営業嫌いな営業マネージャーが「事業CSO」になったワケ
こんにちは、ナイルの岸と申します。
29日に最終営業日を迎え、今年も早いもので残りわずかとなりました。
この1年間、営業・マーケティング界隈で外部の方と新規で出会う機会も増え、とても楽しい時間を過ごせました!今年出会った皆様に感謝申し上げますm(_ _)m
さて、2020年はコロナという未曾有の要因があり、世の中のセールスマンはつらい時期を過ごしたかと思います。僕のチームでもその影響を受け、営業戦略や営業スタイルを環境に適合させるために様々なことを変えないといけない、そんな挑戦の日々でした。
その時期を乗り越え、僕は「営業マネージャー」から「事業CSO(chief sales officer)」と役職が変わりました。2020年は、結果的に変化と挑戦の年となり、多くの失敗と成功を繰り返し、学びも多く得られたので、2020年の「締め」として筆を執ることにしました。
今回は2020年1月1日に出したnoteのマネージャー業務のその後になります。↓
実は、今回あまり『営業嫌い』は語って無く、、笑 前半はコロナ直後の取り組みと2020年に行った施策について。後半には営業マネージャーからCSOになった理由をまとめております。
あくまで今年の自分のまとめとして書いておりますが、noteという媒体を通して1人でも参考となるようなアウトプットになれば嬉しいです。
▼2020年営業マネージャーとして行ったこと
前提として、、
僕がどんな会社でどんなチームを持っているかお話します。
現在『ナイル株式会社』でデジタルマーケティングのコンサルティング商材を提供している部署に所属しております。営業マネージャーとしては、組織マネジメント、商材開発、アライアンス開拓がメインで時々営業現場に出ています。
営業メンバーは、この業界では珍しく僕含めても5名しかおらずコンサル出身の少数精鋭のメンバーで構成されているチームです。
マネージャーとしての経歴は、2018年7月から現チームのマネージャーとなり失敗しながらも2019年は営業の土台作りを取り組み受注率・受注額ともに大幅に改善することができ、流れとして順調に進んでおりました。
そして、2020年。
1Qは過去最高受注額を更新し、とても好調な兆しが見えていましたが、、3月ごろからコロナという謎のウイルスが話題になり、最終的にここまで世の中で猛威を振るうウイルスになるとは想像できませんでした。
この時期の2Qの結果は、年初に設定した目標は未達となったものの、実はYoYではプラス着地となり、大規模なマイナスな影響を回避することができました。
前提として、コロナ状況下で営業・事業部全メンバーが頑張ってくれた結果、生まれた成果が大きいです。その中で、僕としてもコロナでどんな動きをしていたか振り返ってみようかと思います。
下記の4点がポイントが自分としては良かったと考えています。
①判断/決裁スピードは早く、常に微調整しながら進む
②オンライン環境でも適応できるセールス組織に
③環境に適合しない仕組みはぶっ壊し再構築
④フルオンラインでの新人教育を実施
①判断/決裁スピードは早く、常に微調整しながら進む
当時、常に意識していたのはこの言葉でした。この先どうなるか分からない状況でありながら、現場では多くの問題が発生しており、相談事項も多く増えました。
よくあるケースで、コロナ直後の幸先が見えない状況のとき、相談内容が判断しきれず、持ち帰ってしまう(or 検討事項にしてしまう) ことが多くあると思います。ただ、この時期の現場は、今まで以上に環境の動きが早く、「検討事項」とすることで後手に回ること多かったのです。
また、現場は想定以上に物事が早く動いているため、検討している間に新たな検討事項が次々と舞い込み、最悪何も解決できないまま現場の不安だけが蓄積してしまう状態になっていたことでしょう。
そのため、ほとんどの相談は、
・その場で回答 or 1営業日以内に回答
・Yes/Noをはっきり言う
上記の2点を意識しておりました。
「判断材料がないままYesって言えなくない?」という意見もあるかと思いますが、それ以上に当時は現場の対応が遅れる可能性があったことと、外部環境の流れに乗り遅れることでの損失の方がよっぽどデメリットでした。
