インラインホッケー男子日本代表・西永健太郎主将に11の質問~WRG2019を終えて~
前回のnoteでご紹介しましたWORLD ROLLER GAMES 2019。
インラインホッケー日本代表の皆さんは全日程を終了し、バルセロナから日本へと帰国の途に就いています。(7月14日夜現在)
大会結果はインラインホッケー日本代表公式クラウドファンディングページでも掲載されましたが、下記の通りとなりました。
(以下、文中より抜粋)
World Roller Games 2019 in Barcelona大会が全日程終了しました。
男女共優勝はアメリカとなりました!
女子結果
予選
vsカナダ 2−6
vsスペイン 0−8
vsスウェーデン 3−2
vsインド 18−0
順位決定戦
vsチェコ 0−8
vsフランス 0−7
以上の結果で8位(15カ国中)となりました。
男子結果
予選
vsイギリス 3−4
vsブラジル 1−3
順位決定戦
vs中国 18−0
vsイラン 3−4(GWS1−2)
vsアイルランド 9−2
以上の結果で19位(23カ国中)となりました。
文中にもある通り、男子は非常に悔しい結果となりました。
本来であれば取材のプロである然るべき機関の皆様に大会に帯同し、チームに密着し、取材していただいた上で想いの数々を文字にして届けていただきたいところです。しかし残念ながら現状、それは叶っていません。
それならば、と。
素人ならではの体当たりで、今回大会を終えたばかりの貴重なお時間をいただき、男子日本代表主将・西永健太郎選手に私から11の質問をさせていただきました。
素人の猪突猛進恐ろしい。
でもどうしても、届けたいと思ったんです。
日本に。
この競技に情熱を傾ける選手の方の言葉と、思い描く未来を。
どうか是非ご一読ください。
そしてどうかお願いします、シェアしてください。
まずは知ってほしい。その一念です。
全素人力を総動員してお届けします!
インラインホッケー男子日本代表・西永健太郎主将に11の質問
それでは、インラインホッケー男子日本代表 主将・西永健太郎選手に大会を終えた今の率直なお気持ちをお聞きしたいと思います。お疲れのところ本当に申し訳ありません、どうぞ宜しくお願いいたします!
①改めて今回男子日本代表が目指したものと、それに対して達成できたこと、できなかったことをお聞かせください。
西永「今回のチーム目標は“ベスト8以上”でした。
昨年が9位だったのと、上位8位というのは、グループリーグも上位8位以上と9位以下で別れていることなどから、ベスト8は特別な8チームなのです。
達成出来たことは正直何もありません。達成出来なかったことは、まず結果を残せなかったこと。初戦に敗れたこと。全てはこれにつきます。」
②大会中、特に印象に残った試合はどの試合でしょうか?
また、その理由をお聞かせください。
西永「特に印象に残った試合は初戦のイギリス戦です。
このような短期決戦の大会では、初戦の入り方、戦い方や気持ちの持っていき方が非常に重要になり、勝てばその後ポジティブにマイナス面を捉え修正しやすいですが、負けるとネガティブにマイナス面を捉え、修正が難しくなっていく印象があります。
なので初戦のイギリス戦が特に印象に残っているというか、今大会の結果が決まった試合でもあると言えると思います。」
画像:イギリス戦ライブスコア(クリックで拡大可能です)
日本は平野裕志朗選手のゴールで先制、その後同点に追いつかれ、
第1ピリオド終了間際に西永主将のゴールで逆転したが、
第2ピリオドで再度逆転を許すという展開だった。
③西永主将はチーム最多の9ゴールとなりましたが感想としてはいかがでしょうか?
プレーについてうまくいった点、いかなかった点など、お聞かせください。
西永「チーム最多得点だったかもしれませんが、もちろんもっと取れた場面もありますし、チームの主将であり、自分はチームの中心選手で1番上手いと思っていますし、絶対の自信があります。
チームに貢献する為に来ているので、もっともっと試合を決定づけるポイントを取りたかったです。シュートを決めた5倍、10倍のシュートを外しているので、更に精度を高めていかなければなと改めて思いました。
うまくいったことはないです。
代表チームの難しいところである連携やコミュニケーション、選手のちょっとした癖やホッケー感を、セット間やチームでうまく共有する事が出来なかったかなと思います。
言葉で表すのは難しいですが、試合に臨むにあたっての雰囲気作り、少しピリッとした良い緊張感を作ることが出来なかったのが個人的にはとても大きいと思います。」
画像:男子日本代表個人スタッツ(クリックで拡大可能です)
④西永主将個人的に今大会でのチームMVPを挙げるとしたらどなたでしょうか?
