読書日記その547 「アヘン戦争から解放まで」
著者はポーランド人のジャーナリストだが生まれが北京で、生涯の多くを中国で過ごす。そんな本書はやはり中国側の視点で書かれている。しかし反日のような感情論ではなく、冷静な視点で書かれているので、中国側の史観を知るにはとてもいいと思う。
中国は清朝後期のアヘン戦争からおよそ100年という長い間、列強の侵略に脅かされてきたことがわかる。人口も多く、文明も発達し、眠れる獅子と恐れられていたアジアの大国も、西欧の産業革命には刃が立たなかったようだ。
そして20世紀に入ると日本帝国主義による満州国建国。その後の中国侵攻。これがいまの反日感情へとつながることになる。そして孫文、蒋介石、毛沢東というリーダーがあらわれ、中国革命によって中国はギリギリのところで存続したのがよくわかる。
とりわけ毛沢東はいまの中華人民共和国を建国して、中身はどうあれ、世界と渡りあえる国の礎を築いたのは確かだから、中国からしたら英雄であろう。