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登山道整備WSに参加してきた

令和6年9月7日、北杜山守隊が主催する登山道整備ワークショップ(以下WS)に参加してきました
実施場所は日向山。山頂付近が真っ白で天空のビーチの異名のある、百名山ではありませんが人気の山です。

北杜山守隊は定期的に一般の方が参加する登山道整備WSを実施していて、この日は日帰りでのWSでした(1泊2日のWSもあります)
個人的に登山道を整備することに興味があり、以前から何かの形でかかわってみたいと考えていたので、WSの参加者募集の広告を目にしてすぐに申し込みました。

集合場所は尾白川渓谷駐車場。日向山以外に甲斐駒ヶ岳の登山口入り口として有名な場所です

最初に北杜山守隊代表理事の花谷泰広さんよりWS1日の流れと注意事項の説明がありました。
参加者は登山を趣味とされる方や登山ガイドとして活動している方、会社で社長を勤めている方、SNSで活発に発信されている方といろんな立場の方々が参加しています

中央のポロシャツを着たかっこよい人が花谷さん
ピオレドール賞を受賞した登山家としてもとても有名な方です

ここから一旦矢立石駐車場に移動し、ここから登山もとい登山道整備WS開始!
整備に使う荷物を参加者で分担して持ち、登山道を登り始めます。

私はチェーンソーを運びました
本格的活動開始前にあらためてブリーフィング
本日のWSの流れと目的をお話してもらいました
目的の場所までどんどん進みます
みなさんペースが早い…

登山道を登りながら、花谷さんから日向山の概要、登山道の状態、なぜ登山道の整備が必要なのか、という講義を受けます。実地で実際の登山道を見ながら解説を聞くことができるため、とてもわかりやすく頭に入ります

登山道が崩れる最大の要因は水(雨)であること。しかし、その雨が流れる原因を作るのは人間の踏力であること。
人が歩くことにより踏み固められた個所は植生がなくなり土が露出(これを裸地というそうです)。そうなると雨の水が流れやすくなり、水が流れることで土がどんどん削れ、土砂が流れてしまうことで溝(ガリー)ができ、歩きにくくなる
歩きにくくなった部分を迂回して歩くため植生のない結果踏み跡が横に広がり、裸地となり、結果荒廃が進んでしまうそうです。

WSでは度々整備前の写真と照らし合わせながら歩きました
整備前は登山道が雨により削れ、土砂が流出。
深い溝(ガリー)ができてしまっています
整備された後の登山道
水の流れをコントロールするように木が置かれ土砂の流出も抑えられています。歩きやすくなり、周囲の植生も復活しつつある様が見られます

水の気持ちになって歩いてみてください!という指示のもと、登山道の中で水が流れであろう箇所を意識しながら歩いたりしました

また、早く進むことを重視する登山者が登山道をショートカットすることで新たな裸地を作ってしまい荒廃を進めてしまうこともあるそう

日向山は花崗岩の山であり、その土は真砂土と呼ばれる花崗岩が風化したものが中心だそうです。真砂土はサラサラしているため水で流れやすく、人が歩くことで容易に削れてしまうとか
甲斐駒ヶ岳も花崗岩の山であり、日向山と同様に登山道の荒廃が進んでいるそう。同じ南アルプスでも仙丈ヶ岳は堆積岩の山で、甲斐駒ヶ岳と比べると登山道の崩壊はゆっくりなんだそうです
山の地質に合わせた登山道整備の頻度や方法があるとのことでした

午前中はこんな感じで登山道と登山道整備の必要性の解説で終了。午後からは実際に登山道整備の作業を実施しました

整備するのは下の写真の箇所。土砂が流れてしまい深い段差ができています。この深い段差を避けて歩くため踏み跡が広がり周囲には植生がなくなりつつあります。また向かって右側は斜面が崩れてしまっています。

日向山登山道のある箇所。このような箇所はまだまだ
他にあり早く手を加えていきたいとのことです

まずは北杜山守隊の作業リーダーさんから作業方針と一連の流れの説明がありました。どこまでを登山道とするのか。どこに木をおき、何本設定するのか
踏み跡が広がり植生が失われた箇所は土砂止めと人が入らないように工夫して工作します。そうすることで植生が戻ってくるそうです。

植生を戻す部分を指しながら作業リーダーさんが言われた

「こちらの部分は山にお返ししたいと思います」

という言葉がとても印象に残りました

細かすぎす、かといって雑にならないよう
保全が必要な部分を計っています

登山道整備に使う資材は現地にあるものを使いました。あるものを使う、という考えで倒れている枯木や枝、落ち葉、土を集めることから作業は始まります

スリングを利用して木を運びます
なかなかの重量なので数人で一緒に運びました
バケツリレーのように木材を運んだり

ちなみにこの枯木等は土地の所有者である山梨県に許可申請をして使用を許可されているそうです。枯れて倒れたり落ちてるんだから使ってもいいだろ、と思うところですが、これがなかなか難しいところなんだそう。午前中の花谷さんからのお話の中で、登山道の土地の所有者が民間も含めて複数に渡るため整備の許可を取るために申請が複雑なことや現在の法整備状況だと登山道の位置付けが曖昧なので行政としても受注側としても整備が進めにくいというものがありました。このあたりは抜本的な法律上の改正及び制定が望まれるところですねぇ

大きな木の間には枝や落ち葉を敷き詰めました
作業はどんどん進みます

みんなで手分けして、そしてWSということで各自一通りの作業を体験しながら保全作業が進みます
なかなかの作業量ですが、みんな頑張って動きました

そして2時間ほどで作業完了!深い段差をなくし土砂止めで土が流れにくく、広がってしまった登山道を元の大きさに戻るよう細工しています

作業リーダーさんの方針通り、登山道の保全が完成しました
的確な作業方針を示してくれるからこそ、うまくいくことですね!

なかなかの作業量でしたが、登山道がきれいになりとても満足。心地よい疲労感を感じる充実した楽しい作業ができました

最後は参加者全員で記念写真。今回はアミノバイタルが協賛ということで最初に提供いただいたグッズを手に撮影

WSの感想としては、とにかく楽しかった!
1日動いていたのでもちろん疲れは感じましたし翌日はしっかり筋肉痛が出ましたが、登山道の保全ができた達成感と満足感が得られ、まるで長期縦走登山を歩ききった際の達成感を感じました。これは是非ともまた参加したいと思ったしだいです

今回、登山道保全WSに参加して山に対する意識、登山道への意識が大きく変わったようにおもいます。
歩く際は自分が歩きやすいことを最優先で、登山道を痛めないよう歩く、ということは考えていませんでした。しかしWSで学んだこと、何より自ら登山道を補修するということを体験したことにより、登山道をそして山を労りながら歩こう、という意識が自分の中に生まれました。
登山道がどのようにして保全されているのか、どうやって歩けば山を痛めにくいのかを知りたい、山に対しての新たな知見を得たい、登山道整備を体験してみたいといった方は是非とも参加してみてください。きっと大満足の体験ができると思います

※写真は自分で撮影したものと北杜山守隊事務局の方が撮影し、共有していただいたものを使用しています

以下は花谷さんのnoteの引用です


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