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優しい桜色の仏様
火葬場で 焼かれて出て来た母の骨は ほんのりピンク色をしていて 薬のせいらしかった
お骨を骨壺へ納めるプロの方が 白手袋で長い箸を持ち
こんなに綺麗な形で残っているのは とても珍しいんですよ
と 最後にノド仏を持ち上げて その場の全員に説明して下さった
こちらを向いて合掌しているノド仏が 母が優しい仏様になった姿にも見え
もしかしたら 仲良しだった3歳の孫の為に 人の死というものを 分かり易く教えてくれているんじゃないか? という気がしたり
私達へも心配しない様にや ありがとうと感謝を述べている姿にも思えて
母の中の桜色の仏様に
ほんのちょっとだけ救われて 火葬場での皆の悲しみの空気も ちょっとだけ緩和した気がする
急なお別れが淋しくて どうにも耐えられなかった叔母2人と私と妹で
ピルケースに入る位の欠片でいいから お骨を個々に持って居たいとなり
叔母が私達の為に 手のひらに乗るサイズの小さな骨壺も用意してくれたので そちらにも残す事にし
納骨前の夜中 こっそりと蓋を開けて一人で決行した
父は勿論 皆には内緒の話
その時に 一番上に乗っていたノド仏を もう一度拝ませて貰い
あまりの美しさと尊さに 描き残したくなってしまって スケッチブックにデッサンをした
こんな特別な機会は 二度とない
母の店で売り物だった 給食用のコップ入れが 黄色地に大きな苺柄の巾着が可愛いかったのと サイズもピッタリだったので
小さい骨壺はそれにしまって
その苺ママを いつも鞄に入れて どこへ行くにも持ち歩き 話しかけて抱いて寂しさを紛らわしていた
雨の日に濡れない様に 苺ママに傘地でカバーまで作ったっけ…
もう遠い昔の記憶になってる なんだか懐かしい
何処にでも連れて行けるサイズの 苺ママのお陰でどうにかギリギリ救われていたと思う