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記事一覧
恋に落ちた姫巫女|月神の娘・その5
-ピチュピチュピチュ-
やさしく窓から差し込んでくる日差しの温かさに、ふと眠気に誘い込まれそうだった姫巫女の意識を、小鳥の囀りが呼び覚ます。
そして、にこっと微笑むと棚の上に置いてあった紙包みを手にする建物から出て行く。
「おはよう。今日もいいお天気ね。」
紙包みの中にあったものは、小鳥の餌。
それを投げ与えながら少女は小鳥たちに微笑んでいた。
-カサ・・-
枯葉が踏まれる音に少女はは
異世界での目覚め|月神の娘・その4
「・・・姫様・・・?姫巫女様・・そろそろお起きくださいませ。礼拝堂にはもう巫女たちが集まってきております。
姫様がお姿をお出しになられなくては、朝の祈りが始まりません。」
「え?」
聞き慣れない声で渚はふと目覚めた。
(・・・ここは・・・・?)
眠る前の事を思い出しながら渚は周囲を見渡していた。
そこは、純白の絹の布で覆われた天蓋付きの寝台。
(ここって・・・イルの世界じゃないの?)
別
パソコンから再び異世界へ|月神の娘・その3
「ただいま~・・・・」
家に着き、自分の部屋に入る早々、愛用のデスクトップパソコンにスイッチを入れる。
それは高校生の時から愛用しているパソコン。
それまで居間にあったのを、大学に受かってからレポート作成などがあるからと言って自室に置くようになっていた。
そのモニタが明るくなるのを見つつ、渚はごろんとその横にあるベッドに転がる。
渚はあれからまだ忘れることも、そして、割り切る事もできずにい
忘れられない異世界の恋人|月神の娘・その2
「渚!」
大学からの帰り、駅のホームで電車を待っていた桂木渚の肩をぽん!と叩く手があった。
振り向いた渚の目に写ったのは、にこやかな微笑みと共に後ろに立っていたのは、彼女の親友である結城千恵美。
「ちーちゃん!」
「休みなのに学校?」
「うん、ちょっとね。」
「私はバイトの帰り。今日は早番だったから。渚は?」
「あ、えっと~・・・・」
ホームにある出口への階段を見た渚の視線にそって千恵
異世界冒険、再び?|続・創世の竪琴【Moon Tear 月神の娘】その1
ゲーム好きの高校生渚は、どういうわけか自分たちが作っているゲームの世界へ引き込まれる。
(参照:創世の竪琴/異世界スリップ・創世の竪琴、私は作成中のゲームの闇の女王? )
最初は夢だとばかり思っていたが、どうやらそうではなさそうだと分かり、渚の異世界での大冒険が始まった。
年下の生意気な少年、イオルーシム(イル)、それは魔法で年齢を止めていた青年の仮の姿。
そして、その青年と恋に落ち、2人は