見出し画像

山本容子さんはやっぱりかっこいい!山本容子版画展「世界の文学と出会う~カポーティから村上春樹まで」ー早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)

わあ!またこんな素敵な展示をやってる!

以前この早稲田大学国際文学館にて安西水丸さんの展示をしていた時に初めてお邪魔したのですが、昨日なにげなくホームページを開いてみたら山本容子さんの版画展をされているとのこと!!
またまた大喜びで行ってまいりました!

チラシにこの作品を選ばれているのがまたいいなあ!

10代の終わり頃、バイトをしていた美術書専門店で
知り合ったSさんは美術大学で銅版画を専攻していてその魅力を存分に語ってくれました。
私はその時銅版画といえば山本容子さんと思っていたように記憶しているので、その頃からとても好きな作家さんだったと思います。
バンドエイドやカミソリが描かれていた、初期の作品が載っていた画集も持っていました。

ああ!なつかしい!
この本も友達のプレゼントに選んだことがあります。

でも、恥ずかしながら、
私はカポーティを読んだことがありません。
知っているのは「ティファニーで朝食を」だけ。
しかも映画でみたことがあるだけです。
トルーマン・カポーティ。
名前の響きもとても素敵です。
近々挑戦してみたいです。

山本容子さんは作品に色を塗る時最初に白から始められるとおっしゃっていました。
輝いてみえてきれいでお好きなのだそう。
この絵でも白樺?の木が真ん中で輝いていますね。
ほんと、とてもきれいです。


山本容子さんの作品はみたらすぐにわかります。
だから東京新宿の伊勢丹地下入り口付近に大型の壁画が現れた時も
ああ!山本容子さんだ!と嬉しくなりました。

不思議の国のアリスですよね
食卓の風景!すてきです!

わあ。
これが仕事道具なのですね!

Sさんがみたらどれもこれもよくわかるものたちばかりなのだろうなあ。と思いました。Sさんは銅版画をとても愛していました。
こんな展示をみたらとても喜んだろうなあ。

山本容子さんは9Hの鉛筆をしっかりととがらせて絵を描いているということを会場で流れていた動画の中でおっしゃっていて、その鉛筆もありますね。

Sさんは一度私に銅版画を手ほどきしてくださり、
どこだっただろう、銅版画のプレス機がある場所でどうやるのか教えてくれて一緒に作品を作ったことがあります。
その時はニードルを使いましたが、本当に銅の板はすぐに傷がつくんだなあとその時とても驚いたのを覚えています。
一発勝負で描くのが怖くてドキドキするー!と言ってなかなか描けずにいた私の横でSさんはふふふと優しく笑っていましたっけ。

そして初めて「エッチング」の作品を作って、
線の魅力というものをつくづく感じ、
ああ、私にはそれがないなと落ち込んだものです。

動画の中で美術大学の学生さんが「どうして銅版画を選ばれたんですか」と山本さんに質問されていた時も、その「線」について山本さんはこたえていらっしゃいました。

細くてはかない線なのに力強い。存在感があるというようなことをおっしゃっていました。そしてそれをとても気に入っていると。
そのお気持ち、すごくよくわかると感じました。

山本さんは、学生さんへの講義が終わってから、
「もっととんがったものが欲しい」とおっしゃっていました。上手い作品をキレイに作るというのではなく、もっとこだわりのあるような、人とはちがうような、その人の表現に「とんがった」ところがある、そんなところを見せてくれる作品が見たい、と。

新しいもの、刺激的なもの、感動するもの、ワクワクするものを求めて形にしていくクリエイティブの世界をずっとずっと心から楽しんできた山本容子さんのお気持ちがにじみでるようなお言葉だなあと感じました。

そして、今回の展示で
山本容子さんの描く「線」の魅力を改めて強く感じ感動しました。

「哀しいカフェのバラード」本の設計図
すごい綿密に計画されて進められているのがわかります!
この本が「哀しいカフェのバラード」です
「哀しいカフェのバラード」の作品たち
やっぱり食卓の絵に魅かれる!

この本について、面白い記事をみつけました!
私は山本容子さんの絵についてばかり考えていましたが、Y2Kさんはこの小説の著者カーソン・マッカラーズを会話の中に盛り込んでいらっしゃって、この「哀しいカフェのバラード」につながっていきます。

少し山本容子さんの話からそれますが、
Y2Kさんの文章の中でコーマック・マッカーシーの「ノー・カントリー・フォー・オールド・メン」について語り合う場面が出てくるのです。

私も以前この人のこの作品について書いたことがあったので、あ!あの本のことだ!と興味津々で読みました。そしてコーマック・マッカーシーはノーベル賞を取れるような評価の高い作家だったのか!と驚きました。

そこからのカーソン・マッカラーズで、
私はこの作家を全く聞いたこともなかったんですが、
Y2Kさんが語る「哀しいカフェのバラード」を読んでいるとすごく読みたくなってくるのです。Y2Kさんの文章にもとても魅かれました。

また、この本の帯にも
「村上春樹がいつか訳してみたいと思っていた名作」とあります。
ほんとにすごい人なんだなあ!
すごく興味が湧いてきました!


