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結ぶ
「来年もお互い頑張ろうね」
インスタグラムのコメントに返信をくれた。
もう15年も会っていないひと、Sちゃん(仮名)とインスタグラムのみで繋がっている。
彼女は小中学校時代の同級生だ。
小学校は同じクラスだったが、中学では3年間別のクラスで関わることがなかった。
保育園が一緒だったとか、高校受験のために同じ学習塾に通ってたとか細かいことが思い出せない。
Sちゃんとはどんな仲だったのだろう。
中学を卒業してから彼女がどんな進路に進んだのかも知らないまま時間が過ぎていた。
良くも悪くもインターネットは思わぬ再会を齎した。
もう10年近く前になるだろうか。
今のXはTwitterと呼ばれていたり、実名顔出しのFacebookが流行っていた。
携帯電話の電話帳機能で勝手にSNS上でも相互フォロワーになっちゃうクソ迷惑機能のおかげで会おうとも思ってない昔の人たちと繋げられてしまった。
Sちゃんと再会したのはそれがきっかけだった。いや、成人式に行かなかったし、結局はリアルでは対面してないんだけどさ。
今ではFacebookも化石となって、俺もアカウント自体抹消した。以降Sちゃんとはインスタグラムで繋がりが続いた。
SちゃんはFacebookで再会した時期から付き合ってた彼氏と結婚していた。
時が流れるにつれて、自分の家を建て、出産を経て家庭を築き立派で美しい女性になっていた。
クラスで中心になるようなタイプではない控えめな女の子だった印象があったからこそ、その幸せそうな投稿を見るたびに俺も嬉しくなった。
最近、ふとSちゃんのフォロワーを覗いてしまった。
ふと、なんとなく、無意識に、と悪気は全くなかった。
ただでさえ少ないフォロワー数にいる男が、旦那さんと俺しかいなかった。
さらにはクラスで控えめとは言いつつ、友達はいただろう小中学校時代のクラスメイトらしき人も全くと言っていいほどいなかった。
なぜ俺を残してくれたのだろう。
俺は彼女のことをよく分かっていない。
一緒にいた当時は山Pが好きだったくらいしか記憶がない。
だけどSちゃんはその程度の関係としか思ってない俺を繋いだままいてくれている。
成人式にも行かず、人間関係リセットの癖で友達もめちゃくちゃ少ない自覚があるからこそ、その理由を知りたくなる。
旦那以外の男を、ましてやこんな馬鹿者を相手にしてくれるのか。
長らく会っていないからこそ
当時も濃くはない関係だったからこそ見える俺の人間像があるはずだ。
Sちゃんから見て俺はどんな人間だったのかを知りたくなってしまった。
そこに俺が失ったもの、探している何かがある気がして。
インスタグラムといういつ終わるかもわからないSNSという細い糸で結ばれているものの先に何があるのだろうか。
現代にタイムマシンはないし、そんなものは開発もされないだろうけど、なんらかの形で過去には戻れるはずだ。
この記事が彼女の目に届くとは思わないけど、またどこかで会えたらいいな。
俺を過去に連れて行ってくれ。