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集中し過ぎて疲れてしまう同志へ

こちらの記事は、2024年7月発売の小鳥遊著作「『発達障害』『うつ』を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 『生きづらい』がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方」(ナツメ社)の内容に関連したものです。

いわゆる「過集中」

私には、ADHDによくある「過集中」があります。過集中と言って、「すごい集中できるんだからいいだろう」と思う人もいるかもしれませんが、課題はそこではなくて、「集中がコントロールできない」ところにあると思います。もっと言うと、いったん入った集中状態を解くことが難しい点に困りごとがあるのではないかと考えています。

集中が極度に続いてしまうため、集中状態を解くことができず、その結果「十分な食事や睡眠時間がとれず体調を崩す」「ルールや優先順位を守れず人間関係が悪化する」といった実害が起こることが、過集中のデメリットです。

とはいうものの、そもそも集中状態のオンオフなんて、誰であっても自分の意志でコントロールできないと思っています。だから、ADHD特性の有無関係なく、自動的に集中力が切れるような仕組みを作るのが大切だと考えています。

集中を解く仕組み

私の場合だと、やるべきことを小分けにして、一段落したら集中を解く行動をするというのが現実的な対策です。やるべきことを小分けにするためには、タスク管理でいう「タスクの分解」が有効です。「会議の資料作り」とだけ考えて長い時間をかけて一気に作るのではなく、「項目だし」「ラフ案作成」「上司に確認」「上司からフィードバック」「修正」「提出」という段階に分けて、その都度一息入れるのです。

一息の入れ方も工夫のしどころがあります。人によっては、椅子に座ったままストレッチをすることもあるでしょうし、席を離れてちょっと歩くという人もいるでしょう。私の場合、会社員時代はコーヒーを淹れに行ったり、ビルの外階段に出て遠くを眺めたりしていました。

あえて過集中を利用する

過集中への対処、いかに過集中を終わらせるかというアプローチもある一方、過集中を利用する考え方もありだと思います。「過集中」は別の側面からいえば、素晴らしい才能やスキルだとも考えられます。

私は、過集中にどっぷり浸かるために、わざと余裕を持ったスケジューリングをするときがあります。今まで3冊の書籍を執筆してきましたが、その校正(誤字脱字や表記ゆれ、文章の構成や文法の使い方、内容に矛盾がないかなどを確認して修正すること)はできるだけまとまった時間に集中してやることにしています。

先日も、妻子が実家に帰るタイミングで一日独りになる状況が作れたので、思い切り校正作業にいそしみました。午前中から夜までひたすら原稿を読んでアカを入れ、また読み返してアカを入れ、という作業を延々とやっていました。そして夜は好きなものを食べ、早めに寝ました。

過集中の傾向があるのであれば、それを利用しない手はありません。もし同じような傾向のある方は、「過集中」をうまく利用できる状況を作るのが良いと思います。

このときは、「おそらく一日中アカ入れをするだろうから、疲れるだろう」「他の仕事が身に入らないだろうから、他の仕事の締切を調整して、校正だけに集中できるようにしよう」と考えて、思う存分アカ入れに集中できる状況を作りました。

ということで、「過集中」に関しては、その存在を大いに認めつつ対策するという両面のアプローチを持つことが大切ではないかと思っています。


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