月の暈を見た。【冬の1コマ】
乾いた月かと思いきや。
12月の夜。
吐く息が白む感じをつかむ深夜の頃合い。
頭に降る白い光が、からだにやけに張りつくようで、それが気になった。
つい、見上げる。
「月……じゃなくね?」
てっきり、冷気に磨かれた月がいつもよりも鋭く光を街におろしているのだと思っていた。
が、別にそんなことはなく、歩道に立つ街灯が爛々と照っているだけのこと。
「……」
ただ、それも好ましく思う。
冬の細い木々の枝を、薙ぐようにまっすぐ降りそそぐそれは、乾いた冬の晴夜をあらためて私に思い知らせてくれた。
散った光が一瞬虹色の輪をつくったように思えて、それが月の暈のようにも思えた。
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