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自分も同じ、いじわるで残酷な気持ちをもっている。

今年の4月からコンビニでの仕事を始めた。
もともと働いていた人たちが7年から10年働いているときいて「わあ。働きやすい職場なんですね」と言うと、「さあーどうかなあ…」と苦笑いされた。
みんな仲良しそうに見えたし良い職場でよかったなあと思っていた。

しかし、月日がたつにつれ、一部の方と仲良くなっていくと、真実があきらかになっていく。
本当の裏事情を聞いてみると、
実は問題ありありな職場であった。笑

あの人はあの人と口きいてないとか、
あの人はかなりの気分屋とか、
挨拶を絶対しない人がいたり…
もうたちまち悪口合戦になってしまった。

言われてみて、よく観察してみれば本当だ、口きいてない!!

きけばBさんの態度に多くの人が振り回されている。
今までかなり仲良しだった人もいきなり全無視され戸惑っている。
わかる。Bさんは朗らかな一面もあるが、キレるといきなりバシッと感じが悪くなる。お客さんに対してもそうだから、よくそんな場面を目にしては密かに驚いていた。
私はいまのところその標的になっていない。
しかしいきなりそんなことになる可能性はかなり高い。こわいこわい。

ついこの間まで仲良く談笑していたのに
いつのなにをきっかけにか、話しかけてもまあったくBさんがそっけなくなってしまったと、
しかも土日はBさんと二人きりになる時間もあるからもう地獄だとなげいている新人Kさん。うわあそれは地獄だ。
Bさんだってやりにくくないのか?
Bさんはなんでそんなことを選択してしまうのだろう。

Kさんはそれこそ
それだけの仕打ちに値する何かをしでかしたというのだろうか。
あんなに仲良しだったのに!!

これは新人いじめなのか?通過儀礼なのか?

そう、通過儀礼という言葉が頭をよぎってしまう。
そこまで意識はしていないのかもしれないが、
なにかこう・・
Bさんだけでなく、厳しい視線をふと感じることがある。
仲間にいれてやるかやらないかはまだ判断されている途中というか、油断してはならないような気配を感じるのだ。

皆さん長く働いているだけに、
ここぞとばかりひそかに結束をかため、新人を品定めしているように思えるのだ。だから、気軽に一緒になってBさんのことを悪くいうのは危ないような気がした。まだ私にはそんな資格はないのではないか。
調子に乗って言おうもんなら、もちもちさんって生意気だよねな感じになりかねない。いつのまにか私が標的にされるかもしれない!


急な病で7月に約ひと月入院した。
その間に、私の枠を補う人も含めて何人か新人の方が入っていて、
その中に少し個性的な20歳の男の子がいた。

アーティストを目指していて音楽が大好きでギターをやっているという。
いうなればちょっとオタクな感じ。
でも話を聞いてみると「サザンとも仕事したことがある」と言う。
すごいじゃない!と驚いた。
夢中で好きなことをやっているのを感じて私はワクワクした。

見た目はたしかにひくところもないこともなかったが(ごめんなさい)
私は基本「オタク」の皆さんが好きだ。
「オタク」が世界を救うとすら思っている。(笑)
とにかくやりたいことを夢中でやっている人をみるのが好きだし、応援したくなる。

だから、何人かの人がその男の子を陰で笑いものにしているのを知った時、ちょっとショックだった。
つい男の子のかたをもってしまう。
「音楽大好きでがんばっていてすごいじゃないですか。私は応援しちゃいますよ」というと「えー。あの子気持ち悪いよねー。私はあの子がどんなに有名になっても絶対応援しない!」とクスクス笑いあっている。

私はちょっといじわるな気持ちになる。
男の子のこといえるだけあなたたちは素敵な人なのか?
見た目気持ち悪いって人の事いえるのか?
夢中でなにかにうちこんでいるなんてすばらしいじゃないか!
どうしてそんな20歳の彼をそんなふうにダメ人間のように言えるのだろうか。そんなあなたたちのほうがよっぽど・・・!
いやいやそこまで言ってはいけないか。
私も人の悪口を言い始めてしまうことになる。
そんな気持ちをもっていたら
生意気な人間のオーラをかもしだしてしまう。


