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心の傷を目視出来たとしたら「夫婦関係が良好になったきっかけ④」《4コマ漫画+エッセイ》

心についた傷を人はどのくらい
意識して生活しているものなのだろうか

体についた傷ならば
程度により適切な処置を施し
治る過程を目視する事が出来る

しかし「心」についた傷は
その大きさ、深さ、流血具合が
さっぱりわからないため
回復の見極めが困難だ

夫婦関係が拗れに拗れ、浮気を
きっかけに夫婦再生を試みてる最中

互いに心の出血は相当だったはずだが
自分の傷の手当てもままならず
まして相手の傷の様子など想像すらもせず

互いに自分の傷の深さをアピールし
私達は「被害者」の椅子を
奪い合っていたように思う

もしも心の傷を目視出来たなら
種類は違えど傷の大きさに差異はないと知り
「被害者」でも「加害者」でもない

互いに「当事者」として
自分の傷、相手の傷に責任を持ち
回復を促す言動を与え合えた
のではないかなどと思ってしまう

心に傷の無い人間などいない
治し方も治る速度もそれぞれであり
人と比べるものでもない

私は夫と夫の好きだった人が
デートした場所を
一箇所だけ知っており

発覚まもない頃、どう言う心理か
一人でそこを訪れてみたことがある

足を踏み入れた瞬間
短剣が胸を切り裂くような痛みを感じ
思わず立ち止まってしまう
私は来たことを後悔し、二度と
近づかないように気をつけようとした

しかし何故か偶然が重なり
何度かそこを訪れることになってしまう

自分を大切にする事を覚え
夫からの依存脱却を志す最中
胸に感じる痛みは徐々に変化していった

短剣から小ぶりのカッターナイフ
さらに針で刺したような痛みへ

私が精神的に自立していくのを感じ
私に対して人として尊敬の
気持ちを取り戻してきた夫は

私を深く傷つけたことに対して
同じように深く心を
痛めているように見えた

相手の心の傷に気がつけた時

イバラだらけだった夫婦再生の道が
随分歩きやすくなっている事を知る

横にいる人はもう敵ではない
同じゴールを目指す
心に傷を負い、血を流す同士だ
後は互いに互いの傷を労っていけばよい

あの場所へは針で刺した痛みを覚えて以降
訪れてはいない、訪れたとて
直接の痛みは感じないように思うが

胸に強烈な痛みを覚えた
あの時の自身の手を
ギュッと握ってやりたい気持ちには
なるようなきがしている。

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