【論文付き】水風呂についての考察
水風呂とは、ほとんどのサウナ、銭湯に併設されている冷水を張った浴槽のこと。サウナで体を温めた後に急激に体を冷やすことができ、それによって「ととのう」ことができる。日本初のサウナ併設の水風呂は、1966年に開始した渋谷のスカンジナビアクラブ。その後、日本においてサウナと併設されるものという認識は現在まで続いている。サウナに必ず水風呂が設置されるのは、日本独自のスタイルで世界でも珍しい。
なぜ水風呂に入るのか?「ととのう」の項目でも触れているが、サウナの急激な温度上昇の直後に、急激な冷却をはさむことによって、激しい体内変化を起こすためだ。サウナ室内では、体温が上昇し、脈拍は上がり血圧が下がる。毛穴は開ききって、毛細血管は拡張する。その状態で水風呂につかると、分散していた血液が一気に体の中心、つまりは心臓をはじめとした重要な血管に集まっていき、血圧は上昇する。心臓がバクバクと音を立てているように感じられるのはそのためである。開ききった毛穴や毛細血管がぎゅっと収縮する。脈拍が下がる。なぜこのような急激な変化が必要なのか。交感神経を限界まで活性化させるためだ。
そして外気浴によって血圧は平常時に戻り、血流が良くなることによって体中が暖かい感覚になる。未経験者は、冷水につかった後で外で裸で休憩すると、冬などは凍えてしまいそうだと恐れるが、毛穴などが引き締まっているため体から熱が逃げだしにくく、ぽかぽかとした感覚を維持することができる。
この時、反動で副交感神経に一気にかたむき「ととのい」を経験できる。このために水風呂が必要なのだ。サウナを日常的に利用している人の中でも、水風呂が苦手であるという人は少なからずいる。しかしサウナ後に外気浴をしても、このような急激な体内変化が起きないので、ととのうことができない。水風呂はととのうために必須なのだ。
冷たくて入りにくい場合、以下を試すと良い
1.息をゆっくり吐きながら入る
心臓がバクバクする現象を低減することができる。
2.気持ちいいとポジティブなことを思ったり言いながら入る
・ポジティブな感情が心臓血管系の反応を早める。
論文名:ポジティブな感情の元に戻す効果
The Undoing Effect of Positive Emotions
Barbara L. Fredrickson,Roberta A. Mancuso, Christine Branigan, and Michele M. Tugade
3.水シャワーを浴びてから入る
体を冷水に慣らしてから入る。水のかけ湯でもいい。どうしても水風呂に入れない場合、水シャワーだけでもよい。
逆に水風呂がぬるすぎる場合は、炭酸水を飲むと、より冷たく感じる。
炭酸のシュワシュワ感が足元の皮膚温を低下させる
論文名:炭酸水による口腔(こうくう)内への刺激が深部・末梢体温に及ぼす作用-Sham-feeding(偽 飲)による口腔内刺激を用いた評価.
日本栄養・食糧学会誌,2014
論文名:TRPA1 は CO2 に対する侵害受容反応の構成要素
TRPA1 Is a Component of the Nociceptive Response to CO2
Yuanyuan Y. Wang, Rui B. Chang, and Emily R. Liman
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