哀れなるものたち
映画「哀れなるものたち」、とてもよかったです。
映画のいいなと思うところは、その世界へ連れていってくれること。
そして、他の世界たちや、現実との繋がりを感じさせてくれることだと思います。
「哀れなるものたち」も、美しい映像に引き込まれ、その中で色々な繋がりを感じることのできる映画でした。
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主人公のベラは、未知なる世界を知るため冒険に出ます。
冒険の中で様々なことを吸収していくベラですが、その中で「『愛の根拠』を探している・探すことを強いられる」ように感じました。
「探すことを強いられている」と書いたのは、元々知っていて何の疑いもないはずのものだったのに、他者から根拠を求められることで「探さなければならないもの」になったように感じたからです。
愛とは何ですか?
その根拠はどこですか?
こんな問いにどう答えるでしょうか。
「ことば」で説明しようとするかもしれません。
ことばを使うより前に「からだ」は知っていたことかもしれません。
「ことば」で説明するよりも「からだ」で感じる方が正直なことかもしれません。
でも、「良識ある社会」では、「からだ」での体現が「隠すべきこと」になってしまいます。
「からだ」の満足を先送りする。
「からだ」で感じる前に「ことば」で説明をする。
それは「良識ある社会」を生き抜くための言い訳なのかもしれません。
冒険をしていく中で、「良識ある社会」を含む世界を知っていくベラ。
その「世界を知る」ということが、僕にはとても切なく映りました。
その過程には、「どうしようもなさ」や「裏切り」も含まれているからです。
それでも世界を知ろうとするベラの態度はとても勇敢なものだな、と感じました。
ベラは天才外科医によって蘇った女性なのですが、その外科医が冒険を経たベラに言ったセリフが印象に残っています。
そして、ラストシーンが最高でした。
映画のタイトルと繋がってまた思考が巡る感じです。
先にも書きましたが、ベラの勇敢な姿がとてもかっこいい映画です。
よかったら是非ご覧ください。
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