また、その理由もお聞かせください。
西永「チームMVPは全員課題が多く正直この結果では挙げるのが難しいですが、強いて言うならば26番の増渕選手です。
初戦のイギリス戦、ポイントでは残っていませんが、チーム最年少ながら誰よりも走り、高い集中力を発揮してインラインホッケーで求められる堅実なプレーが出来ており且つ相手チームにとって嫌な選手のプレーが出来ていました。
間違いなく増渕選手が少なくともイギリス戦はMVPでした。」
⑤今回大会に参加して、他国との間に感じた差や、逆に日本が優位と感じた点などがあれば教えてください。
(もし差があれば、その差はどう埋めるべきと感じますか?)
西永「他国との差は、インラインホッケーの理解度、スケーティング力、堅実さが足りないです。
日本のインラインホッケーはまだまだアイスホッケーの延長戦上であり、本当の意味でのインラインホッケーが出来ているチームはありません。
まず、世界のインラインホッケー、現在のインラインホッケーを理解して全員が同じイメージを共有することが大事です。
日本のインラインホッケーはまだまだシュートを打って終われという流れが多いのです、インラインホッケーにおいては効果的なシュートが打てないときは、キープしてまた立て直す、パックポゼッションが極めて重要な競技です。
インラインホッケーは気軽にテレビなどで観れる競技でもない分、世界の情報を仕入れることが難しいです。
日本が優位に感じる場面はありませんが、可能性はとても秘めています。
正直練習環境がない。これにつきます。
俗に言うフルサイズリンクがありません。普段フットサルやソフトボールをやっていてサッカーや野球の試合に臨むようなもので、いくらフットサルを極めてもサッカー選手に勝てません。
似ている競技だけど別競技。本質的にこれをしっかり理解している選手も多くはないと思います。
以前何かでも話したのですが、1年中使える屋根付きのリンクが日本に1つもありません。 差を埋めるには練習するしかありません。
フルサイズリンクで練習しなければ良いところ止まりが精一杯なのかなと思います。」
画像:WORLD SKATE 「INLINE HOCKEY RULEBOOK 2019」より
RINK DIAGRAM 50m×25m(クリックで拡大可能です)
⑥前回参加した時と今大会で感じた違いなどがあればお聞かせください。(大会そのものに感じた違いや、他国の戦力・戦術的なことなど、どんなことでも構いません。)
西永「今回感じた事は、去年と違うワールドローラーゲームズだったので、大会の規模が大きく街をあげて開催しているなと感じました。
街中を歩いていてもインラインスケート、スケートボードやキックボードで移動する人がとても多くて日本ではインラインスケートで公道を移動するのは禁止?公園ですら禁止と書いているところも多いと思います。
裾野を広げる、身近に感じるといった場面では圧倒的に劣っているなと感じました。
また、今大会は前回対戦して7-4で勝利したスロバキアが、コロンビアとの入れ替え戦に勝利し、2年前の準優勝国イタリアにも勝利し7位で大会を終えていました。
1年間でここまで差がついたことを顕著に受け止めてるとともに、やはりベスト8に入れる可能性が非常に大きいものだなと感じました。」
⑦ここからは遠征中の様子などにも触れさせていただきたいのですが、開催地スペインはいかがでしたか?
現地の大会に対する盛り上がりやホスピタリティなどの面はどのように感じましたか?
