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牛と昆布はぐるりと廻っている。
昆布巻き、のことではありません。
まずは北海道の地図を思い浮かべてください。大きな四角形として、下の角のところ。タイトル写真の、えりも岬です。
えりも岬はえりも町にあります。岬から坂を上った丘の上に、えりも短角牛の生産者であり、昆布漁師でもある高橋さん家族が営む高橋牧場とそこでのびのび暮らす「えりも短角牛」の焼肉店「まぶりっと(守人)」があります。
向こう側に見える海では日高昆布がとれます。丘、山と海が近いことが分かりますね。
8月の初め、昆布の最盛期の高橋さんの昆布水揚げの様子です。船で採ってきた昆布をワイヤーで干場まで引き上げているところです。黒く見えるのが昆布の束です。
この昆布を広げていきます。重いです。腰が痛くなります。
こーんなにきれいに並べて、夏の太陽で乾かします。朝5時に出漁の合図が出たら一斉に漁場へ。陸に戻れば家族総出で乾かします。昔はこどもたちは小学校に行く前にお手伝い。
さて、江戸時代から、脈々と続いてきたこの仕事に暗雲が立ち込めたことがあります。
えりもの砂漠化です。
明治から昭和にかけて、燃料用や、放牧地のための伐採で森はなくなりました。森がなくなれば、砂漠化が起こります。山が砂漠になれば、土砂は海に流れ込み、昆布も、魚もとれなくなってしまいました。
そこで立ち上がったのが漁民です。
詳しくはこちらへ。(わたしのオシ。とてもいい記事!)
「海は山の恋人。山は海の恋人。」と高橋さんはいいます。
何年もかけてえりもの山の緑化を成功させた漁師たち。
昆布が取れず大変だったころに、彼らは短角牛を飼い、生計を立てました。
高橋さんの言葉はこちらへ。
サムネイルに出ないけれど、家族写真がすっごくすてきです。見て、読んでほしいです。
今はたった一軒になったえりも短角牛の牧場が高橋牧場です。
高橋さんが、こどもたちに話すのを聞いたことがあります。
「短角牛が牧場の草を食べるべ。そして牛のうんこが土の栄養になるんだな。そうしてその栄養が、ゆーっくり土の中をとおって、海に届くのさ。海の栄養になるんだな。そして昆布や魚が育つんだ。それを人間が食べるの。大きくぐるーっと回っているんだな。」(写真はその時の高橋さん)
大きな循環の中で、牛も昆布もひとも生きていることが、こどもたちに伝わりました。
「昆布漁の船に乗って海に向かうと、この海の向こうにいろんな仲間がいるんだろうなぁと思う」と、スローフーダーの高橋さんは言います。海のこっち側の仲間も向こう側の仲間も、高橋さんの支えになっていることが伝わってきました。
えりも短角王国・まぶりっとのインスタはこちらです。おいしそう。
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