[場面緘黙症・緘動また発達障害・不安障害・不登校などの生き辛さ]への理解 第27話「一緒にいてもおしゃべりできないあの子」
(ご理解いただけたら、周りの方に伝えたり、この投稿をシェアしていただけるとうれしいです。)
長女は4歳の時、幼稚園入園をきっかけに場面緘黙症・緘動(※)を発症しました。
我が家の3人の娘たちは学校に行かず家庭を中心に過ごしています。
※:家庭などでは話すことができるのに、社会不安のために、ある特定の場面、状況では話すことができなくなる疾患。強い不安により体が思うように
動かせなくなる「緘動(かんどう)」という症状が出る場合もある。
症状や困難さはそれぞれかと思いますが、我が家の場合を伝えていきます。
15歳の長女は幼い頃、通りすがりの人や店員さんに「こんにちは」と声をかけられると、私の耳元でこうささやきました。
「知らない人に"こんにちは"って言うなんて、恥ずかしくてできない」
その時私は、
「今、"こんにちは"って言葉言えてたよねー。しかもそれより長い言葉をちゃんと言えてるじゃない。」
と内心思いながらも、恥ずかしさをごまかすちょっとひねくれた言い訳なのだろうと思っていました。
その後、幼稚園入園をきっかけに、4歳だった長女は場面緘黙症・緘動を発症。
話せないだけでなく体を動かすこともできず、園での支援は"完全介護状態"と表現されるほどでした。
長女にとって、症状が出る特定の状況以外の、話したり動いたりできる場面でも、挨拶や乾杯、誰かの誕生日にハッピーバースデーをみんなで歌うなどは難しいことでした。
恥ずかしがり屋や引っ込み思案、内弁慶など性格のひとつとしての表現では説明できない長女の状態を見続け、幼い頃に教えてくれたあの言葉は、ひねくれているわけでも、努力不足でもなく、長女にとっての困り事を打ち明けてくれていたのだと分かりました。
その長女と8歳年の離れた6歳の三女にも、よく似たところがあります。
しかし、全てが初めての経験で余裕のなかった長女の子育てでは、心配や焦りだったことが、今ではほっこりする癒しのエピソードに変わるから不思議。
「みんな~!こ~んに~ちは~!」
という感じでお姉さんやお兄さんが、こちらのリアクションを期待するようなテレビ番組やイベントは小さな頃から苦手な三女。
三女の場合、その問いかけに返すことが恥ずかしいだけでなく、問いかけをスルーすることにも抵抗があるようです。
感覚に敏感なのは面倒なことも多いけど、心も繊細で優しいんですよね♡
そんな三女には、いつも身近にいるのにどうしても話しかけられない相手がいます。
グーグルさんです。
ゲームなどのアプリを探したいとき、Googleプレイストアで検索するときのこと。
三女はタブレットを握り私のところにやって来て、小声で「"おりょうり・こども・げーむ" って言って」などと言ってから音声検索のマイクボタンを押し、私に向けます。
検索ワードはバッチリ、私には小声で言えるのに、グーグルさんに向かってはどうしたって言えないのです。
そんな妹を見かねて、長女が文字入力の仕方を教えてあげました。
それからは文字でグーグルさんにお願いできるようになり、おかげで、私のスマホを使ってお姉ちゃんたちや大好きなおばあちゃんと、ラインのやり取りを楽しめるようにもなりました。
「だーーーいすき」や「あいたいよーーー」などの思いを、いつでもどこでも伝えることができるようになった、今日この頃の娘6歳です。
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(注)私たち家族は長女が診断されて以来、下の二人の娘も含め、療育、相談、医療の機関に定期的にカウンセリングに出向き、登校できなくても、在籍する学校の先生と連携を取っていただいています。