見出し画像

生命保険で100点満点を取る方法(3) ~「安心」に立ちはだかる「3つの壁」

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
あなたは、自分の保険に自信を持てますか?
あなたの保険が100点満点をとるための考え方を、何回かに分けて紹介していきます。今回はその3回目。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

(記事の概要)
生命保険に加入する目的は、「安心」を手に入れることである。適切な保険商品に加入し、しっかりフォローしてくれる担当者がいれば、「安心」は手に入る。しかし、実際には「安心」はなかなか手に入らない。それは「ほけんの壁」「情報格差の壁」「ほったらかしの壁」という、3つの壁があるからだ。


▶「安心」を得るための2つの条件

人は、なぜ生命保険に入るのでしょうか?
「病気やケガに備えるため」「亡くなったときの家族の保障」「老後資金の積み立て」など、目的はいろいろあります。そのすべての目的に共通するのは、「安心したい」という気持ちです。「安心」が手に入れば、生命保険に入る目的は達成されます。
 
「安心」とは具体的にはどのような状態でしょうか?
次の2つの条件を満たせば、「安心」といえるでしょう。
 
■第1の条件: いざというときに「本当に役に立つ保険」に加入している
■第2の条件: いざというとき「しっかりフォロー」をしてくれる担当者がいる
 
たしかに、この条件を満たしていれば、「安心」できますね。
しかし、「安心」を手に入れるのは、簡単ではありません。私たちが「安心」を手に入れるために、乗り越えなければならない3つの大きな壁があるからです。

▶第1の壁 「ほけんの壁」

※「ほけんの壁」については、こちらで詳しく解説しています

(前編) 
 https://note.com/hokenbosatsu/n/ne0d944444cf8

(後編)

生命保険は、保険金を受け取ってはじめて価値が実感できるサービスです。保険金を受け取るのは、病気、ケガ、死亡といった事態が発生したときです。人生の中でもそれほど経験するものではありません。保険は健康な人が加入するものなので、お客様で保険金を受け取ったことがある人は多くはないでしょう。なので、ほとんどのお客様は、生命保険の本当の価値を知りません。
 
保険のセールスマンはどうでしょうか?実際に保険金を受け取った経験のあるセールスマンは、ほとんどいません。お客様と同じです。もちろん彼らは知識として生命保険のことは知っていますが、保険の本当の価値はよく知らないのです。
 
このように、生命保険の世界では、価値を知らない人(セールスマン)が、価値を知らない人(お客様)に、保険の話をしています。これだと「本当に役立つ保険」に出会うのは難しそうです。保険金を受け取ったことがあるかないかで、生命保険に対する考え方は大きく変わります。これが「ほけんの壁」です。保険金を受け取ったことがある人は、保険の本当の価値を知る「あちら側の人」、保険金を受け取ったことがない「こちら側の人たち」は、保険の本当の価値を知らない人です。生命保険についてのやりとりは、ほとんどがこちら側の世界で行われています。

ほけんの壁(イメージ)

お客様が「本当に役立つ保険」に入りたいと思っても、セールスマンが保険の本当の価値を知らないのですから、そもそも無理があります。第1の条件【いざというときに「本当に役立つ保険」に加入している】を満たすのは、かなり難しいといえるでしょう。

▶第2の壁 「情報格差の壁」

かなり難しいとは思いますが、第1の「ほけんの壁」を乗り越えられたとしましょう。しかし、第2の壁「情報格差の壁」が控えています。「本当に役立つ保険」には、なかなかたどりつけません。
 
公平な取引が行われるためには、売り手と買い手が同じレベルの情報を持っていることが前提です。

レストランを例に説明します。お客さま側は食材や調理法にそれほど詳しくないかも知れませんが、使っている食材が高いのか安いのかは、おおよそ見当がつきます。また、実際に食べてみれば、「うまい」「まずい」はわかります。お客さまとシェフが同じレベルの情報を持っているとは言えませんが、お客さま側でも食事のよしあしはある程度判断できます。どんなに雰囲気がよいレストランであっても、おいしくなければ客足は遠のきます。お客さまは自分の下で味覚を判断できるからです。
 
保険はどうでしょうか?
保険は食べることもできないし、触ることもできません。感覚的によしあしを判断するのは不可能です。もちろんパンフレットに保険の内容は書かれています。しかしパンフレットで使われている言葉は、日常的なものではありません(「保険金」と「保険料」の違い、わかりますか?)。保険の世界では、お客さまの持っている情報よりも、売り手側が持っている情報のほうが圧倒的に多いのです。
 
情報量の格差が大きいと、公平な取引は行われにくくなります。売り手側は、自分たちに都合のよい情報は出しますが、都合の悪い情報は隠すことが多くなります。お客さまの側からすると、セールスマンの情報しか情報がありません。本当はもっとよい商品があるのかも知れませんが、セールスマンが教えてくれなければ、知ることもできません。売り手からの情報をもとに判断するしかないのです。
 
