30代保育士の友達は70代
保母から保育士へ
保育士が保母と呼ばれていた時代がある。
平成11年(1999年)から24年経っているが今でも時々「保母さん」と呼ばれることもある。
今の40代半ば以上で保育士養成校で資格を取った同僚は「保母」がスタートだった人たちだ。
全ての人がそうではないことは最後まで読んでもらえると分かるのだけど、時々価値観が違うなと思う人がいる。
事例 独り占め問題
例えば、クラスに5体しかない人形を独占して遊んでいる子がいたとする。
「独り占めしないの!」
え、別に良くない?と私は思うのだけど、他に遊びたい子がいるかもしれないからダメだという主張らしい。
それで、貸してほしい子が「かして」と言って、貸さないともっと怒られる。
え、遊びたいんだから別に良くない?
ただ、そこには保育士の仲介が必要かなと思う時はある。
貸してほしい子が物理的な手段に出たり、使っている子が聞こえないフリをしたりしたときは、仲介する。
暴力も無視もやってはいけないこと。
「〇〇ちゃんもつかいたいの?」
「かしてって言ってみたら」
「いやだったらいやだ って言ってもいいよ」
「あとでかして ってきいてみたら」
「いまつかってるからあとでね って言うんだよ」
こんな感じ。
「あとでね」の「あと」があっさり5秒後の時はかわいいなーと思う。
私は、子ども同士が対話することを大切にしている。
貸すか貸さないかはその子が決めることだと思っている。
独り占めしないでみんなで仲良く遊ぶ
理想はそうだよ、間違ってない。
だけど、そんな思うようにいかないことが保育現場には、いーっぱいある。
保育士養成校というのは理論を学ぶところであって、実践的なことは現場で学んでいる。
なので、資格取得時に保母だったからこういうことを言うんだとは思わない。
むしろ、保育士で免許取ってるのにそういうこと言う!?って感じる人もいる。
その時の園のやり方(文化)がその人の保育観を作っていると言っても過言ではないのでは?と思う。
私も初任の園の考え方は、強く軸として残っていると感じる。
同僚のQ先生
保育士(かつては保父・保母)の資格は一度取得したら、一生涯有効だ。
なので、同僚の中には70代の保育士がいることもある。
今まで勤務したさまざまな園に、早朝、夕刻、土曜の開園を支えている70代がいた。
正規保育士が時差勤務をするにあたって、手薄となる時間に出勤して保育園の運営を支えている。
高齢保育士にとっても1日数時間、週に数日という働き方が体にも負担がなくていいらしい。
私は同僚のQ先生のことを尊敬している。
(仮名がQなのは日本人に使わなさそうなアルファベットだから。特に深い意味はない)
約半世紀前に保母資格を取得して、昭和の時代に働き始め、令和の今も子どもたちと関わっている。
途中、学童で働いたり、子育てや孫育てでブランクはあるようだが、孫が大きくなってきたから、と数年前から今の園で働いている。
その関わり方がとっても素敵なのだ。
ちょっとしたことで内心イラついている自分と比べて、どんな時でもおおらかで穏やか。
子どもの話をきちんと聞いて、しっかり目を見て向き合う。
独り占め問題も、まずは子どもの気持ちを受け止める。
言動があれ?と思う同僚よりもはるかに年上。
きっと資格取得時点では違う保育のやり方が主流だったのだろうけど、時代に合わせて変化させてきているのだと思う。
ということは、やはり資格取得時点での呼び方が保母か保育士かなんてことは全く関係ないんだなと思い知らされる。
私が一方的にQ先生を慕っていたのだが、ひょんなことから我が家にお招きするチャンスが訪れて連絡先を交換した。
Q先生のパートナーさんが眠るお墓が我が家の近くにあるらしく、この辺りまではよく来るらしい。
親よりも年上の友達だ。
まだ日程は決まっていないのだけど、ウキウキルンルンしながらその日を心待ちにしている。
片思いから初デートが決まった中学生かよ。笑
時代にあわせて価値観を柔軟に変え、自分を変えられる、そんな保育士に私もなれるだろうか。
おしまい