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ボストンで勉強したこと 6

写真は、当時の授業のノートです。たぶん指圧のツボの授業かな?

わたしは日本にいた時、そんなに英語が得意というほどでもなかったのですが、アメリカで何ヶ月か暮らすうち、まず聞き取れるようになり、そして 少し遅れて話せるようになりました。すごいな、現地で生活していると自然としゃべれるようになるんだと、喜んだのもつかのま、その後ヨーロッパに渡り、英語が通じないエリアもあって、最終的にはインドに行ったので、あの独特のインド英語で、せっかく身につけた東海岸英語は、こてこてのインド英語に上書きされて、跡形もなく消え失せました。残念! 

それはともかくとして、スタディハウスでの毎日は、将来日本に戻って、また普通の生活をするつもりだったわたしには、主婦としてのいい勉強になりました。特に子育て面で。

ホストファミリーの3人の息子のうち、6才と3才のやんちゃ坊主は、元気いっぱいで手に負えなかったです。一番困ったのが、こどもを叱る英語が わからないことで、なにかやらかしていても「やめて」とか「だめでしょ」をどう言えばいいのかわからなくて、そんなのは中学でも高校でも習わなかったじゃないですか。仕方ないので「Please stop it 」だの「Don't do that」だの言ってみるのですが、どうも妙な英語だったらしくて、彼らはげらげら笑うばかり。にわかシッターのましろさんは、すっかりなめられていました。観察していたら、母親は鋭い口調で「Cut it out!」と迫力満点で叫んでいて、一発でいたずらがやんでいましたが、そんな言い回し、日本の学校の英語の授業で習ったことあります?

でもまあ基本ちゃんとしつけられているかわいい子たちでしたから、なんとかつきあえていたのですが、ある日結構ショッキングな出来事がありました。キッチンで夕食の支度を一人で始めていた時、わたしが何かを口に入れていたみたいで、こどもたちがキッチンに入ってくるなり「ましろ!なに食べてるの?」と聞いてきたのです。「ん?なにも食べてないけど?」とわたしがちゃんと答えなかったのがいけなかったのでしょうが、上の子がまるでお猿のように、わたしのからだによじのぼり、口をこじ開けるみたいにして中をのぞいて「なんだ、レーズンかあ」と言ったのです。 

ものすごくショックでした。呆然としてしまうくらいの衝撃でした。普通 誰かが口を動かしていたくらいで、その人によじのぼってまで何を食べているのか知りたいでしょうか。これは、かなりの異常事態なのでは…

え?もしかして、マクロビオティックの家のこどもたちって、みんなこんな感じ?一般家庭では、時たま食べるのであろうファストフードやジャンクフードのたぐいは、マクロビオティックの家庭では、まず食べさせてもらえないと思います。でも甘いお菓子を全否定というわけではなくて、ヘルシーなものなら買い置きもしてあるようだし、焼き菓子などは時間がある時にたっぷりと手作りしているようでしたが、食に対するおとなたちのピリピリしたこだわりが、こどもたちにはストレスになっていて異常な反応をするのだとしたら、ちょっとまずいのではないか?わたしは考え込んでしまいました。

言えば叱られるだろうと上の子がわたしによじ登った事件は、彼の親には 言えませんでしたが、夫には言いました。そして、こどもがあんな風になるのなら自分のこどもには、わたしは厳しい食事制限したくないなあとも言いました。夫は、まだこどももできてないのに、気が早すぎるよ、できてから心配すればいいじゃないか的な気楽な反応でしたが。

そのほかにも少し気になったのが、マクロビオティック村における噂話の内容で、誰がいつどこで何を食べていたという、食べ物に関する噂が多いんです。誰それはタバコを吸っていた、誰それはどこそこでお菓子をがつがつ食べていたとか、その噂によく登場するお店もあって、わたしたちも行ったことがありますが、フランチャイズのパンケーキのお店でした。アメリカのオールドファッションスタイルの薄いパンケーキが、何枚も積み重なって大きなお皿で出てくるあれです。添えられたメープルシロップは、確かに純正品ではなく、普通のスーパーで売られているような着色料や香料が添加されたものだったと記憶しています。でも普通においしいんですよね。そんなの、たまになら食べてもかまわないんじゃないかなあ…それはそれで、ありでしょうと、わたしは思うんだけど、どこの世界にもそういうのも絶対許せない人がいるんですよね。 

タバコに関しては、実はマクロビオティックの人の喫煙率って高いんです。うちの夫も吸ってましたし、今でもがんがん吸ってます。どうもジョージ・オオサワ(桜沢如一)が、ヘヴィスモーカーだったようで、そういうことって、カリスマであればあるほど容認されますよね。あの人もそうだったんだから…みたいに。

そんなこんなを見聞きするうち、わたしは健康的な食生活にこだわることは、いいことだとは思うけれど、とらわれすぎれば何かがいびつに肥大してしまうのではないか、という不安を抱くようになりました。




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