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自由が丘パン歩き②【東京女子大生のんびり春休み】
0.パン屋さんのアイデンティティの話
今日は、Twitterでたまに見かけては気になっていたベーグル専門店に行きました。
そもそもパン屋さんって、百花繚乱色んな種類のパンたちが咲き乱れているからこそのパン屋さんな訳じゃないですか。
食パンを買いに行くだけの業務的パン屋だったはずが、ついときめきとイーストの香りに負けてメロンパンとクリームパンを買っちゃう。
これこそのパン屋さんなんですよ。
その点に於いて、ベーグル専門店って少し狂気的ですよね。別にベーグルは食パン的立ち位置でもないし。
ただ、その密度と腹持ちの良さに関してはトップクラスであって、
ひとつ食べれば1食が済みそうな、
おやつとしてカウントするには重量オーバーなような、
そういう意味において、パン屋さんの棚でデニッシュやロールパンと肩を並べるには、存在感が大きすぎるのかもしれません。
2.背伸びした中華とおばあちゃんの話
今日はそんなパン界の重量級レスラーとお会いするので、胃袋に気合いが入ります。
前座の中華はいつもより味が大人しめのところにしました。
普段は、萎びたサラリーマンや、いつどこで働いているのかよく分からないおじさんがカウンターに座っている、味濃いめ提供早め店主の顔はコワモテな中華屋さんに入って餃子とチャーハン半ラーメン醤油付きを頼むんですよ。
でも、今日はそれだとレスリングの試合前に疲れちゃうなと思って。
そのすぐ近くの、おじいちゃんとかおばあちゃんがお昼に食べにくる、味薄め提供遅めお節介おばあちゃん付き、ちょっとお高い中華にしまました。
お店の前でどんなメニューがあるのかなって看板を眺めていたら、透明な自動ドアがパーっと開いて。
件のお節介おばあちゃんが話しかけてくれたんですよ。
「あら1人?中入って、そこ座って待っててね」って。
五分くらい待って席に着くと、メニューに手をつける前に「注文は?あらまだ決まってないの」って聞いてくれるんです。
とてもおばあちゃんを感じました。だいすき。
ちょっとせっかちで距離感が近いところがうちのおばあちゃんにそっくりなんですよね。
アウェー感を勝手に感じながら、恐縮恐縮でメニューを眺めてたんですけど、餃子1,100円にびっくりしました。どうだろう、いつもセットで頼んじゃうから単品餃子の相場が分からない。
でも15分後くらいにいざ届いたら、違う意味でびっくり。
いっつもの中華屋とは、ぜんぜん話が違うレベルでみっちみち、むっちむちに餡が詰まってるんですよ。生地がもちもち、スーパーとかの餃子の皮じゃこうはいかないもんな。
これはもっと取っていい、1,500円にするべきだ!なんて手のひら返して心の中で主張しちゃいましたもんね。
しかも、餃子の包み方からして、なんかちょっとかっこいい感じなんです。あのいつもするあれじゃなくて。
あとチャーハンはガッツリ過ぎかなと思ってかに玉頼んだんですけど、これもやっぱりよそ行きなお味がしました。多分、ちゃんと本物の蟹が入ってるんですよ。
私はカニカマと本物の蟹との区別がつかないからダメなんですけど、然るべき有識者が食べたら、本物の蟹だ!ってきっと感動しますね、これは。
全体的に優しい味わいで、胃袋の方も腹四分くらいだったんですけど、だからこそというか、それはこの為というか、レッツベーグル屋さんに急行ですーーー!!
お腹がまだ軽いので、軽やかな足取りで自由が丘をお散歩できます。
そしてついたのが、
ベーグルの楽園、ベーグル好きのディズニーランド!!
Tecona bagel 自由が丘
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自由が丘のパン屋さんってちょっと隠れてるというか分かりにくい場所に立ってることが多い気がするんですけど、気の所為ですかね。
ここもちょっと奥の入ったとこにありました。あれ?ここだよね?って心配で地図を確認するやつ。
そしたらあらびっくり!!お店に入場したら辺り一面ベーグル畑!!
ほんとに!
ベーグルしか!!
ないんです!!!
同じ形同じものが沢山並べられているのって、ちょっと狂気ですよね。
異常性異質性を感じます。多様性を求める人間の本能でしょうか?
