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VATER症候群 娘が生まれた当日のこと

難病の娘と歩む父です。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。

今回は、VATER症候群(VACTERL連合)とわかっていた娘が生まれた当日、どのようなことがあったか記します。

VATER症候群、VACTERL連合(ばーたーしょうこうぐん、ばくたーるれんごう)の定義は、前回の記事をご覧ください。


計画分娩ではなく、帝王切開へ

ある日の正午ごろ、娘は産声をあげました。
私は仕事中でしたが、事前に娘の病気や出産予定日を伝えていました(病名までは伝えていないですが)。そのため、まもなく生まれるという知らせを妻からもらい、上長に言って午後休を取り、病院に向かいました。

尚、妻は出産の4日ほど前から入院していました。血圧が150以上ほどある状態が3日ほど続いたためです。
出産予定日ごろに促進剤を打って産む「計画分娩」を予定していました。しかし、血圧が180ほどまで上がることがありました。そのため、妻と娘のことを考えて帝王切開をすることになりました。結果、予定日より2日早い出産となりました。

待望の面会 

いよいよ、です。
妻は病室で休んでいて、まだ面会はできません。しかし、子供には面会ができます。

子供は、NICUにいました。

※NICU…新生児特定集中治療室と呼ばれる病棟。予定日よりかなり早く生まれてしまったり、体重が標準よりもかなり小さかったり、 生まれつきの病気を持っていたりといった問題を抱えた赤ちゃんが入院する場所。面会ができるのは、両親と祖父母のみ。同時に会えるのは2名まで。

NICUのルール通り、手から肘まで石鹸で洗い、マスクをし、スマホを機内モードにして中へ。
案内されるままに中に入ると、子供たちが何人もいました。

そして、娘と初めて会えました。

「こんにちは。やっと会えたね」

自然と出てきた感情でした。

左手は、確かに指が5本はない。
肘から手にかけて、明らかに短い。

けれど、生まれる前の検査で知らされていたため、心の準備はできていました。

「一緒に乗り越えていこう」
心からそう思いました。

手術の説明へ

生まれる前、医師からは以下の説明を受けていました。

・生まれたらすぐ手術をする。なぜなら、食道閉鎖で食べ物が食べられない状態のため。食道と胃をつなぐ手術をし、それが1度では無理そうならば栄養を直接胃にいれる「胃ろう」を作る必要がある(栄養を通すチューブを入れるための、穴のようなものです)。食道閉鎖とは、食道と胃がつながっていないことです。
・鎖肛(さこう)の手術をする。なぜなら、このままだと便が出せない状態のため(文字通り、肛門が閉ざされているのです)

その詳細に関する説明です。
医師3組から説明を受けました。

・新生児科3名(主に生まれて28日以内の子供を担当する医師)
・麻酔科
・小児外科

そして、手術の同意書など10枚ほどの書類にサインしました。
妻は、もちろんその対応はできません。出産は全治1-3か月程度のけがをするのと同じくらいだそうです。だから、全部父親である私がやります。

不幸中の幸いがありました。
それは、鎖肛の手術が急ぎではなくなったことです。
肛門は、確かに閉じられていました。けれど、便が違うところから出せる状態でした。それにより、浣腸をすれば便が出せました。将来的に手術をします。

妻とは、娘が生まれた5時間後くらいに面会したでしょうか。顔色がよく、ほっとしました。

うけた説明を、妻に伝えました。
鎖肛が急ぎの手術ではなかったことを、妻も喜んでいました。

そして、翌日。
私は朝9時から病院へ行き、いよいよ手術です。今後何度かある手術のうちの1回目です。

親は、何かあった時にすぐ対応ができるよう、家族控え場所で待機します。
その時は、まさか23時ごろまで病院にいるほどのことになるとは、想定していませんでした。

※X(旧 Twitter)も細々やっています


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