「抽象的で分かりにくい」と言ってる人は、他人から「具体的過ぎて分かりにくい」とも言われている人
「あの人の言っている事は『抽象的』で分かりにくい。
もっと『具体的』に根拠を示してもらいたい。」
最近、SNSではなぜか誹謗中傷や不毛な議論が後を絶たないし、
職場では上司とのやり取りが上手くいかないし…ぶつぶつ(ちびまる子ちゃんの藤木君風口調で)
なんて思った事は無いでしょうか。
「抽象」と「具体」
私たちが普段何気なく使っている言葉は、
「具体=わかりやすい」「抽象=わかりにくい」
という風に一般的に認知されています。
「具体=善」「抽象=悪」
などと解釈する人もいるでしょう。
ですが、それはとんでもない誤解!!・・・だそうです。
今回は、電子書籍でこの本を読みました。
細谷功 著『具体と抽象』
この本を読んだ後の最初の感想。
「人とコミュニケーションを取るのをためらう、
またはよく口喧嘩が起こる人ほど読むべきだなー」
と思いました。
内容は少し難し目ですが、各章の始めに4コマ漫画があって、
その章のタイトルに関する少し笑いもあり、
若干の皮肉もあり、ユーモアさも兼ね備えた作品となっております。
これから話す読書要約&感想文を通して、読者の皆さんには是非「抽象と具体」の本当の意味を知っていただき、人とのコミュニケーションに困っておられる方は、何かしらのヒントを得ていただければと思っております。
<抽象と具体はピラミッド型階層>
まず、「抽象と具体」の根幹となるイメージの解説です。
これの理解が、次の項目「どこの階層の人?(なぜ話がズレたり、対立が起こるのか)」の理解に繋がるので、まずはこの概念の説明から入ります。
抽象=「具体を1つにまとめた解釈の自由度が高い『こと・もの』」
具体=「1つ1つ個別に対応した解釈の自由度が低い『こと・もの』」
例えば、皆さんにとって「そうじ」という言葉は
抽象的ですか?具体的ですか?
●「清潔感の確保」という言葉に対して
具体的な言葉は何があるかというと
↓
●「そうじ」や「整理整頓」という言葉
↓
↓「そうじ」をもっと具体化
↓
●「掃除機」や人によっては「雑巾がけ」
↓
↓「掃除機」という言葉1つだけでもさらに具体化できます。
↓
●「パナソニック」や「三菱」といったメーカーを答える人
●「コードレススティック掃除機」や「ロボット自動掃除機」と機種を答える人もいれば、
●「MC-PK21G-N」や「MC-VGS8100-W」といった製品名を答える人もいるでしょう。
逆に、「そうじ」や「整理整頓」という言葉を抽象化する(1つにまとめる)と「清潔感の確保」になります。
つまり、言葉の抽象度が高ければ高いほど、その言葉に対して、よりたくさんの具体が存在する。逆に抽象度が低ければ低いほど、その言葉に対する具体は多くなる。
絵にするとこんな感じ↓
<どこの階層の人?>
「状況と相手に応じて『ちょうどよい抽象度』で
コミュニケーションをすることが重要。」
とこの筆者は述べています。
「具体⇄抽象」のピラミッドには、
片側からしか見えない「マジックミラー」があり、
「一度上ったら簡単には下りられない」
「抽象論はわからない」とか「一般化しすぎはよくない」と言っている「具体論者」も、「抽象論は・・・」「一般化しすぎは・・・」というそのセリフ自体が相当な「一般論」であることに自分自身で気づいてもいません。
私たちは他人への一般化は平気でやるのに、自分が関連していることを他人に一般化されることは理解もできないし、好まない傾向にあるようです。
「音楽は生まれ持ったセンスで作る!」って言うAさんに対して、反論するのが「音楽理論をしっかり勉強した者が音楽を作る!」と言うBさん。
「音楽」に対する考え方の衝突。
これも「センスとは抽象的な!」と思ってしまう具体論者も、その時点で論点がずれてしまう可能性があります。
ここでの論点は、
Aさんは「音楽の「あり方」を考えたい」のかもしれないし、
Bさんは「音楽の「作り方」を考えたい」のかもしれないし、
つまりこの時点でAさんとBさんの話す方向性、AさんとBさんがいる階層がすでに違うので、話にズレが生じるのです。
まず話す内容の方向性をお互いに確認し合いながら、
「この人は具体的な話しをする傾向がある人?抽象的な話しをしたい人?あるいは、どちらもだけど、どっちから話す人?」という風に考える必要があります。
<個人的感想>
私はどちらかというと「具体的に」と捉えたい傾向にあるのかもしれません。具体には語彙が必要です。語彙力が無いと、必然的に大枠でしか物事を捉える事しかできず、白黒ハッキリさせたがる傾向を持つようになります。
私は白黒ハッキリさせるより、その中間のグレーの部分の解像度を上げていく事が、コミュニケーション力を伸ばす方法だと信じて今を生きております。
そして、程よいタイミングで白黒ハッキリさせる決断力というのも時には必要で、それは最後の手段として残しておくべきだと思います。
具体的に捉えたいと言っておきながら、だいぶ抽象的な感想ですが、ここではあえて意味を絞らずにしておきます。
そして、今まで電話やメール、SNS等で私と話しをしていて、もしくは私のツイートを見て「不愉快だな」と思ってしまった皆様、それは私の語彙力不足です。
申し訳ありません。
そう思ってしまった方々には是非「どこの階層にいるか」を教えていただければ、それに出来るだけ合わせようと努力したいと思います。
そして、私自身も「今はどの階層にいるんだろう?」と意識したいと思います。
ご精読ありがとうございました。
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