Yesと伝えた事項もリスクがあれば併せて伝えた上で、再報告(その相談事項が上手く進んでいるか?)を定期的に行い、継続/撤退ラインを決め、それを常に把握できるようにし、微調整をかけながら進めていました。
今思えば、Yesと言って「正直アレ無駄だったよね、、」と言える施策もありましたが、それ以上に進められた施策も多く、結果のリターンの方が大きかったので痛くも痒くもありませんでした。
②オンライン環境でも適応できるセールス組織に
実は、僕らのチームはほぼ100%訪問で営業しているチームでした。理由は事業貢献を目的としているコンサル商材のため、やはり顔を合わせて営業することが必然的に重要でした。
コロナ状況になり早い企業で2月中旬からフルリモートになり始め、弊社も3月の上旬から徐々にリモートにシフトしていきましたが、やはり営業活動は懸念事項に上がりました。
とはいえ、確度を上げのために感染リスクが高い状況でメンバーを外に出すことは流石に危険と考え、この際訪問前提の営業スタイルをすべて捨て、オンラインでの営業スタイルに変えていくことにしました。
今振り返ると、今では多くの企業がリモート環境にあるため、結果的に良かった話になりますが、あの当時に判断した時は正直不安が大きかったです。
が、決定した後は結構吹っ切れていて、
オンライン営業にする→訪問時間が短縮=営業対応に時間を費やせる!
という発想になっていました。
転換時期はトップダウンで決めました。メンバーには4月1日から「リモート営業」を基本スタイルとして変えてもらい、訪問する場合は承認制を取るようにしました。一部、不安視するような声も上がりましたが、意外とスムーズに移行が進みながら、マネージャー側としては並行でオンライン営業について色々な本やセミナーに参加しインプットしては、現場に落とすことを工夫しておりました。
結果的に、5月の緊急事態宣言で多くの企業がリモートワークに移行しましたが、緊急事態宣言まで1ヶ月準備があったので、世の中がフルリモートになったときには、自社のオンライン移行は完了してました。今でもオンライン営業は引き続き行っており、結果的に100%訪問から95%オンラインに切り替えることができました。
時間で言うと訪問のときよりも1人+3案件は対応件数が増えたと思います。ここまで早くオンライン営業に切り替えられたのは次の話にも繋がります。
③環境に適合しない仕組みはぶっ壊し再構築
「ぶっ壊す」という荒々しい言葉で申し訳ないですが、、結構マネージャーになってから意識していることで、この時期にこの思考は役立ったと思います。
実はオンライン営業に切り替える事と同時に何点か懸念事項があり、そこを移行前に改善できていたことがシフトをスムーズにさせました。
・脱 はんこ承認
・SFAでの進捗管理
・チャット(テキスト)から音声コミュニケーションに
・脱 はんこ承認
この話はお客様の捺印ではなく「社内の承認印」でした。もともと契約書チェックのために社内の管轄にスタンプラリーをしていたのですが、リモートワークに伴いこの『はんこ』を全撤廃しました。
コロナによって出社しているマネージャーも様々だったので、はんこがもらえずに契約書が送れない問題が発生すると考え、はんこ承認自体を無くすことに踏み切りました。
ただ、新たにシステムを導入する時間もなかったため、その日のうちに関係者を集め、撤廃~新フロー構築まで約1営業日というスピードで実現しました。実際、今でもそのフローで効率化できております。
※おそらくコレだけで一人あたり約5時間/月は削減できました。(1案件平均30分×10案件)
その後弊社にもクラウドサインが導入され、お客様とのご契約書のやり取りについてもスムーズに進めることができました。
・SFAでの進捗管理
これは以前から結構触れていますが、コロナ前にSFAをしっかり運用していてよかったと振り返っても思います。それに加えコロナにより再設計しなおしオンライン環境でも管理できるようにしました。
おそらくSFAの運用ができてなかった場合、
・見込みの精度
・営業の進捗管理
・1on1の精度
・メンバー×マネージャー間の共有頻度
・コロナで現場がどう変わっているか
