高血糖が妊娠に及ぼす影響
血糖コントロールなどの代謝因子が
生殖に関する健康への潜在的な因子となり得るという報告が増えています
血糖コントロールと妊娠に関して
台湾で1年間妊娠を試みた20~45歳の
不妊症患者 192 人と正常対照群 1386 人
合計 1578 人の横断研究からの報告をご紹介します
正常対照群のHbA1cは5.32%でした
不妊症患者群のHbA1cは5.57%でした
不妊症患者群で優位に(p>0.001)高い結果となりました
HbA1cとは高血糖により糖化された赤血球の割合を示します
赤血球の寿命が2~3か月なので採血時から過去2~3か月前の
血糖コントロールの指標となります
またHbA1c5.7%未満の群と比較して
HbA1c6.5%以上の群では強い不妊との相関関係が見られました
(オッズ比 調整因子により違いはあるものの3.32~4.43倍)
高血糖を引き起こすとインスリンと言うホルモンを膵臓から分泌して
高血糖を改善する仕組みになっていますが
生活習慣や食習慣により
長く高血糖が放置されることにより糖尿病になる前に
インスリンの抵抗性が起こります
(インスリンの働きが悪くなることを意味し、高血糖がより長く続きます)
このインスリン抵抗性が卵巣機能に悪影響を与えている可能性が
考えられています
よって
HbA1cの上昇は不妊リスクを高めるため
糖尿病に至らない糖代謝異常であっても血糖コントロールを改善することで
妊娠への妨げにも改善が期待できます
血糖コントロールの指標については
随時血糖値(空腹時血糖値)、インスリン値
HbA1cなどの血液検査の項目でチェックします
*参考文献*
Liao C-C, Lee C-I, Liao K-R, Li J-M. Association between Serum Glycated Hemoglobin Levels and Female Infertility: A Cross-Sectional Survey and Genetic Approach. International Journal of Molecular Sciences. 2024; 25(17):9668. https://doi.org/10.3390/ijms25179668