himi

流しの編集者。2018年より香港在住。趣味の街歩きを生かして、香港の書店めぐりやロケ地めぐりを楽しんでいます。

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流しの編集者。2018年より香港在住。趣味の街歩きを生かして、香港の書店めぐりやロケ地めぐりを楽しんでいます。

マガジン

  • 香港書店めぐり。時々・・・

    流しの編集者。2018年より香港在住。趣味の街歩きを通して、香港の書店めぐりやロケ地探しを楽しんでいます。香港といえば、グルメにショッピング、そして金融都市のイメージが強いですが、意外と書店や本を販売している店が多く、特にここ数年、個人経営の個性的な書店が増えてきています。そんな書店めぐりの記録です。

最近の記事

【九龍の書店】日本書蟲@深水埗

ディープな下町として知られる深水埗(サムスイポー)。九龍半島の商業の中心地・尖沙咀 (チムサーチョイ)から北へ地下鉄で5駅行ったところにあります。クーラーの室外機が外に張り出した(頭上から水滴が落ちてくる笑)古びた住宅ビル群の間に、秋葉原のような電気街あり、手芸品や衣料品を扱う問屋街あり、B級グルメやストリートフードありと、味わい深いエリアです。 しかし、この数年(特に2019から2020!)、空きの出たテナントに、若者が経営するカフェやギャラリーが入ることが多くなってきま

    • 鳳凰木と『傾城の恋』

      香港では春から夏にかけて、いろんな花が咲きます。その中でも、ひときわ艶やかで盛夏の入り口を告げる花が鳳凰木。気温も30度を超える5~6月ごろ、満開を迎えます。背の高い木の上に咲く朱色の花は、夏の濃い青空とのコントラストがとってもきれい。見るたびに、もう本格的な夏がそこまで来ているんだなという気持ちになります。 さてこの鳳凰木、張愛玲の『傾城の恋』でも出てくるそうです。香港は張愛玲ファンが多いこともあり、何気にネットサーフィンしていたら、記事が目に入ってきました(笑)。 鳳

      • 香港ロケ地めぐり〜「インファナル・アフェア」@沙田・昂坪

        日本でも大ヒットを記録した香港映画「インファナル・アフェア(無間道)」。香港にいることだしと、久しぶりに「インファナル・アフェア」3部作を通して見ていたら、自分の大きな認識違いに気がついてしまいました・・・ヤクザなのに関羽じゃない〜! なぜここで関羽が出てくるかというと、忠誠や仁義で知られる関羽は、香港のヤクザにも慕われる存在。なので、組に入るときの儀式は、関羽を祀るお廟「関帝廟」で行われています。昨年2020年12月には、香港ヤクザ「和勝和」の入会(?)儀式が深水埗(Sh

        • 【香港島の書店】打書釘@銅鑼湾

          「打書釘」は中国語で「立ち読み」のこと。そんな名前の図書館兼本屋さんがあると聞き、行ってきました。以前紹介した貳參書房のSherryさんが、書店を立ち上げる際、参考にしたという書店です。 香港島の繁華街・銅鑼灣(コーズウェイベイ)。なかでも多くの人で賑わうショッピングモール・ハイサンプレイスの裏通りの唐楼に、「打書釘」は入居しています。唐楼とは築50年以上の低層のビルのことで、もちろんエレベーターもありません。ビルの入り口には、小さな看板が出ていました。 写真1枚目:写真

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        • 香港書店めぐり。時々・・・
          22本

        記事

          【九龍の書店】油麻地書院@天后廟

          ガイドブックでもよく紹介されている油麻地の天后廟。天后古廟を中心に観音楼社壇、書院、観音古廟、城隍廟と5つの廟からなる九龍エリア最大のお廟です。 このほど、天后廟の一番右側(南側)にある書院が、リノベを経て、“書店”としてオープンしました。取り扱っているのは、主に香港をテーマにした本。ざっと拾ってみただけでも、歴史、文化、工芸、街道、宗教、祭事などなど、充実したラインナップでした。香港本、特に文化関連を探したい場合、ここは意外と穴場かもしれません。 書店の中央に配されてい

          【九龍の書店】油麻地書院@天后廟

          【九龍の書店】MUSE Art & Books@佐敦 その2

          前回取り上げた「MUSE Art & Books」。その後、引き続き調べていたら、他の独立書店と異なる点があり、面白く感じられたので、再度、書くことにしました。 前回(その1)で書いた通り、「MUSE Art & Books」はアートスペース「MUSE」の一部。しかし、最初から現在の形ではなく、もともとは本棚が1つ置いてあるだけの、展示スペースでした。 「MUSE Art & Books」が生まれるきっかけは、建築家でありStage Hotelでブランディング戦略も担当し

