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介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる 連載第32回 「人事考課・評価制度⑤=評価基準」

こんにちは。ラボ事務局の杉田です。
今週もラボ代表及川による「介護新聞」連載企画(第32回)をお届けしてまいります。
第32回のテーマは「人事考課・評価制度⑤=評価基準」です。

 人事考課・評価制度をテーマにこれまで4週かけて解説してまいりましたが、いよいよ今回がラストとなります。
評価制度の肝となる「どのように評価するか」そのための評価基準について深掘りしていきます。

 評価基準の確立は、個人のキャリアパスや給与、昇進の基盤ともなります。成果を上げるための目指すべき方向を示すことは、ビジネスの成功に直結し、果ては組織の成功に繋がっていきます。
 これまでの回でお伝えしたことに加え、本記事の内容をご理解いただき、自社の評価基準の確立にお役立ていただければ幸いです。

介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる
連載第32回 「人事考課・評価制度⑤=評価基準」

 評価基準は等級基準一覧表をもとに評価すべき目標を作成します。目標は種別を決めておくと設定しやすくなります。具体的には
職能等級=コンピテンシー(優秀な成果を発揮する行動特性)・保有資格
職務等級=KPI(重要業績評価指標)/KGI(経営目標達成指標)・MBO(目標管理)
役割等級=KPI/KGI・MBO・コンピテンシー等。
 各目標達成度は一般社員と役職者で比較し、定量目標と定性目標どちらにウエイトを置くかを決めます。

 最終的な評価結果を導き出すルールは絶対評価の場合、評価結果の良し悪しをA、B、C等階層化します。さらにA評価は90点以上など基準点を決めます。相対評価の場合、A評価は上位5%等割合を決めます。

 昇給ルールは評価結果によって昇給または降給させる額を、号俸の昇給幅によって確定します。高評価を何回受ければ昇給するのか、といった評価回数と昇給の関係も明文化します。
 昇格ルールは昇給と同様に評価目標の評価点や高評価点となった回数を考慮します。昇格する権利を得られる号俸数を決めるケースもあります。昇進ルールにおいては、上記ルールに加えて昇進試験、上長への申請など追加の承認手順を設けることもあります。

 新制度をもとに算出した給与と現状の給与を比較します。極端に降給する社員は新制度適用期の給与に調整給で上乗せします。調整給をいつ外すかは慎重に検討してください。
 新制度導入によって不満を持つ社員は必ず現れます。例えば手当をなくしたことで極端な降給となり給与水準を戻せる力量のない中間管理職。また、高い技術を買われ高待遇で中途採用となった社員が、チーム力なども求められるコンピテンシー評価導入に異論を唱えるなど。このような不満を持つ社員を特定し、網羅的に対処することが求められます。

 新制度は職員全員の理解が求められます。制度理解度を阻害する要因を見つけるためにはヒアリングが効果的です。
情報到達度=制度内容は人から聞いて知ったのか
内容理解度=分からない用語は何か
昇給基準の理解度=キャリア明確化―
といったヒアリングを行います。

各部門管理者へは
内容理解度=社員からよく質問されること
個別対応力=社員から質問や相談されて答えられなかったこと
進行管理=滞りやすいタスク、社員の提出率が芳しくない資料―
といったヒアリングをしてみてください。

 新・評価制度の説明資料を管理者に用意し、評価方法を教える講座を盛り込みます。研修で制度説明するだけでは実践に結び付けることは難しいです。専用の研修レジュメを作成し、ワークやロールプレイ等頭と体を動かす研修を検討しましょう。

 実際に評価制度を管理者に運用してもらうためには、評価制度の必要性を啓もうするだけでなく「職務」として強制することも効果的です。管理者の昇格基準に評価面談の実施率を盛り込むなど工夫しましょう。

 多くの社員が新制度に懐疑的です。まずは新制度に変わってどのようなメリットがもたらされるか明確に伝えます。そのためにも説明会用の資料を工夫してください。新評価制度によって給与や評価基準に対して不満を抱く社員が少なからず現れます。マネジャーを介して評価制度の変更点、給与の差異を説明します。

 評価制度に対して社員からの質問や要求への対処も想定しておきます。評価制度の説明資料を共有し、自ら課題を解消してもらうことが、人事部としては最も工数がかかりません。質問窓口を作り、質間に対してマネジャーに回答を促す等対応手順を決め実行します。

 評価制度は事業所オリジナルで作成するため導入のハードルが高いと感じる事業所が多いのではないでしょうか。厚生労働省では就業環境整備・改善支援事業として専門家を派遣するほか、介護労働安定センター北海道支部でもキャリアパス組立等の相談による無料専門家派遣事業も行っています。
 公的制度を活用し、専門家のアドバイスを受けながら仕組みづくりに着手することをおすすめします

介護新聞9/15付「介護福祉事業所の人事労務戦略室―次世代リーダーを育てる!!」
http://wwu.phoenix-c.or.jp/~medim/kaigo/2023/202309kaigo/kaigo20230915.html

今週もご訪問いただきありがとうございました!
また次回、第33回の記事でお会いしましょう!

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