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PERCHの聖月曜日 23日目
接触面の離れ易さも一つの彫刻の技巧である。魚族の水中を遊泳し易さ。人間の乃至鳥類の空中を走り易さ。総て接触面から来る特異さ快適さも彫刻の一つの役割である。刀の切れ味など云ふことは俗悪極まることであるが。柿の種子にも一種の彫刻的特殊性を見出すことが出来る。彫刻と空間との接触面も亦同様である。宇宙間に存在する総てのものがその周囲との最も天然自然なる存在性。ここに法則の一面がある。一面の法則に因つて存在する総て。総てを確立する法則。彫刻の原則もここに存在する。人の総てを解決する原則もここに存在する。
––––橋本平八『純粋彫刻論』1942年(復刻版2012年、伊勢文化舎)
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Anishinaabe, probably Ottawa, Native American
ca. 1800