『最後まで行く』(2023/日本)
原作は2015年の韓国映画だそうで、中国やフランスでもリメイクされているようです。2023年の日本でも『新聞記者』や『余命10年』の藤井道人監督によって映画化されました。
最初に言っておきますが、冒頭から全然飽きないエンタメ映画としてかなり面白い部類だと思います。
さてあらすじ。
主演は岡田准一なんですが、昨今は無骨な役が多いような印象ですが、今回は情けないクズ刑事を好演しております。
最初からヤクザとズブズブだわ飲酒運転するわで最悪なんですが、さらにはひき逃げまでやる始末。この時点でチェックメイトですが、ひいてしまった男は大きな陰謀の鍵を握る男であり、綾野剛演じるエリート刑事から追われることになり、今までの小さな悪事よりももっと大きな悪事に巻き込まれることに、、という話です。
いろいろレビューを拾いますとクズ刑事とサイコパス刑事の戦いという声が多かったように見えました。サイコパス刑事は綾野剛の方ですが、無表情を装いながら、見えないところで顔をひきつらせるという演技が印象的です。
サイコパスならそんなわかりやすいひきつらせ方はしないんじゃないかと思ったりしましたが、よくよく話が進んでいくと、サイコパスでもひきつるレベルのやばい話になってきたので、さもありなんでしょうか。
映画は最初から緊迫感があり、主人公のクズ刑事が次から次にピンチに巻き込まれるので飽きることがありません。クズ刑事なので彼がピンチになっても感情移入できないような気がするんですが、展開の速さと心配してくれる人たちのおかげで突き放さずに観れました。
対するサイコパス刑事の綾野剛の方ですが、後半になるとこっちの方がやばい奴ということが分かり、あんまり同情はできずにヴィランとして魅力的に映るといったところでしょうか。
あと映画ではお馴染みの癖のある老人として柄本明が出てきます。この映画の話ですが、映画界全体の話として書きます。中田敦彦の松本人志への提言が話題になりましたが、それにかぶせていうと「柄本明、映画でフィクサー役多くないっすか? 少し降りたらどうですか」っていう印象は持ちました。
とはいえ実際のところ、こういう役ができるのは柄本明が真っ先に思い浮かびますし、たくさんの映画で使われるということは需要もあるので別にいいじゃんと思いましたが、中田提言があったので、なんかそういうことも思っちゃいました。本作でも大変良いフィクサーでしたよ。
(採点:★★★★★★★★☆☆)