衰退していく茶業界に未来はあるのか?
高度経済成長の頃から、日本人の食卓には欠かせなかったお茶。高度経済成長期に、「売れて当たり前」を経験してきたお茶業界ですが、現在は飲み物も食べ物も多様化し、お茶の消費は年々減る一方です。
そんな時代が変わった今、茶業界の未来はどうなっていくのか?
静岡の茶業界で感じた日本茶業の問題点と、先日挑戦した静岡県内11産地のお茶の飲み比べの体験から感じた、私なりの茶業界の未来の考察です。
団塊の世代が茶業界の足かせに?!
高度経済成長とバブル景気を経験してきた団塊の世代の人々。
景気が良かった頃、ある東京のお茶屋さんでは、開店前から何十人ものお客さんが並んで待っていたと言います。
そんな、今となっては夢のようにお茶が売れた時代を経験してきた団塊の世代の多くの方は、現在のお茶が売れなく(消費者に選ばれなく)なってきている状況に対する危機感が薄いと、私は感じています。
この世代のお茶屋さん(特に製茶問屋さん)、
「俺んとこのお茶が一番うまい!」
と仰る方が多いのです。(もちろん、そうでない方もたくさんいます。)
何を持って「一番」と言うのか?
日本全国の茶産地のお茶を飲み比べたことはあるのか?
一番と言うのなら、何が一番なのか?
そう問うても、ほとんどの方が答えられないのです。
実際、多くのお茶屋さんのお茶はこだわりがあって美味しいのです。
でも、時代の流れで売れたということも否めないのです。
そんな、時代の流れでお茶の消費が盛んだった時代にあぐらをかいていたことが、茶業界が衰退してきた一番の原因だと、私は思います。
ナンバーワンのお茶からオンリーワンのお茶へ
そんな茶業界ですが、暗いニュースばかりではありません。
現在、代替わりをして後を継いでいるお茶屋さんの若手の人たちは、この衰退しかけている茶業界の現状に危機を感じ、今までには無い、いろんな対策、努力を行っています。
その一つが、今回私が参加した、静岡県内の11産地のお茶の飲み比べです。
11産地のお茶を集めるためには、
・それぞれの産地にたくさんあるお茶屋さんのどれを代表にするのか?
・11産地の説明はどうするのか?
・11産地のお茶を集め、袋詰めや加工は誰がどのようにするのか?
などなど…
かなり細かな作業まで、多くの茶業者が協力しなければ成しえなかったことだと思うのです。
協力して、ひとつの大きな企画を達成させるためには、全員が同じ方向に向かなくてはなりません。
「自分のとこだけ儲けたい、お茶を売りたい」
そんな考えではなく、いかに多くの方にお茶を楽しんでもらえるか、新しいやり方でお茶に親しんでもらえるかを、若い方々が必死に考え、実現させてくれたのだと思います。
団塊の世代以降を親に持つ人は、「ゆとり世代」とか「さとり世代」とか揶揄されたりしますが、ある意味、時代や組織に頼っていては生きていけないということを肌で感じている世代でもあります。
だからこそ、ナンバーワンのお茶を目指すのではなく、自分らしいお茶を目指しつつ、周りの茶業者、そして他県の茶業者とも連携しながら、新しいお茶の世界を作ってほしいと切に願っています。
そして私自身も、茶業界とは別の場所、視点から、日本茶の魅力を伝え続けていきます。
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