「センス・オブ・ワンダー」読後感想

『センス・オブ・ワンダー』新潮社
上遠恵子 訳
『沈黙の春』で有名なレイチェル・カーソンが姪の息子(作中は甥と表記されている)に向けて書いたメッセージの本である。

1歳8か月頃から、レイチェルの元に遊びに来ていたロジャー(姪の息子)を連れてレイチェルは、色んな場所(海辺、森、あるいは夜のそれらなど)に探検に出かける。それは、甥への深い愛である。
また、5歳で母を亡くした幼いロジャー(姪の息子)を引き取っている。
それらのロジャーと過ごした日々の発見に満ちた日常を綴っている。
森や海辺や星空の下で、美しく愛すべきものを見つけた瞬間。その瞬間を共有するという喜び。

キラキラした瞬間の写真のような記録。

甥のロジャーの為に書いた、とはあるが、ロジャーを通して、世界の子ども達に向けても書かれている。


中学生の時に読んだ『沈黙の春』は化学合成物質によって、自然が破壊され、生物の存在が脅かされている現状を論文のように、調査し資料を使い、レポートしている内容だっと思う。
そちらも真摯な眼差しで、世界を見ていたが、色のイメージで言えば、黒・白・灰色だった。(まあ、環境破壊されている現状への警鐘を鳴らす論文的なレポートだったからだろうけれど)

それに対して、『センス・オブ・ワンダー』はすべての色が煌めいて、発色しているようなイメージ。それは闇夜の黒でさえも。


本のページ数も多くはなく、訳も読みやすい綺麗な文体なので、サクッと読める。



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