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終わりよければすべてよし

私は1日の終わりにこの言葉をよく思い浮かべる。
朝から電車が遅延して焦った日も、仕事でミスをして落ち込んだ日も、
思うようにいかないことが重なった日も。

でも最近、まさに「今日という日」にぴったりだと思う出来事があった。



私は基本的に、いつも同じ車両の同じ電車に乗って通勤している。
その日もいつものように混み合った乗り換えホームを歩いていた。
長いエスカレーターを降り、電車を待つために右に曲がろうとした瞬間
私のリュックが誰かにぶつかった。

都内の朝のホームでは、人混みでぶつかることは日常茶飯事。
わざとではないし、気にせずやり過ごそうとした……その時だった。
「チッ」
後ろから、明らかに私に向けられた舌打ちが聞こえたのだ。

振り返ると、おばさんがこちらを睨みながら歩き去っていく。
「朝からなんてことだ!」と内心呆然。
これから仕事に向かわなければならないというだけでも憂鬱なのに、さらに嫌な気持ちを抱える羽目になるとは。
それでも、私は生粋の社内ニート。
出勤そのものが最大のミッションなので、平静を装いながら職場へ向かった。

1日はいつも通り過ぎ去り、退勤後にLOFTへ足を運んだ。
その日は、好きなブランドのサンプルクーポンがあったからだ。
月に2〜3回ほどクーポンが届くのだがいろんなサンプルが試せるので私の楽しみでもある。
意気揚々と店内に入り、店員さんにサンプルがまだ残っているか聞こうとした。

すると、そこにいたのはまたもやおばさんだった。(朝とは違う)
一瞬、心の中で「また舌打ちされるかも……」とビクビクしながら
意を決して尋ねた。
「まだサンプルクーポン、ありますか?」

おばさんは満面の笑みで「ありますよ!」と答えてくれた。
さらに、無料の紙袋に丁寧に入れて渡してくれるという心遣いまで。

私はただクーポンを使いに来ただけで買い物はしなかったのに、
その親切さが心に染みた。まるで朝の嫌な記憶が溶けていくようだった。

「次に何か買うときは、絶対にLOFTで買おう。」
そう心に誓いながら、両手で表彰状を受け取るように紙袋を受け取った。
おばさんの優しさに触れた私は、その温かさを誰かに分け与えたいと思うほど満たされた気持ちになっていた。

家に帰り、紙袋を開けると、温かい気持ちがふっとよみがえる。
そのとき朝の出来事も思い出したが、不思議と嫌な気持ちは残っていなかった。
むしろ、こう思えたのだ。

終わりよければすべてよし!
1日の最後に心が温かく満たされた今日は、いい1日だったと。


あなたの今日はどんな一日でしたか?

あまりいいことがなかったと思う日だったら、こう考えてみてください。

「終わりよければすべてよし」という言葉の通り、今日の終わりに何か小さな良いことを自分にプレゼントしてみるのもいいかもしれません。
お気に入りのお茶を入れたり、好きな音楽を聴いたり、自分の心が好きなもので満たされる感覚や時間を作ってみてください。

1日がどんなにバタバタしていても、最後に少しでも心が温まる瞬間を作ることで、きっと「今日はいい日だった」と思えるはずです。

そしてもし、この物語であなたの心が温まったのなら嬉しい限りです。

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ほぼ社内ニート
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