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PERCHの聖月曜日 110日目

私が書物の印刷を始めたのは、美しさへの明確な要求を持つと同時に、読みやすく眼をちらつかせることなく、また奇妙な書体によって、読書の知性を乱すことのない書物を作るためである。私はいつも中世紀の写本文字と、それにとって代った初期印刷文字の讃美者であった。十五世紀の書物についていえば、私は、それらの多くに過剰に施されている飾りなどなくても、単に印刷された活字だけでいつも美しいことを認めてきた。そこで印刷した活字と、それらが並んだものを見たときにも、一つの喜びとなるような書物を生みだすことが、私の企ての要となった。このような考えから、私の冒険を眺めてみると、私はおもにつぎのような点を考慮しなければならないことを理解した。つまり、用紙、活字の書体、文字、単語、そして(行)との相関的な間隔・・・

ーーーウィリアム・モリス「ケルムスコット・プレス設立の趣意書」『西洋の書物工房 ロゼッタ・ストーンからモロッコ革の本まで』貴田庄,朝日新聞出版,2014年,p68

Portrait of John Ruskin
Sir Hubert von Herkomer
Sitter John Ruskin
1879–81

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