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静かに、ねぇ、静かに|本谷有希子 はすごい本だゾ

大きめのブックオフに行き、さら~っと本棚を見たあと「ま行」に行きます。
好きな作家さん「ま行」に多く。
本谷有希子さんも好き。腑抜けども悲しみの愛を見せろ、と、生きてるだけで愛、のような勢いある話がとても好みです。

掲題の「静かに、ねぇ、静かに」はなんとなく購入。
3日後くらいに電車で読もうと持ち歩き、読みはじめる。3本の短編集。
1本目は「本当の旅」というタイトル。

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目的の駅に到着しておりて改札過ぎたけど、本の続きが今すぐ読みたくてカフェを探す。待ち中も続きを読む。

「本当の旅」は3人の中年男女がマレーシアに行く話。3人とも「国の制度に頼りたくない」とかいって国民年金払っていなさそうな感じ(払っていたら申し訳ない)。
地球の歩き方を読んで映えスポットにいきスタンプラリーのように写真を撮り自分たちの価値観を誉めあう。
表現すごいな、と思ったのは、LCCの搭乗手続きのときのシーン。


状況
3人が1列になり、少し離れて前にいた「づっちん」の荷物が搭載量ぎりぎりの7kgを超えていたようで、揉めている。列が動かない。周りのお客さんもいらいらしている。後ろにいた「ヤマコ」はそのづっちんを動画に撮り3人のグループラインにアップする。


今づっちんが感じているであろう居たたまれなさ、恥ずかしさ、屈辱のようなものを、僕らはまるでテレビの中の出来事のように笑うことができる。そして動画にタイトルを付けてしまえば、そこには奇妙な余裕みたいなものが生まれる

静かに、ねぇ、静かに|本谷有希子「本当の旅」

現実を僕らなりのいい感じに編集していけるのかなあ。と思う。

静かに、ねぇ、静かに|本谷有希子「本当の旅」

言語化がすごい。
内輪ノリっちゃあ内輪ノリなのですが、今SNSがあるから完全な内輪ノリってほぼ無くて外からの見られ方を意識しまくっている。
現実を編集してなんでもないことのようにしてSNSにあげることで内省というか「搭載量守ろうよ」とか「追加料金払おうよ」という意識が全く無い。

すごい本読んだ。
夫にも「本当の旅」だけでいいから読んでほしいな。

あとの2作も面白いけど個人的一番は「本当の旅」でした!

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