さて、山本容子さんの作品は線だけでなく、版画に色付けをした作品もまた大変魅力があり、その選ばれる色やぼかし方などのセンスがとても素晴らしいと感じます。


会場入り口に飾られた作品たちが華やかに迎えてくれます
上段左より「ドン・キホーテ」「夏の夜の夢」「ダーバヴィル家のテス」下段左より「若き日の芸術家の肖像」「蠅の王」「マノン・レスコー」集英社ギャラリー「世界の文学」より
上の作品の中の「若き日の芸術家の肖像」です。真ん中にカーテンがあるのにちっとも邪魔になっていません。それどころか色も場面も調和しておもしろい構図になっています。
すごいなあ。

この作品たちがどんな商品になったのかというと・・・

わあー!なんて美しいのでしょう!
こんな素敵な本を一冊一冊購入していきながら
大事に増やしていけたらとても嬉しいのではないでしょうか。
そして内容も読んでみたいものばかり!

本の装丁のお仕事はデザイナーさんの憧れだと思います。
こんなに数もあり大変だったことと思われますが、
山本容子さんもこのお仕事はとても楽しく作られたのではないでしょうか。



この作品もとても心惹かれました。
山本容子さんの作品には、「時間の経過を一画面でみせる」というものがよくありますが、違和感なく魅力的に素敵にまとめられています。
下の方にいる人物と犬の配置も絶妙ですね!

プレヴェール詩集 ジャック・プレヴェール


だけど、ダイレクトに線の魅力が感じられる、
線描だけの作品は、やはりかっこいいなあ。

Faraway Call  CAPOTE SUITE 1979年
エッチング・アクアチント
Peep and Peel A Christmas Memory CAPOTE SUITE 1979年
エッチング・アクアチント
A Christmas Memory CAPOTE SUITE 1979年
エッチング・アクアチント
ファウスト ゲーテ著 1999年・2000年

山本容子さんの今回の作品は文学をテーマにしたブックデザインが主になっていました。そのことについて語った動画がまた面白かった!

「作品を面白がってもらえ、個展を何度も開くが、お客さんがどんどんきたかというとそうでもなかった時期もあった」のだといいます。
貧乏暮らしで雨漏りする家で傘で雨をよけながらも作品作りを続けてきたという話はとても意外でびっくりしました。

山本さんが手がけたよしもとばななさんの「TUGUMI」の装丁がヒットし、名前が知られていくようになるのですが、その時思ったのだそうです。

「本の装丁の仕事は本屋さんに作品が置かれるわけだから、個展をしているギャラリーにお客さんがきてくれなくても、日本全国の本屋さんがギャラリーのようになって自分の作品をみてくれる!」

そこから山本さんは本の仕事に積極的にとりくんでいったのだといいます。
そして、今ではブックデザインだけでなく、広告、パブリックアートなども含め多彩な活動を続けていらっしゃいます。

2025年はデビュー50周年を迎えられるのだそうです。すごいですね!


今回私が一番好きだった作品はこの2点です


そして、安西水丸さんの時のように、アンケートに答えると作品が描かれたステッカーをいただけるとのことで、今回もいただきました!

どれがあたるかなあ
やったあ!一番欲しかったのだ!

この展覧会は展示内容が1期2期とあります。今展示されているものは1月31日まで。そのあと2月1日から3月2日は休館となり、2期が3月3日から始まります。もちろん2期も行きたいと思います!
楽しみです!


動画の中で山本容子さんが「行きつけのお店」でワインを飲んでいらっしゃいました。
山本容子さんはとても素敵でかっこいいのでした。

そしてとてもおいしそう!

あ。そういえば21日はボジョレー解禁だった!なんて思い出して。
今日は久しぶりに飲んじゃおうかなと思いました。

今回も安西水丸さんの時のように都電荒川線を利用していきましたが、「飛鳥山」の駅で降りると、評判の良いワインのお店があったことを思い出し、
帰りに途中下車。1本購入しました。

ボジョレー ヴィラージュ ヌーヴォー 
オーガニックなのだそうです。ボジョレーにしてはコクがあるワインでとてもおいしかったです!

いいなと思ったら応援しよう!