でもよく見ると、怖いくらいの種類のベーグルがあるんですよ。全部違う種類なの。サーティワンくらいある、なんならもっとある。
珍しいベーグルが多くて、1番驚いたのが、
「花椒&チーズ」
驚き桃の木山椒の木という言葉をつかうのは今なんだと、生まれて初めて実感しました。
花椒なんて中華出身の刺激物、仮にもパン屋さんに入れるんでしょうか。セキュリティに追い出されそうなものだけれど。。。。
甘い系で目に付いたのは、ほうじ茶あんことか、栗あんことか、れもん紅茶にチョコチョコにおいもチョコも美味しそうだった。
多分ここのベーグルを考えている人は、創作意欲がインフィニティなんだと思います。インフィニティ、宇宙の彼方、BIGBANG
あと報告すべきことと言えば、ベーグルの森の探索中に異端を何人か発見しました。
こいつです。
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焼きたてだなんてお膳立てされてますが、本当に彼らはこの森にいていいのでしょうか。
裏で迫害されたり、いじめられたりされていないことを願います。南無阿弥陀仏
3.戦闘力とバニラが買えない話
あと、この名札の右上の、「なま」ってとこに注目してほしいんですけど、
ここのパン、全部の名札にそのパンの食感が書いてあるんですよ、4種類。
ふか、もち、むぎゅ、なまです。(なまって名前ちょっと色っぽい、いや4種類全部ちょっと色っぽい)
つまり何が言いたいかというと、それぞれの名札をなぞりながら心の中で読んだ時に、
ふか、ふか、もち、むぎゅ。むぎゅ、むぎゅ、むぎゅ、むぎゅ。
みたいな事案が発生するんですね。なんだろう、こんな可愛い瞬間が、自分にあっていいのだろうか、これらの発言はもう成人女性の許容される可愛さを超えてしまっているんじゃないか、と肝が冷えますね。
そして何気に、食感の違いによってパンの戦闘力が分かるの便利なんですよ。
これがないと、
「こいつはみちみちのむぎゅむぎゅで結構お腹にたまるぞ」
と意気込んで買ったベーグルが、意外とふわふわ系で、完食後に胃袋が空室有入居待ちみたいな事態になりかねません。
なのできちんと食感に留意した上で、
ふか生地から2種、
・あずきかぼちゃクリームチーズ
・みかんジンジャークリームチーズ
そしてもち生地から1種、
・あんバター
の計3種を買いました。
ふかと名乗る生地、羽毛ぶとんのようにさぞ軽やかでふかふかな具合なのだろう。沢山食べられるはずです。そう、ふかなので。
そして、いつもならプレーンなパンも買って夜の晩酌に備えるのですが、本日は夜に人と会う予定があるので、パスしました。ノーバケットスリーベーグルゴーイングホーム。
もし晩酌担当を決めるにしても、この華やかな種類のパンの中からプレーンを選ぶのは相当な決断力と場馴れが必要だと思いますね。それこそサーティワンでバニラ選ぶみたいな。
4.エコバッグと下心の話
ベーグルランドであまりにもテンションが上がっちゃったので、紙袋じゃなくてエコバッグ買っちゃいました。とてもかわいい。
食べ物か何某か系のプリントがされてあると、割と安直に買ってしまいます。
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この袋にベーグルを詰めてもらって、店員さんに、カウンター越しに渡してもらったんですけど、
「あっ、ちょっと重い」と持った瞬間に思って。
ああ私はレスラーを買ったんだな、と実感しましたね。
でも、冷静に、この袋にはベーグルしか入ってないんですよ!!
そんな純度の高い幸せが詰まった重みはあるのでしょうか。幸福感が腕越しにじんわり伝わってにんまり。幸せジュース、ベーグル100%
帰り道エコバッグを眺めながら可愛いなあ、可愛いなあとずっと呟いてたんですけど、
実はこのバッグ、あまり汎用性がない。
コンビニで買ったCRAFTBOSSを入れた時に気づいたんです。
「あっ、これスーパーとかに持って行って玉ねぎとかワインとかを支えてもらうのは無理だな」って。
あくまでもベーグル用、ベーグル10個分の耐久力。強いて持ってくなら、コンビニくらい。
5.ラップの話
いざ味の感想なのですが、ベーグル!とっても美味しかったです!!ただ、ラップに包まれたベーグルを見てそれがなんのベーグルなのかを思い出すのに、それぞれ3秒くらいかかりました。
因みに、ベーグルがラップに包まれているっていうところにすごい家庭的な雰囲気を感じるのは私だけでしょうか。
こんなにオシャレな内装で、こんなにオシャレな商品たち。なのに、ラップ。
美人がスウェットを着ているような意外性があります。
ただの、ラップ。透明なやつ。
あと、お会計の時に、店員さんが瞬時になんの種類のベーグルかを判断していて、思わず感嘆としましたね。
実はこの人は超能力者で、透視能力を使ってベーグルを判定しているんじゃないかと。
当たり前ですが、あんなにたくさん種類があるのに、レモンホワイトチョコ、れもん紅茶、アールグレイ密りんごクリームをそれぞれ判別するなんて、到底不可能です。
極めつけに、上記の通り包まれてるのただのラップ。名前とかも書かれてない。透明なやつ。
彼女はもっと他の仕事に、このベーグル判別スキルを活かしてほしいと切に願います。
6.かぼちゃクリームチーズとワンダフルの話
味のバランスがすごく良かったです。かぼちゃも、チーズも、割りと重めのテクスチャだし、さらに生地がベーグルだから、ちょっと途中で食べ疲れちゃうかなって思ってたんですよ。
でも全然そんなことかった。
自称する通り、生地がふかってしてて密度が高すぎないし、オレンジ色のかぼちゃが思ったより瑞々しくて優しい味わいなの。これにクリームチーズの重厚な酸味が合うんだなーー。
やっぱりこのパンを開発した人はワンダフルな力をもっています。
7.みかんジンジャークリームチーズとお転婆娘の話
1月限定商品です。しかも調べたら、代々木八幡と自由が丘、2店舗あるテコナベーグルのうち自由が丘でしか売ってないらしい。ちょっとレア。砂糖漬けチックなみかんのがっつりした甘さと酸味が、ほうじ茶のふか生地に包まれて、にっこりな味。あまーい、でもほうじ茶ー。
しかも、ジンジャーのぴりっとした香りがアクセントになっている!
