向田邦子が大好きな私たち
この夏故郷の鹿児島に里帰りをした。
そこで、ずっと行きたいと思っていたかごしま近代文学館へ立ち寄った。
目的は向田邦子さんの展示。
私も向田邦子さんが大好きなありきたりな女の一人というわけである。
午後だというのにひっそりとした文学館。
向田さんの展示の部屋は、最初こそ私だけだったものの、次々とお客さんが入ってきた。
若い方から年配の方まで女性の方ばかり。
そこで、向田さんに魅せられているのは私だけではないなあと実感した。
そしてどうしてこんなにも魅力的なんだろうと改めて思った。
向田さんといえば
しっかり者なのに少し不器用、世話焼き。こだわりが強い。
そんな印象を持っている。
私は、向田さんのエッセイを読んでいて「向田さんと私は似ている!」
と大発見をしたような気持ちになったことがある。
もちろん、そんなことは恥ずかしすぎる勘違いだけど。
思わず共感してしまうような人間らしさの一方で、
向田さんは私にないもの、私が欲しいものをたくさんたくさん持っている。
仕事で成功した女性で、才能が溢れている。
多忙だというのに美味しいものや器にはこだわって、
旅行にもどんどん出掛けていく。
服もおしゃれで猫を飼っていて南青山にマンションを買って、
なんといっても自立している。
「似ているところと憧れる要素が詰まっている」という点が
向田さんが私たちを惹きつけて離さない一つの要因なんじゃないかと思った。
そして、なんといっても向田さんの本は文章がうますぎて読んでいると情景が広がる。
そして人間らしさが惜しげもなく出ている。
向田さんの本の中には、女性が一生のうちで思うこと、ありのままの心のうちが素晴らしい文章で表されている。
だから、時代を超えて広い年代の女性に共感されるのではないだろうか。
自分の気持ちが言語化されて書いてあって
自分を見つめているような気分になる。
それでいて働く女性として途轍もなくかっこいい。
エッセイをひらけばありのままの人間らしい心のうちを私たちに打ち明けてくれる。
時にうるっときたり、笑ったり。ほんとにそう、と共感したり。
向田さんは私たちにとって、自分自身であって、憧れであって、人間らしさを見せてくれる友達・またはお姉さんのような存在。
だから、どうしようもなく、憧れて、共感して、見事な文章に感嘆して、
大好きで特別な存在なんだと思う。
鹿児島への帰郷と文学館の展示物で、すごく好き!!な気持ちが溢れて語りたくなってしまった。
向田さんのエッセイのように見事な落ちはないけど、これで考察終わりです。
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