セールスマンがすすめている保険は、実は彼らにとって利益が大きい商品であり、お客さまのためにはなっていない、なんてケースはたくさんあります。でも、お客さまの側で商品ごとの利益率なんて知ることもできません。保険のセールスマンが全員悪人だというつもりはありませんが、やはり利益の大きい商品を売りたくなるのは人情です。
 
この「情報格差の壁」も、「ほけんの壁」と同様に、お客さまが「本当に役立つ保険」に加入するのを妨げています。第1の条件【いざというときに「本当に役立つ保険」に加入している】を満たすのは、難しいです。 

▶第3の壁 「ほったらかしの壁」

「ほけんの壁」と「情報格差の壁」は、保険選びを妨げる壁でした。
三つ目の壁は、フォローしてくれる担当者に関わる壁です。
 
面談形式で保険に加入する場合、お客さまとセールスマンはいろいろな話をします。生命保険は病気や命といった重たいテーマを扱うので、お互いのことをよく知ることが大切です。お客さまがこの保険に入ろうと決断する理由は、保険の内容以外に、セールスマンに対する信頼があります。したがって、お客さまは、病気や死亡といった事態が発生したとき、そのセールスマンがフォローしてくれるものだと期待します。
 
ここでいうフォローとは、保険金の手続きだけではありません。保険に加入しているお客様が、保険金を受け取るのは当たり前です。保険会社や代理店は本来の業務として、保険金の手続きをします。しかし、病気や死亡という事態が生じたときは、お金以外でのフォローも必要です。どのような治療をしたらよいのかとか、死亡後の手続きはどうしたらよいのかといったことです。ここまでフォローしてもらえれば、お客さまも保険に入っていてよかったと思えることでしょう。
 
「加入時のセールスマンがしっかりフォローする」、それが本来あるべき姿です。しかし、お客さまの期待は裏切られることが多いと思います。
 
なぜでしょうか?
それは「金の切れ目が縁の切れ目」だからです。
 
あるお客さまが生命保険に加入したとします。そのお客さまに病気や死亡という事態が発生するのは、通常、契約からかなり先(10年後とか20年後)になります。生命保険は加入するときに、健康状態を確認するので、加入後すぐに病気になるという確率は低いからです。
 
20年後にお客さまが病気になったとしましょう。
契約してから20年の間、お客さまとセールスマンとの関係はどうなっていると思いますか?
 
お客さまは20年間ずっと保険料を払い続けています。お金を払っているのだから、セールスマンとの関係も良好と思うかも知れません。しかし、それはレアケースです。その理由は、生命保険の手数料のしくみにあります。下の図をごらんください。

生命保険の手数料のしくみ(一例)

セールスマンが受け取る手数料は、1年目がいちばん大きく、2年目以降はガクンと下がります。おおよそ5年~7年で手数料は打ち止めになります(手数料の受け取り方は他にもさまざまな種類があります)。この図のポイントは、8年目以降は手数料が発生しないことです。
 
セールスマンからみると、加入後8年経過したお客さまは自分の利益に貢献しなくなります。もちろんそれまで手数料をいただいていたのですから、本来は8年目以降もしっかりフォローをしなくてはいけません。ただ、悲しいかな、人間は弱いもの。お金がからんでいないと、フォローに力が入らなくなります。契約してから8年もたつと、お客さまとセールスマンとの関係はかなり希薄なものになります。
 
もちろんこれは一般的な話なので、しっかりフォローをしているセールスマンもいます(菩薩も現役時代はしっかりフォローさせていただきました)。ただ、そのようなセールスマンは希少動物のような存在です。たいていの場合、時間の経過とともに、お客さまは「ほったらかし」になっていきます。
これが「ほったらかしの壁」です。
 
病気や死亡といった事態に遭遇し、本当に困ったときに、セールスマンの手厚いフォローは期待できないとすると、「安心」は手に入りません。第2の条件【いざというとき「しっかりフォロー」をしてくれる担当者がいる】を満たすのもなかなか大変です。 

▶まとめ

今回の話をまとめます。
 
・生命保険に入る目的は、「安心」を手に入れることである
・「安心」とは、「役に立つ保険に加入すること」と「しっかりフォローしてくれる担当者の存在」である
・しかし、3つの壁が「安心」を手に入れることを妨げる
・「ほけんの壁」と「情報格差の壁」は、役に立つ保険に加入することを妨げる
・「ほったらかしの壁」により、セールスマンによるしっかりとしたフォローは期待しにくい

 
「安心」を手に入れるのは、思ったよりも大変です。
でも、あきらめるのはまだ早いです。あなたが「安心」を手に入れる方法はあります。次回は、3つの壁を乗り越えて「安心」を得るための5つのポイントを紹介します。
 
お楽しみに!


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集