短歌/THE FIRST SLAMDUNK
殴られる痛みを知ったあの日からどこかがずれてしまったみたいだ
どうしてもあのとき重ねた面影をぬぐいきれずに光を見ている
誕生日ケーキの上のプレートが愛だと知っているからくるしい
波音に負けないくらいの大声で本当はずっと泣きたかったんだ
あの日から平気だったことなんてない それでも立つんだ 約束だからさ
泣き言を言おうが託すよ 大丈夫 繋いだ先の未来は知ってる
託されたボールに宿るのはきっと赦しと願いだ この音を 聞け
永遠に消せない過去も傷痕も愛することを強さだと知る
ここにくるまでに迷った脇道の歩数は一歩も無駄なんかじゃない
ゆるされている それだけでなんだってできる気がする 世界がいろづく
強がれる気がした あの日の波音に混ざる心音を思い出すたび
立ち上がる きみが信じてくれるから 何度も 何度も 前だけを見る
痛みさえにじむ涙さえこの足を止める理由にならない 走れ
この場所はきみが立つべき場所なんだ 誰かが立つはずだった場所じゃなく