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歌舞伎観てきました!22 『於染久松色読販』『神田祭』仁左衛門&玉三郎 2018年3月
2018年3月歌舞伎座にて観劇 ※別のSNSからの転載です。
この1月、松竹座でまったく同じ2演目が上演された。6年経っても相変わらずすてきなお二人に違いない。大阪まで駆けつけられなかったので、昔の観劇記録を読み返しました。
【於染久松色読販】二幕。
仁左衛門さんが鬼門の喜兵衛。
玉三郎さんが土手のお六。
この演目でこのペアは、40年ぶりらしいので、掛け声もたくさんかかる。仁左衛門さん、作者の四世鶴屋南北とは本当に相性がいいらしい。2017年秋の国立劇場での「霊験 亀山鉾」もカッコ良すぎた。
演じているように見えず。
ひとめで貧乏とわかる店先でたばこをくゆらす二人。それだけで絵になる。喜兵衛は、人の100両を平気で使い込むような悪党なのだが、この場では、すぐバレるような浅知恵で、油屋に強請りに行く底が知れたケチな小悪党にすぎない。自分の弟がけがをさせられて死んだと嘘をついて、屍体を運び込み、強請っている最中に屍体が生き返る(フグの食中毒で仮死状態だったらしい)し、死んだはずの男・久作が機嫌よく油屋にやってきて、嘘がバレる。まぁ冴えないことこの上ない。
最後は、騙すための屍体を担いできた篭を、夫婦で担いで帰るという締まらない幕切れなのだが、なんとも言えない愛嬌があって、篭を担いで花道を歩く二人に大喝采である。
玉三郎さんの開き直った図太さや、婀娜っぽさも絶妙。
【神田祭】
直前のお染久松で、ペア愛全開だったので、観客席はそれはもうすごい暖まりよう。モテモテのいなせな鳶頭の仁左衛門と、人気芸者の玉三郎のイチャイチャが止まらないっー。
ちょっとした仕草に、どよどよと客席からため息がもれる。2人の動きに合わせて、みんなの頭が動く。幸運なことに、わたしの座る一列目27番は、ちょうど仁左衛門さんの踊りが向かってくる方向。こんなことはきっとないぐらい近い。あぁ、美容室に行ってから来れば良かったと後悔。
仁左衛門さんが縁台に乗って、若衆に持ち上げられる。ちょっと怖い!ぐらっとしたらどうするんだと思ったが、ビクともしない。みんな必死だ。
手を左右に振って、チンピラどもを手早く蹴散らす仁左衛門。蹴散らされるチンピラの表情が真剣かつ「蹴散らされて至福そう」なのもいい!
わたし、きっと仁左衛門さんがいなくなったら、一生歌舞伎は観ない。そう心に決めた夜になった。それぐらい稀有の至福感を漂わせている舞台だった。
※2018年3月には上記のように申しましたが、その後も歌舞伎観劇を続けるなかで、本当にすばらしい若手の役者さんたちに出逢いました。撤回です!。1ヶ月に1回でも1年12回。それをあと20年続けられたら240回のお芝居が見られます。少しでも長く楽しくお芝居が見られますように。
このnoteでもたくさんの方がわかりやすく歌舞伎をご紹介くださっているので、いつも読ませていただいています。