このあたりは大きく変わっていたor把握できなかったことが多いと思います。この話はコロナの為に何かを行ったわけではないですが、いち早くSFAで管理できるようになっていた事で、コロナ環境下での問題の把握、オンライン営業にシフトしやすかった要因にもなりました。
・チャット(テキスト)から音声コミュニケーションに
リモートワークになって直後、Slackでのテキストコミュニケーションがめちゃくちゃ増えました。返信する僕もそうですが、メンバー側もご丁寧に長文でまとめてくる状況を見て、これはアカンと思いました。
なので、何回かキャッチボールしないと解決しない相談は「Slack電話して!」と伝えることで、マネージャー×メンバー間での音声コミュニケーションのハードルを下げにいきました。
結果的に相談は音声が多くなり、決定事項だけSlackに残せばいいので20分以上やり取りしているコミュニケーションも5分で済むことが多くなりました。加えて、リモートワークで懸念視されるコミュニケーション不足などもこういった取り組みで概ね改善することができました。
※Discordも検討しましたが、標準ツールがSlackだったため圧倒的にSlackの方が使いやすくDiscordは導入しませんでした。
④フルオンラインでの新人教育を実施
2019年7月に新体制になってから1人新人営業を入れてなかったのですが、2020年の7月にとうとう新しいメンバーを入れることになりました。ただ、コロナによりフルオンラインでの環境下での実施だったため、オンラインでできる営業チームの「研修カリキュラム」を初めて作りました。
計127pで3回のカリキュラムに分け、基本的なビジネスマナー・マインドセット・ナイルの営業の考え方・正しい営業手法・キャリアビジョンなどを盛り込んだ資料を作りました。
研修資料を作ったことで、右も左もわからない新人営業マンに対して資料で分かりやすく説明でき、見るべき方向性がマネージャーの思いとすり合わせられる事ができたので、オンラインでも快適に実施することができました。
下記より一部抜粋して載せておきます。
↓ナイルの営業の心得(一部分だけ公開)
↓営業リードに対しての考え方
↓営業のスキルマップ
▼その他、2020年に行ったこと
①成績表の作成
2020年の1月に2019年の振り返りとして若手メンバー向けに成績表を作成。評価面談だけでは伝えきれなかった潜在的な課題を理解してもらったり、今後のキャリアにおいて必要なスキルを提示したものになります。
②バブルチャートでの業界別分析
SFAに蓄積された過去の受注・失注・辞退データから「業種×営業メンバー」での掛け合わせて傾向を分析していました。
そうすることで、
・マッチしている業界/会社の特徴、失注リスクのある業界
・営業によっての得意不得意業界の傾向
が分かってきます。
なので問い合わせいただいたお客様の案件を託す際にはそのあたりを意識して案件をパスすることで受注率の向上を図りました。
ただ、来年からはこのあたりは自動化していく予定なので、今後僕が分析をゴリゴリする手間はなくなりそうですw
↓ほぼマスキングしていて見ずらいですがこんなのです 笑
③パレート分析によるロイヤルクライアントを定義
過去数年間で取引をしたお客様傾向を分析したもので、その中でもLTVが高いお客様をスコアリングして傾向を見たものになります。
この棒グラフの下にそれぞれ会社名とスコアが記載されており、ロジックとしては、特定の期間の中で、取引金額×商談件数×平均金額でスコアリングを行い、パレート分析したものを見ながらご提案を行う会社様を選定していました。
④営業合宿
12月に営業合宿を行いました。内容としては半日で問い合わせ~提案までをロープレで行い、最後にFB会を行うものになっております。
目的としては
・潜在的な自分の課題感を知る機会
・既存サービスに縛られない提案の幅を広げる
・他メンバーの営業を知ることで自分との違いを知る
こんなことを思いながら企画を行い、実際行ってみて現状の提案の幅、営業段階での準備の粒度、オンライン営業での流れを再確認でき、僕としても学びが多い会となりました。
↓ロープレ後のFB会
▼なぜ事業CSOになったのか?
