見出し画像

声や言葉であなたがわかる

なんのスキルも強みもないくせに、ある程度の時給は欲しいとエントリーしたのはコールセンターの仕事でした。

経験と言ったって、たかがしれてるような50過ぎのわたしを雇ってくれたのは、やっと希望者がきた!という状況と、「クレーム対応」を嫌がらなかったからではないかと思われます。

いずれにしてもありがたい!
早く業務を覚えてお役に立ちたいと思いました。

業務は、ある企業の「お客様相談室」。
最初はなかなか商品が覚えられず、だけど慣れがすべてと果敢に受電に挑んでいるうちに笑顔で電話に出れるくらいの余裕が出てくると、
ふと思ったのです。

お客様はなんのために電話をしてくるのだろう。

商品の買える場所や使い方の説明、成分や効果のお訊ねもあり、時にはお叱りの言葉やお褒めの言葉もいただけ、もちろん当社の商品についてのお問い合わせのためにかけてくるにはちがいないのですが、お姑さんの話や娘さんとの話などがときにもりこまれ、生活の話をされることがあります。また、毎日同じ方が、同じ質問でかけてくることもあり、商品の質問の合間に漏らす愚痴をききのがさず、「それは大変ですね」などと心から話すと、もう次の日はかかってこなくなったりして・・・

いつからか、
もしかして私の声や言葉で少しでも元気になってくれるなら。と
考えるようになりました。


娘が大学の課題を映画「her」をもとに書いたと聞き、お母さんもその映画みたかったんだ。と意気投合しました。
たしかAIに恋しちゃうような内容だったよね。
娘が手続きしている映画配信会社でいまならみれるときいて早速みてみることにしました。

「AIは声だけだったんだね?」
ロボットのような存在の女性がでてくるのかと思っていたのです。

OSという、友達?恋人?話し相手?を声だけで設定するのですが、全く違和感はありません。声だけでこんなに存在感があるんだなあと改めて感心しました。そして主人公に合ったOSを設定する時もじっくり好みを聞いたりすることもなく、簡単な質問だけを声で答えてもらっただけで作ってしまうのです。

声や言葉には、その人の感情や悩み、希望していることなど
すべて含まれているという事なのでしょうか。

自分の仕事に通づるものを感じました。

だけど、この映画はもう何年もたっているし、AI技術はますますすすんでいるであろうに、こういう現実にはなっていないのはどうしてだろう?
こんな商品あったら絶対みんな飛びつきそうではないか。

そんなことを思っていたら新聞でこんな記事をみつけました。

日経新聞 11/28夕刊

AIはやはり生活のあらゆる場面で利用され、私たちの毎日をどんどん便利にしてくれているようなのですが、問題もおきているという、その問題の内容に驚きました。

〇対話型のAIが暴言を吐き始めた
〇人事採用AIが差別的な判断をした
〇自動運転車の事故での責任はどこにあるのか

暴言?わあ、やはりもうそんなところまできていたのですね。
EUでは、消費者がAIから被害を受けた場合開発企業に損害賠償を求めることが出来る権利を盛り込んだ指令案を公表したそうです。

この記事にある「ELSI(エルシー)」という言葉は初めて聞きました。
倫理的(Ethical)法的(Legal)社会的(Social)な課題(Issue)の頭文字をとった言葉だそうで、AIをめぐる問題のことをいうのだそうです。

また、最後のしめくくりとして
「子供の頃からのリテラシーを身に着ける教育の在り方も考えるときです。」とあります。
リテラシーってなんだろう?と調べてみました。

急速なデジタル化に伴い、いまでは本来の意味のほかにも様々に派生した「リテラシー」が存在しているようです。
金融リテラシーとか、ネットリテラシーとか「リテラシー」という言葉に言葉がくっついたものが増えているようですが、

総合的には「ある手段を適切に活用するための知識や能力」ということ。
先程の「子供の頃からリテラシーを身に着ける教育」というのは
自分の頭でモラルを考えて行動する教育ということになるでしょうか。

AIの存在で、差別や暴言など、人間社会のモラルの重要性をより浮き彫りにさせるかのような展開は、皮肉なようですが、メリットとしてとらえたいとも感じます。
また、人間のもともとの能力を明確な形でみれるようになったとも思え、その気づきは事業に生かしていけるのではないでしょうか。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?