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フェアリーばあちゃん

高校時代、私は新体操部でした。新体操と言えば”フェアリージャパン”とも称されるように、可憐で優雅な世界をイメージされる方も多いでしょう。

しかし実際は、体育館に響くコーチの怒号・泣きながら延々と筋トレをする者・ひっつめ髪に鬼の形相の少女たち…

そこに一切のファンタジーはありません。あるのは修羅のみ。
それが新体操部でした。

そんな我が部にも時折妖精が現れました。
しかも、決まって死ぬほど怒られている時にやって来ます。

その日も大事な大会前なのにミスを連発してハチャメチャに怒鳴られていました。

コーチ「やる気がないなら帰りなさい!」
部員「もう一度お願いします!」
コーチ「帰れ!」
部員「お願いします!」
コーチ「帰れ!!」

あぁもう嫌だ。帰してくれ。
ナオ(部員)と一緒にミスド寄ってプリ撮ってクレープ食べてゴリエダンス覚えてリプトンの紙パックすすりながら帰りたぃょ。。っらたω。。。
いっそぶん殴って歯の一本でもへし折ってくれ。

そんな空気の真っ只中にそれは現れました。

コーチの背後、ガラス扉の向こうにヨチヨチと現れた小さな妖精…
そう


うちのばーちゃんです。

がんばる孫の姿を見たくてついつい来ちゃったのです。愛犬のシーズーと共に。

分かりますか?笑っちゃいけない時に限って珍事が起きる地獄の瞬間が。

青春、夏の日差し、怒り狂うコーチ、ばあちゃん、イヌ…

(…いかん!集中しろ!)
(あっ 手振った)
(ヤメロ!!)
犬の前足持って手振らすのやめろや!!!

他の部員たちも「ン゙ンッ、フスゥ〜」と鼻息で笑いを殺し始め、もう誰もコーチの話なんか聞いていません。
私の爆笑センサーも間もなく臨界です。

そして続け様に悲劇は起きました。

ナオのおばあちゃん(すごい小さい)も現れたのです。

瞬間、堪えきれなくなったナオが「ベゥー!」と咳き込みました。
いい加減コーチも異変に気付いてしまい

「ちょっと!アンタたちさっきから何なの!?外ばっかり気にして!!
外に何か…」

クルッ

「んんんぶぶwwおばあちゃんwww」

耐えきれず全員で大爆笑。

妖精たちは一瞬でコーチの怒りを鎮火させ、何やかんやでその日の練習は平穏に終了したのでした。

その後も妖精は絶妙なタイミングで現れては災いを収め、我が部の伝説となったのです。

その妖精も数年前にこの世を去りました。
再会したコーチにその事を告げると

「懐かしいわね、おばあちゃん。よく練習見に来て…見に……

ンッフ-www」

まだツボってるんかい。
死してなお心に残り続けるばーちゃん。

伝説はこれからも語り継がれるのでした…fin.

あんまり部活関係ないな。

#部活の思い出

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