そんなこんなで、ココからがタイトルの本題となりますが、10月1日からCSOになりまして、営業ユニットだけでなくマーケティング・広報のユニットも見るようになり、『リード獲得~契約締結+フォロー』までをまるっと見ることになりました。
CSOになった経緯ですが、実は前フリはなく急に決まりました。笑
ナイルには8年以上いるのでこのスピード感にはそこまでビックリしなかったですが、1on1で突然代表から「10月からCSOにするから」と言われ、『あ、はい。』と返答し決まりました。
後にCSOに選ばれた経緯を聞いたのですが、『コロナ環境下でのスピード感のある動きとリスク回避。そして事業部全体に対する課題提示→改善を評価した。』と。
会社から評価されたことは嬉しかったですし、もう1点、僕自身としても今後のキャリアとしてリード獲得に伴うマーケティング面を見れることが、結構自分自身嬉しかったです。
実はCSOになる数ヶ月前僕はこんなツイートをしていました。
このツイートは多くの営業界隈の方にコメントをいただき大変うれしいツイートになりましたが、僕が思う将来のビジョンとして「営業」という枠組みを超えて、『マーケ×セールス×CS』これがすべてできる人になりたいと。※昔の営業は基本はこれだったのですが時代の流れで変わってしまったらしいです。
要は「売る」だけでなく、将来的に事業貢献までサポートでき、顧客満足度を上げるところまでやりたいと考えていました。その思いを持った数カ月後にCSOとなり、結果的にマーケティング面も管轄できるようになり、前回の記事で述べたコンサル営業を目指せる組織を作れる1歩になりました。
なので、あまり肩書がついたから「偉くなった」とかは、1ミリも思ってなく、やれる幅が増えただけで、CSOと自信を持って語るなら最終的に結果を出さない言えないと思ってます。なので今の自分は『CSO(仮)』と思っているので来年のまとめでは胸を張って言えるように頑張ります。笑
実際CSOになってみて、正直楽しいです。
お客様の声をヒアリングする機会も増え、よりお客様の課題感やニーズとひたすら向き合う時間が多くなりました。それによって営業に直接活かせられる点も多くあります。
今後についてはマーケティングの知見を活かし、より「売り込む営業」ではなく「買ってもらう営業」にシフトしていきたいと思っています。
このあたりは前回のnoteで述べた通りです。
あと、その他の詳しい施策は、年始にMtameさんの「エムタメ!」の取材で10,000文字くらいの記事が出たので、詳しい話についてはそちらをご覧いただければと思います 笑 ↓↓↓
▼2021年に挑戦したいこと
2021年の抱負みたいな感じにはなりますが、主にこのあたりです。
・営業時の顧客体験の向上
・PR面を強化し自社の認知拡大
・インサイドセールス(SDR)の強化
・新領域の商材販売
・営業組織の効率化(継続)
・年間目標の達成(ギネスを作る)
主に考えていることは、「認知拡大」と「顧客体験の向上」です。
自社メディアの認知はもともと高いですが、もっと社名+サービス内容を知ってもらう取り組みをします。認知だけでなく自社を知ってもらった後、ユーザーは多種多様な比較検討があった上で問い合わせや商談が生まれます。その中で、よりよい営業体験ができる仕組みを作ることと、リード獲得から提案、契約締結、契約後のオンボーディングまでの流れを滑らかにすることで、お客様にとってノンストレスな対応を実現したいと思います。
また、2021年については営業も拡大していきます。
営業・マーケチームともに2020年以上に新たな挑戦が必要になりますが、より強固なチームを作っていきギネス記録を叩き出したいと思います。
あと、社外での取り組みも積極的に行っていきます。
直近で企画していることとして来年1月1日から、「3Ps(スリーピース)」というTwitterで出会った、とある社外の営業マネージャー3名と、営業マネージャーに関するノウハウや体験談を語るコンテンツを配信していきます!主にStand.fmやAnchorで定期的に音声配信しますので是非チェックしてみて下さい!
また、来年12月に毎年恒例の営業アドベントの幹事をネオキャリアの竹田さんと務めることになりました!すでに何名か声をかけ始めていますが、来年も多くの方をお会いしスカウトさせていただきますwもちろん立候補も歓迎です!
それでは皆様、良いお年を!!
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