#14 「あり方を整える」を保育者の当たり前へ。
のいえ保育園の開園まで、1ヶ月を切りました!
3年ほどに及ぶ準備期間はハイライトの連続でした。その中でも大きな存在となっているのが、半年間のワークショップ研修『NOIE QUEST』です。
この研修は、ワークショップデザイナーとして活躍する20年来の友人に設計と実施を依頼し、私も職員とともに半年間の探究を体感しました。
全10回の模様をブログで公開してくれていますので、興味のある方はこちらからご覧ください。
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今回は、NOIE QUESTが完了した後のお話です。
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NOIE QUESTの5回目で生まれたコンセプトワーク
「ぴんくのだんごむし」
この体験を多くの方に味わってもらい、”分かり合えない”から始めるま〜るいコミュニケーションの輪が広がっていくことを意図して、カードを製作することにしました。
違いがあることを前提にしたコミュニケーションを自分たち自身が言語化して多様な人と分かち合うために、クラウドファンディングに挑戦することに。ご支援をいただいたみなさまのおかげで、昨春に「ぴんくのだんごむしカード」が完成しました!
このクラウドファンディングにはもう一つ挑戦がありました。それは、サポート頂いた方への返礼品の一つとして用意した『NOIE QUEST BOOK』の製作です。
「NOIE QUESTを生み出してくれた友人とのいえ保育園のスタッフが、研修を全て終え、過去を振り返りながら会話をしている」という設定で、研修を担当した彼が執筆してくれ、半年間の探究の軌跡が一冊の本になりました。(120ページほどのボリュームに!)
その中で、私は「あとがき」を担当しました。
今後、この本を世に出すことは今のところ考えていないので、探究スタジオを購読いただいている皆さまに、私が書いた部分だけになりますが、ご紹介させていただきます。
最後まで読んでもらえたら嬉しいです。
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あとがき
この本を読み終えた今、あなたの中には、どんな感覚があるでしょうか?
普段、こういった問いを投げかけられることはあまりないかもしれませんね。すぐに答えが出なくても大丈夫ですので、まずはゆっくりご自身と向き合ってみてください。
こんなとき私たちは、話したいことが湧いてきて、シェアをしたくなった人から対話を始めていきます。
聞き手のメンバーは、相手のシェアを肯定も否定もせず、「あなたはそう感じているんだね」と、評価を手放して、まずはそのまま受け取ってみます。
そうすると、聞き手の中にも伝えたいことや話したいことが自然と溢れてきます。こうなると、お互いの存在から触発が生まれ続け、対話がずっと止まりません。そんな瞬間を重ねていく場が、NOIE QUESTでした。
私たちが目指す「誰もが自分らしさに向き合える保育園」を実現するには、子どもの主体性や探究心が引き出されていく環境づくりが欠かせません。
今を生きる子どもたちは(大人にも言えることですが)、より一層、不確実で予測ができない時代の真っただ中にいます。これまで大切とされてきた認知能力に加えて、正解のない問いに挑む力と、それを楽しむことのできるマインドセットが、自分の人生を豊かに生きるために必要な資質となりつつあることは、疑う余地がありません。
こうした時代背景において、個々人の好奇心や感性がしっかり育まれる環境を乳幼児期に整えることは、私たち保育者の使命だと考えています。そのために極めて重要になるのが、園児に関わる大人自身が、日々探究を続けているかどうかです。
しかし、日々保育を営んでいく中では、どんなに気をつけていても盲目的になってしまう瞬間があったり、集団浅慮に陥ってしまうこともあります。そうした時に、自分たちの状況に気づくことができるか、チームの対話が機能しているかをチェックできるかは、非常に大きな差につながります。
そうした勘をチーム全体で身に付けるに当たって、この本に記してある各ワークや、のいえ保育園スタッフの変容がヒントになれば幸いです。
「あり方を整える」を保育者の当たり前へ。
半年間の研修を振り返った時、私の中に湧いてきた言葉です。
「のいえ保育園」は、日本中の保育者が深い次元で探究し続けることが当たり前となることを目指して、まずは自分たちの園から好事例を生み出し続けたいと思います。
私は、子どもも大人も、自分らしさに向き合いながら豊かに生きていく世界の実現を心から願っています。容易なことではありませんが、この本を手にしてくださったあなたとも、共に未来を創っていけたら幸いです。ぜひご一緒できることを楽しみにしています!
のいえ保育園の取り組みに出会ってくださったあなたへ、心より感謝申し上げ、結びの言葉とさせていただきます。ありがとうございました。
2020年 春
石川 聖
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探究スタジオ vol.14 ー2021年3月1日ー
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保育は人生そのものだ!
私にとっての「保育」という存在にも向き合っていきたい。子どもにとっての「保育」も、保護者や社会にとっての「保育」も考えていきたい。その営み…
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