あれです、例えるなら、お転婆でやんちゃなお嬢様とそのお世話をする執事のような。
目をキラキラとさせて走り回るお嬢様と、それをたしなめる執事。
たまにぴりっと叱られるけど、そうやって成長していく。そんなパンです。美味。
上にサクサクしたクッキーみたいなのが乗ってるんですけど、こういうのなんて言うんだっけ、クランブル?
8.あんバターと三つ巴の話
もしこれが本物のバターなのだとしたら、それは、ちょっと現実的ではないようなカロリーをこの子が抱えているのではないか、と不安になります。
そこら辺のパンが持っていいものではない。バターとは、つまり濃縮された脂の塊である。
でも塩気のあるバターと甘いあんこにもちっとした高密度なベーグル生地が、合うんですよーー
みんな大きい顔をして主張しています。
「我は塩気の効いたバターである」と強気なバター。
「いや私はあんこよ、甘いでしょ」優しく微笑むあんこさん。
「僕はベーグルだよ、もちっとしてるでしょ」と主張する陽気で元気なベーグル。
これは三つ巴です。
誰も負けてない。
しかし、あまりあんバターについて触れ過ぎるとカロリーに対する罪悪感がむせ返ってきてします。ジェラートの話をしますね。
9.ジェラートと夏のデート
このお店、実はレジのカウンターの横で8種類くらいのジェラートを売っているんです。
しかも、クオリティ高めでかなり美味しそう。
「ここはジェラート屋兼ベーグル屋なのではないか?否。ベーグルの陰に隠れて主張できずにいる君たちジェラートも、この店の外ではそれ相応の評価をされる存在なのではないか」と思わず語りかけたくなります。
あんバターの罪悪感で買わなかったけど、フルーツヨーグルト味美味しそうだった。
夏に自由が丘をお散歩して、3時くらいに休憩でここに寄って、ジェラートを食べて、ベーグルを半分こする。そんなデートがしたいです。
10.いくらとローストビーフは一緒に買わない話
因みに、パン屋さんの新規開拓は基本的に1日1件しかしないつもりです。
もちろん、1店舗あたりの質の高さと私の胃袋のキャパシティを守る為でもあるんですが、それだけが理由じゃなくて。
そもそも、私は人間が消化できる感動すら、カロリーと同じように有限であると思ってるんですよ。それ超えて感動を摂取しても、冷静に物事を判断できなくなってしまう。
例えば、お腹がいっぱいの時って何食べてもあんまり味しないじゃないですか、それと同じで、
それこそ本物のディズニーに行った時、私たちは感動のし過ぎによって正しい判断が出来ない状態になると思うんですね。
たった10分の乗り物に3時間並んだり、普段の金銭感覚なら買わないものを、ほいほい買ったりする。
これは、感動の消化不良による感覚鈍化だなと。
勿論、ディズニーランドはそれも含めて楽しいし、ディズニーランドは私も大好きだけど、今私がしているのはパン巡り。
正しく冷静に味を評価するには、きちんと感動を消化しきってから次の感動を食べることが大事だと思っています。
これはスーパーとかで買い物をする時も同じです。「今日はご褒美でいくら買っちゃおー」ってしたら、うには買わないどくとか、ローストビーフはやめとくとか、チーズもお高めのじゃなくてちょっと安いやつにするとか。
一晩で消化し切れる範囲の感動を買うようにしようって話ですね。