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「運命」は決まっているものでなく、自分で選ぶものだった

運命って、なんだろう。
これまで、私は運命をこのように解釈していた。

・自分の意思とは関係なく、巡り合わせる特別な何か
何か目に見えない力が導いているようなもの
・大きな流れに、自分が乗せられているような感じ
・とにかく、自分では変えられない、逃げられないもの

神様のような何かしらの力を持った人によって、「決められた、変えられない」ものだと思っていた。「この出会いは運命だった」、とか言うから。

私は、『名探偵コナン』の大ファンだ。
もはや、人生の軸になっているといっても過言ではない。

『名探偵コナン』には、多くの名言が登場する。主人公の江戸川コナンに限らず、モブキャラや一話限りの犯人まで、結構いいことを言う。

人間の泥臭いところまで素直にセリフになっており、共感できるものや心に留めておきたいセリフまで多くある。

しかし、一つだけ「ん? 」と思っていたセリフがあった。

江戸川コナンは、実は高校生探偵の工藤新一である。
黒ずくめの組織により「APTX4869」を飲まされ、幼児化してしまい、小学生の江戸川コナンになった。

そして、「APTX4869」の研究・開発に関わっていたのが、灰原哀だ。
彼女は元々、黒ずくめの組織の研究者、宮野志保だったが、組織から逃亡するため、自らAPTX4869を使った。(命を絶てると思っていた)その結果、コナンと同じく幼児化してしまう。コナンに出会い、APTX4869の解毒剤の研究を進めること、ともに黒ずくめの組織と決着をつけることを約束した。

組織のメンバーたちは、逃亡した灰原(志保)をひたすらに追い続けている。裏切り者は容赦無く始末する、それが組織の掟なのだ。怖い。

灰原は、組織が自分を追い続けることで、周りの人も巻き込んでしまうと考えている。だから、自分がいなくなれば、誰にも迷惑をかけず、黒ずくめの組織から逃れられる。これまでも、何度も「自分が消える」という選択をしようとした。

『名探偵コナン』29巻で、バスジャック事件が起こる。爆弾が仕掛けられていたバスから、灰原だけ逃げずに自ら命を絶とうとする場面がある。コナンがギリギリのところで灰原を助け出し言ったセリフ。

「逃げるなよ灰原…
自分の運命から…逃げるんじゃねーぞ…」

『名探偵コナン』29巻より

自分の運命から、逃げるんじゃねーぞ。

はじめに書いた通り、私は運命というのを、何か目に見えない力が導いている「自分の意思とは関係なく決まっているもの」だと思っていた。決まっているんだから、逃げるも何もないじゃない。

だから、この場面のコナンのセリフに少し違和感を抱いていた。

少し前、私はクライアントさまのWEBサイトをデザインのお仕事を進めていた。その際、、デザインが全く思うように進まず、とにかく苦しかった。時間をかけても、中々進まない。やればやるほど、正解が分からない、巨大な迷路に迷い込んだような…。

しかし、チームメンバーのおかげもあり、どうにかかたちにすることができた。クライアントさまにも喜んでいただき、ホッと一安心。

この時、なぜかふと「この案件は、私にとって運命だったのかもなあ」と思った。いやいや、待てよ。運命? これは、すでに決められていた、何か特別な巡り合わせなのか? 少し違う気がする。

ああ、そうか。運命は、特別な巡り合わせではないんだ。「決められたもの」や「逃げられないもの」ではなく、「自分が向き合わなければいけないもの」なのかもしれない。正解が分からない中で、逃げずに向き合ったからこそ、私は仕事に対して「これは運命だ! 」と感じられたんだ。

運命は、覚悟だったんだ。

だから、バスジャック事件のとき、コナンは灰原に「自分の運命から、逃げるんじゃねーぞ。」と言ったのか。灰原に対して「与えられた状況から逃げずに、自分の力で進め」というメッセージだったんだ。コナンにとっても、運命とは、覚悟だ。そして、コナンは灰原にだけでなく、自分にもそれを言い聞かせていたんだ。そう気づいた時、全てに納得した。

自分の力で突破し、たどり着く場所。
運命は、誰かが決めたものじゃない。
自分が選び続けた先にあるものなんだ。

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野元 萌乃佳
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