ほっかいどう暮らし54 室蘭市 老舗「天勝」の天丼
6月のとある土曜日の夜、いつものように近所のおじさん達とお酒を飲んでいた時のこと。「明日は久しぶりに燻製でも作ってみよう」という話になりました。
燻製と言っても、まぁそこは素人ですから難しいことはできません。卵やチーズなんかをスモーカーで燻して香りをつける程度ですが、やはり手作りしたものは美味しいです。
「材料は何にする?」「卵、チーズ、ベーコン、ソーセージ、ナッツ、ちくわ…」
そこで室蘭市出身のタケちゃんが「室蘭に『室蘭うずら園』っていう『うずら』の養鶏場があるから
参考までにとオンラインショップを覗いてみると
水煮うずら卵 10個入り 276円(税別)
水煮うずら卵 1kg 1,692円(税別)
とあります。それを見たおじさん達、
翌日、タケちゃんと僕の二人で室蘭へ行きました。この日は6月にしては暑い日で、北海道でも真夏日が観測されたところもあるくらいでした。
途中「俺の実家この辺」とか「この病院で長女が生まれたんだわ」などと興味薄い話を聞かされながら、まず向かったのは「室蘭うずら園」さんの直売所
さっそくお店の方に「水煮うずら卵1kg入」が欲しいのですが、と聞いたところ
「あー、あれは業務用に卸しているものなので
だそうです。
聞くと「10個入りの水煮パック」も直売所では扱っていないとのこと。無いものは仕方ないので「味付きの煮卵」と「プリン」を買ってお店を出ました。(うずらの卵で作ったプリンがかなり美味しい)
それから室蘭市内へ向かう途中にタケちゃんが
「ちょっと寄り道していいかい?」
と言って連れて行ってくれたのは輪西駅近くの商店街。子供の頃タケちゃんが住んでいた家の近くなのだそうです。
地元の人でなければ行かないような、狭い路地なんかを通りながら
「あそこは俺が子供の頃いつも髪を切ってもらっていた床屋…だった所…」「よく家族で行った食堂も…もう無いか…」
シャッターが降りたままの商店街。所々に廃屋や空き地。地方ではよく見かける光景ですが、そこに住んでいた人にとっては様々な想いや、たくさんの思い出があるんですよね。
昔は駄菓子屋さんだったという朽ちかけたお店の前で
そんな「寄り道」をしていたらちょうどお昼になったので、僕が「今日はタケちゃんの思い出に付き合うよ。お昼ご飯は何が食べたい?」と聞くと
「もう10年以上食べてないから、久しぶりに『天勝』の天丼かなぁ」
ということで向かいましたのが
「天勝」さん
天勝さんは創業大正9年の老舗。今でも行列ができる人気店だそうです。
入り口を入るとすぐ脇に小さなカウンターがあり、そこでメニューを見てお店の人にお金を払います。今はどこでも「券売機と食券」が当たり前ですが、対面でお話ししながらお金を払うというのも老舗を感じさせます。代金と引き換えに渡されるのが「メニュー札」というのもいい感じ。
カウンター席に案内されると、すぐにお茶を出してくれたので「お願いします」とメニュー札をカウンターの上に置きました。
案内された席のすぐ前で天ぷらをあげていたのですが、目の前に
「どう注意すればいいんだろう」などと考えながら待っていると、「お待たせしました〜」とやって来ましたのが
天丼。
蓋を開けるとごま油とつゆの良い香りが。
こちらの天丼は、しっかりと衣をつけたエビやイカをゴマ油で揚げて、天つゆを「かける」のではなく、つゆに「浸して」衣にしっかり染み込ませるのだそうです。創業当時からずっとこのスタイルなのだとか。
「揚げたてサックリの天丼」に慣れた僕にとっては、この「しっとりした天丼」はちょっと戸惑いましたが
なんといってもつゆが美味しい
こちらも初代の味に倣った濃いめの味とのこと。このつゆのおかげで
まぁご飯が進むこと。
美味しくいただきました。
それでも店を出たタケちゃん、車に戻る途中で
昔の記憶と比べると、だいたいみんなこう言いますよね。
その後地元のスーパーでパック入りのうずらの卵と噴火湾のホタテを購入。外に出るとまだまだ気温は下がらず、暑い!!
「こういう暑い日に燻製と冷たいビールなんて、贅沢〜」「最高だわ、早く帰ろうぜ」と真っ直ぐ帰りました。
僕とタケちゃんが室蘭に行っている間に、コーイチさんとゆういちさんが「他の食材の買い出し」と「スモーカーの準備」をしてくれることになっています。
「もう最初の燻製できてるかな〜」と楽しみに帰ったら、コーイチさんとゆういちさんが何もせずビールを飲んでいたので
「あれ?燻製は?」と聞いたら
ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!
おしまい
タケちゃんとの「寄り道」の途中で見かけた
この看板、気になる〜。