山田太一のセリフ
山田太一の脚本と知れば
そのドラマを見たくなった。
日常の何気ない生活の
人々の会話が秀逸だった。
「男たちの旅路」の
鶴田浩二と水谷豊。
「岸辺のアルバム」の
八千草薫と杉浦直樹。
「ふぞろいの林檎たち」の
中井貴一や石原真理子ら。
「沿線地図」の岸惠子と
笠智衆の孤独なお祖父さん。
しかし僕のいちばんは
「早春スケッチブック」。
老いたカメラマンを演じる
山崎努のセリフが鬼気迫る。
死期が迫る沢田竜彦は
望月和彦に俺の子と言い、
男とはどういうものかを
吐き捨てるように諭す。
「我慢するってことを
訓練しておかなきゃいけない。
そうしないと肝心なときに
魂に力がこもらない」
この言葉から自分を甘やかして
好きなようにしていると
肝心なときに堪えられない
人間になると思い知った。
貴重なドラマだった。
*山田太一さんのご冥福をお祈りします。