フランク・シップウェイ指揮/サンパウロ交響楽団の「アルプス交響曲」
指揮者フランク・シップウェイの録音が気になっている。最近見なくなったが、書店でカゴ売りされていた「ロイヤル・フィルハーモニック・コレクション」のマーラー「交響曲第5番」が殊の外よくて、ずっと愛聴してきた。その後、どんな録音があるのかと調べてみたら、悲しいことに10年前にシップウェイは交通事故で亡くなっていた。
Apple Musicでシップウェイを検索すると、ショスタコーヴィチの交響曲や、R.シュトラウス 「アルプス交響曲」が見つかった。ほかにも協奏曲がいくつか。
星の数ほど存在するオーケストラ曲の中で「アルプス交響曲」ほど他愛もない曲はないと思うけど、演奏する側は楽しいのかも知れない。どんな録音を聴いてもガッツがあって、前へ前へと進み、意気揚々と山から降りてくる。頂上の満足感は、どのオーケストラの演奏でも十全に表現してくれる。周囲を睥睨するように朗々と鳴らしてくれるあの時間は、「他愛もない」を忘れて陶酔できる。
シップウェイ指揮のサンパウロ交響楽団による「アルプス交響曲」にもとても満足した。このオーケストラのファンになった。もっとたくさんのR.シュトラウス作品の録音を残しておいてくれたらな、と無いものねだりをしている。