Kさんは「店長にも言ったんです。Bさんが口もきいてくれないし、やりずらいと。そしたら店長も以前のアルバイト時代に無視されていた時代があって大変だったらしくて・・」

ええっ。そうだったんだ!
てことはBさんはもうかなり長いこと皆が認めた困ったさんなわけなのだ。そして誰も何もいえないままご機嫌とりながら10年くらいすごしてきているのか。ひゃー。そしたらKさんの要望もまるで聞いてもらえないだろう。
実際に「Bさんはそういう人だから・・」と同情されただけで話が終わってしまったらしい。

しかしKさんは夢中になってその話を日々繰り返す。
仕事中にも普通に話していて、Bさんの耳にも届きそうな勢いだ。
いやそれがねらいかな?

でも、言えば言うほど今度はKさんがめんどくさい人になってきてきられてしまうのではないか。
本当はそんなことではいけないのだけれど・・・。

Bさんはそんな問題人間であってもいままで10年近く働いてきているのである。ちょっそやそっとじゃ改善されないだろうし、ましてやBさんをやめさせるというわけにもいかないだろう。
Kさんはそのあたり、どう思っているのだろう。

でも、でもね。
実はKさん、私が入院後に復帰してきたとき、とても感じ悪かったんだよなあ・・・と思い出す。Kさんは若いけどコンビニ経験が多いのでいろんな知識があってベテランで、私が復帰してまごついていた時「そんなこともできないんだ」みたいな白い目攻撃をいただいたんだよなあ・・しばらくの期間。
ちょっとショックだった覚えがあるのだが、でもはやく慣れなくてはと必死に感覚をとりもどそうとしながらKさんのご機嫌もとり、ようやく普通に口きいてもらえるようになったんだっけ・・・
Kさん、覚えているだろうか。
あなたもBさんのようだったよ・・・。


いやいやもっと言えば
私はまさにBさんのようであった。小学生の頃。

一番仲の良かった友達をいきなり無視した。
よく覚えている。
意識してやったのだ。

私はいやな人間だった。

そして当然のごとく嫌われ、クラス中に嫌われ
このことは大事件に発展していった。
担任の先生も交え、
私の問題行動は制裁された。

大好きで仲良くしてくれていた友人をなんの悪びれもせず自分の気分で無視して傷つけた自分に与えられた当時の制裁方法は
子どもの私にとってかなりショックなことであり
私の人生を変えるくらい、
私の人間形成上不可欠なほどの大きな意味をもつ出来事になった。

しかし、あれくらいやらなければ本人は自分のしていることがどんなにひどいことなのかわからないのかもしれないのだと今では思う。



そしていま私は
Bさんをみながら
そして人の悪口を言って笑っている人を見ながら
私も同じ。と思うのだ。

私もこの人たちのことをなんら非難できる人間ではないのだと。
自分も同じ、汚い気持ちをもっているとつくづく思う。

そのことをいつも忘れないでいたいと思うのだ。

こんなところで、
こんな50年近くも前の経験がまたむっくりを頭をもたげ、私の気持ちに訴えかけてくるなんて思いもよらなかった。


私には、
自分はどんなにひどい人間だったかという思い出がたくさんある。

子育てをしながら自分の子ども時代がよみがえり、
考えさせられることが多かった。
自分の子どもたちの方がよっぽど人間関係円滑であり、親として思い出話をすることすら恥ずかしく思ったが、
当時の反省もこめて
「おかあさんはこんなにひどい人間だった」とよく話すことがあった。
話しながら自分の子ども時代に帰り、たくさんの人たちを傷つけたことなどから目をそむけてはいけないと思うようになった。

私の真実をこどもたちにきいてもらえたことで
心を浄化できたのかもしれない。


あの経験を少しでも意味のあることにしていかなければいけないと思う。

Bさんに自分を重ねながら、
この職場でみんなが仲良くできるよう
少しでも居心地の良い職場になるよう、
なにか私ができることはないだろうか。


「本当はみんな仲良くなりたいだけ」という思いを
また意識している自分を感じている。

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