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#9 『小学校それは小さな社会』を見て〜オーストラリアの学校現場から〜
みなさんこんにちは。オーストラリアの小学校でアシスタントティーチャーとして働く2児の母、ホジコです😊
山崎エマさんの『Making of a Japanese 小学校〜それは小さな社会〜』を見ました。見たと言ってもニューヨークタイムズのYoutube チャンネルで本作品を抜粋した20分程のダイジェスト版『Instruments of a Beating Heart』で拝聴しました。オスカー賞にノミネートされたとのことで全世界が今注目している作品です。ぜひ、多くの方に見て欲しいです!!!
冒頭の「6歳児は世界のどこでも同じようだけれど、12歳になる頃には、日本の子供は”日本人”になっている」という言葉にいきなりドキっとしました。
本当にその通りだと思います。小学校は実際の社会の縮図。社会に出たときにその国に貢献できる人材を育成する、すなわち、その国のシステムや文化、国民性が反映されているのです。
オーストラリアの小学生たちも年齢を重ねるにつれて、明るくて親切、お喋り好きでちょっと適当なオージーに仕上がっていくのを感じます。
この作品を見て、日本の小学校が「ああこんな感じだったな〜」と懐かしく感じると共に、私が小学校に通っていたのは30年も昔のことなので、「今の日本の小学校ってこんな雰囲気なんだな〜」とも思いました。
日本の小学校の素晴らしい点をいくつも再発見しましたが、やはり”行事ごと”への取り組み方には圧倒されました。
この映画では新小学2年生が新入生を入学式で迎え入れるにあたり演奏会を行います。ベートーベンの「喜びの歌」をハーモニカ、ハンドベル、タンバリン、太鼓など色々な楽器に分かれて演奏しました。
皆堂々と演奏していて、演奏の完成度の高さに鳥肌が立つくらいでした。
オーストラリアの小学1年生は絶対にこんな難しい演奏できなーい!!!と思いました。
なぜ日本の小学校では可能なのか?それは長い時間をかけて毎日コツコツと当日に向けて練習を重ねたからです。昼休みに自主練習をしている姿や、先生がそれをサポートする姿、家練を促す様子などが映されており、生徒と先生の真剣さが伝わってきました。
また、先生たちのアプローチが「クラス全員で成功させよう!」という方法を取っており、練習をして来なかった子に対してクラスの足を引っ張っていると厳しく叱る場面もありました。
●生徒一人ひとりに役割と責任を与え、それを全力で遂行させる。
●一人ではできないこともみんなでやれば乗り越えられる。
●クラスとしての一体感を生み出し、相手を思いやる気持ちを育む。
そんなメッセージが込められているように感じました。
オーストラリアにも行事はあります。運動会にあたるスポーツカーニバル、学芸会にあたるアッセンブリーでの出し物、展覧会にあたるオープンナイトなどです。
しかし、スポーツカーニバルでは本番一発で短距離走などを競うだけ。チーム競技もありますが練習することはほとんどなく楽しむ目的です。ダンスなどのお遊戯はありません。生徒たちも勝った負けたで涙するようなことはありません。
毎月行われる全校集会のアッセンブリーでは、クラスで出し物が行われますが、こちらも決められたセリフを少し言ったり演技をする程度のものです。カンペが置かれていて暗記をしなくてもいいようにもなっています。
正直なところアッセンブリーに関しては、先生の教え方リーダーシップの取り方の良し悪しが出てしまうな、と思っています。クオリティの高い出し物をするクラスもあれば、ほとんど練習しなかったよね?というクラスもあります。
いずれにしても、日本の小学校の行事を通じて培う人間力は将来光輝くものになるでしょうし、行事という大変なイベントを牽引する先生たちにも脱帽します。
日本は集団を重んじる、オーストラリアは個を尊重する。
この違いを改めて認識させられた短編映画でした。