「夜ふかしの読み明かし」(読書回)村上春樹著『ノルウェイの森』について
文化放送のポッドキャスト「夜ふかしの読み明かし」という番組で村上春樹著『ノルウェイの森』が配信されていたので聴いてみた。出演者は、西川あやのさん、永井玲衣さん、大島育宙さんです。
西川さんは、8年前に文化放送の新人アナとして初々しいときに聴いて以来だった。哲学や読書について、堂々と語っている成長ぶりに驚きました。
永井さんについては、TBS文化系トークラジオでもしばしば出演されている学者さんなので、彼女の力量を知っていた。
【2023年12月2日
訂正 勘違いしていました。永井さんは、文化系トークラジオには出演していませんでした。】
大島さんについては、この番組で初めて知った。声が良くて、ハッキリとした口調でしっかりと自論を述べている方だと感心しました。ウィキペディアで調べてみると、お笑い芸人ではあるが、東大法学部出身だった。
いつもは、1回で終わるようですが、ノルウェイの森については、丁々発止と議論が進んだため、4回にわたって配信された。
『ノルウェイの森』は、去年の9月に35年ぶり読んで感想文を投稿したが、今回、ポッドキャストを聴いて気づいたことを追記します。
生の側の人は、永沢、突撃隊、ハツミ、緑であり、死の側の人は、直子、キズキ、レイコであると分けた。そして、トオルは、どちら側にも寄り添うことができ、往還の人だと称した。
悪くいえば、八方美人だということになるが、良くいえば、人を分け隔てなく扱えることができるということでもある。
金持ちのボンボンで夜遊びが好きな永沢に対しては、深い共感を抱いているわけではないが、不快感を与えることなく、つきあっていける。そして、キズキ、直子、レイコのように、精神が病んでいる人たちには、寄り添うことができる。
こうした人物は、看護、介護などのケアする世界には、うってつけだと思う。18年間見てきた介護の世界でも、現実的には、稀にしかいなかった。
出演者3人とも、トオルが19歳年上のレイコと、何故、交わるのかと疑問に感じているということが意外だった。永井さんは、トオルはレイコをドッシリしている女性だと感じたからなのかと述べていたが、その通りだと思う。
つまり、トオルにとっては、レイコは巫女的な人ということだろう。だが、レイコ自身は、精神病院を出て、知らない土地に引越しするという精神的にも不安定な状況にあったので、これを払拭するべく、トオルに救いを求めた。トオルも直子を失い、同様に不安定なため、レイコを受入れた、と解釈した。
レイコは去っていき、トオルは気持ちの整理もつかないまま、緑に電話をかけて、ひとしきり喋ってから、緑が口を開いた。
2022年9月5日の記事「村上春樹著『ノルウェイの森』を35年ぶりに読んでみた」を参考用に添付します。
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