西永「開催地スペインは⑥にも書いた通り街中でローラーを見る場面が非常に多く国の取り組み方や理解のされ方が違うなと感じました。
メインリンクはビーチ沿いに面していて、試合が終わったらそのまま海に入ってリフレッシュし、シャワーを浴びているスペインの選手をみて、すごい羨ましい環境なのと、カッコいいなと思いました笑」
画像はスペインの選手の方ではありませんが(笑)、
大会公式ツイッターではこういった写真も多く紹介されていました。
海辺の美しい風景が印象的でした。(byおかぴ)
⑧遠征滞在中、調整に工夫したことや苦労したことなどがあればお聞かせください。
また、チームメイトとの楽しかったエピソードなどもあれば公開可能な範囲で教えてください笑。
西永「遠征中は当たり前ですが、体調面において特に気を付けていました。
ホテルの食事が種類も多く栄養バランスの良いご飯が多く、魚や肉なども毎日ありましたし、去年に比べて雲泥の差で食事が良く体調を崩した選手もいませんでした。
楽しかったエピソードは、全日程終了後に、数人でインラインスケートを履いてサグラダファミリア付近に観光しに行ったことが楽しい思い出です。 毎日天気も晴れで気候もロケーションも最高で、スケート滑って海沿いのリンクまで行ったり観光したりするのが純粋に楽しく、子供の時にスケートを滑るのが楽しい!と思っていた感覚が蘇り、スケートがやっぱり好きなんだなと改めて思いました。」
⑨今後の日本代表の予定など、わかる範囲で教えてください。
西永「来年はインラインホッケー単体の世界選手権と2年に1度のアジア選手権があります。
(世界選手権)開催地はコロンビア、時期はまだ把握していませんが同じ時期くらいだと思います。
アジア選手権は9月にあると思います。こちらも把握はしていません。
来年の世界選手権でベスト8に入ると2021年に開催されるワールドゲームズに参加する事が出来ます(上位8カ国アメリカアラバマ州7/15〜25)」
⑩西永主将個人の今後の予定、目標、告知したいことなど、ありましたら是非お願いします。
西永「個人的な目標は、2021年のワールドゲームズに出場するのがずっと夢だったのですが、来年は東京オリンピックがあり、職業柄個人的に世界選手権へ参加出来るかが未定であります。
そして、まずは地に足を付けなければと今大会を通じ更に感じたので、アジア選手権には出場した事がなかったのですが、アジア選手権に出場し、金メダルを取って帰って来たいなと思っています。
世界選手権も行けるのであれば出場したい気持ちはあります。」
⑪最後にこれをご覧になられているすべての皆さまへのメッセージをどうぞ!
西永「今大会を通じ多大なご支援、応援していただき本当に感謝申し上げます。主将の力不足によりこのような結果になったことにお詫び申し上げます。
今大会を通じインラインホッケーを知って頂いた方には、まだまだこれからもインラインホッケーに興味を持っていただき、末永く温かい応援していただけたらと思います。
応援は本当に選手一人一人の力になり、たくさんの方から応援されているということが選手を人間的にも成長させてくれます。
まだまだ未熟なこの競技を発展させるには皆様の温かい声援が必要不可欠です。 これからも応援宜しくお願い致します!」
西永主将、どうもありがとうございました!
そして日本代表チームの皆様、関係者、ご家族ご友人、応援したすべての皆様、本当にお疲れさまでした!
2019年7月14日
バルセロナから日本への帰国直前、メッセンジャーにて伺った内容を
そのまま掲載させていただきました。
インラインホッケー 男子日本代表 西永健太郎主将の想い、そして今 日本のインラインホッケー を取り巻く環境とは?
こちらも併せてご一読いただけると幸いです。
あとがきと、最後に今一度のお願いです。
11の回答から伝わる西永主将の想い、お人柄、いかがでしたでしょうか?
私自身、インラインホッケーを観るのは今回が初めてで、きっかけは昨年末に初めてアイスホッケーを好きになったことでした。
なので大変恥ずかしながらアイスホッケーの延長線上での視点しか、大会が始まる前は持っていなかったのが正直なところです。
まだまだ競技そのものに対する知識も試合を見る目も未熟で、今回お聞きしたことによって改めて学ばせていただいたこと、本当に多く。
お聞きしてよかったと感じています。
今大会ではインターネットでの公式ライブ配信もありましたが、上位進出チームの試合配信にどうしても限られてしまい、男子代表はなかなか機会を掴むことが出来ませんでした。
そんな中、チームの皆さんは自分たちの手による配信を公式Facebookや公式Instagram上から届けてくれました。
どんなに試合で悔しい想いをしても、結果がどうであっても。疲れていても何があっても。
大会中、クラウドファンディングの情報ページ更新もFacebookの更新も滞ることなく自力で続けてこられた選手の皆さんにどうかあたたかい拍手を贈ってあげてください。
このnoteを公開して間もなく、スペイン遠征のための資金の一部支援を目的としたクラウドファンディングは最終日を迎えます。
もし出来ればご協力をお願いいたします。
直接ではなくても、シェアすることで助けてください。
知っていただくことがすべての始まりの一歩になります。
7月16日23時まで募集しています!
※7月17日追記:クラウドファンディングは予定通り7月16日23時をもって終了しました。
構成上、女子日本代表の皆さんのことを書けず申し訳ありません。
体を張って戦う姿、女性の目から見ても本当に強くしなやかでカッコよかったです…!お疲れさまでした!
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