白状した。
女を妻にしたいと思ったからだと。

逃げた女が告白するに
夫の蔑んだ冷たい視線によって、
自分が夫を殺したと懺悔。
自分は死にきれなかったと。

巫女が死んだ夫の口を借り、
もの申すに、
自分は妻に裏切られ、
自ら小刀で命を絶ったと。

男の死は藪の中でのこと。
真相はわからず藪の中。
芥川龍之介の『藪の中』が
その言葉を生み出したのか。