          【九龍の書店】MUSE Art & Books@佐敦 その2

          【九龍の書店】MUSE Art & Books@佐敦 その1

          香港の独立書店といえば、ビルの上層階にあるタイプが多いのですが、「MUSE Art & Books」は、ホテルの地下にある珍しい書店です。文化芸術の活動促進や発信を目的としたアートスペース「THE MUSE」の一部で、同じフロア内にはワインを楽しめるカフェバーやアートギャラリーも入る複合的な空間となっています。 写真1枚目:佐敦(英語:Jordan)にあるホテル・登臺酒店(Hotel Stage)。このホテルの地下にTHE MUSE が入る/2枚目:ホテル玄関左側にあるTH

          【九龍の書店】MUSE Art & Books@佐敦 その1

          【九龍の書店】貳參書房@油麻地

          九龍サイドのメインストリート・ネイザンロード(彌敦道)。その道沿いの商業ビルに入居する貳參書房(イーサム シューフォン)は、2019年10月オープンの新しい書店です。3人の20代の若者、しかも現役女子大生が立ち上げた書店として香港の書店&出版界で話題になり、業界最年少オーナーとたびたびメディアに取り上げられています。 私が最初に見たインタビュー記事はこちら。この他にも、ネットで検索するといろいろ出てきます。 オーナーは、阿翹(アーキウ)さん、Sherryさん、Joyceさ

          【九龍の書店】貳參書房@油麻地

          香港の独立書店が舞台になった小説〜陳浩基「二樓書店」

          日本でも人気を博した香港ミステリー小説『13・67』。その作者である陳浩基氏の近作「二樓書店」(『偵探冰室』所収)では、旺角西洋菜街にある老舗の独立書店が物語の舞台として登場します。 タイトルの「二樓書店」とは2階にある書店という意味で、総じて独立書店のことを指します。家賃の高い香港では、資金力が乏しい小さな独立書店は、賃料の安いビルの2階以上に店を構えるケースが多いことからついた名称です。確かに、大手の書店以外は、書店のほとんどはビルの上層階に店を構えていることが多いです

          香港の独立書店が舞台になった小説〜陳浩基「二樓書店」

          香港ロケ地めぐり〜「淪落の人」@何文田

          2019年公開の映画「淪落の人」(淪落人/STILL HUMAN)。半身不随となった中年男性と家政婦として働くフィリピン人女性の交流を描いた映画で、香港でも大ヒットを記録しました。公共住宅の風景、外国人家政婦による介護、家政婦たちが休日に集まりおしゃべりを楽しむ姿、子供の海外留学など、香港の日常が映画の中にいくつも散りばめられていて、個人的に大好きな映画です。 特に気に入っているシーンは、アンソニー・ウォン演じる梁昌栄の電動車椅子の後ろのステップにエヴリンが乗り、一緒に坂を

          香港ロケ地めぐり〜「淪落の人」@何文田

          【新界の書店】Book B@荃灣

          荃灣(Tsuen Wan)エリアの新しいランドマーク「The Mills/南豐紗廠」。1960〜70年代香港の繊維産業黄金期を支えた南豊集団(Nan Fung Group)の紡績工場をリノベーションして作られた文化複合施設です。香港の産業遺産を伝えるため、活性化プロジェクト(保存と再利用)のもと、2018年12月にオープンしました。 https://www.themills.com.hk/ https://apparel-web.com/pickup/157909 The

          【新界の書店】Book B@荃灣

          香港・独立書店ツアーに参加しました〜香港島4店、九龍3店〜

          もう1年近く前になりますが、コロナ第2波と第3波の合間の2020年5月17日、「独立書店ツアー」に参加してきました。香港では、NPO団体などによるガイド付きの街歩きツアーがよく開催されています。先日、参加した油麻地のツアーは、2級歴史建築に認定されている油麻地戲院と紅磚屋を見てまわった後、老舗の婚礼衣装店で香港の伝統的な結婚衣装を見学。そのあとは戲院で粤劇鑑賞(解説付き)という流れ。少人数のツアーでしたが、よく練られた内容でした。 さて、書店ツアーに話を戻すと、最近の「独立

          香港・独立書店ツアーに参加しました〜香港島4店、九龍3店〜

          【九龍の書店】夕拾x閒社@観塘

          九龍の繁華街・旺角から東へ車で20分ほどのところにある観塘(Kwun Tong)。かつての香港の空の玄関口・啓徳空港(カイタック空港)に近かったことから、香港の工業の中心地として栄えていたエリアです。1998年に空港がランタオ島に移転し、大小様々な工場もコストの安い大陸へと移転。一時期は寂れた工業ビル街の印象でしたが、近年再開発が進んでいます。 観塘は映画のロケ地としても有名。上記の写真(Googleストリートビュー&香港魂さん)は「天使の涙」「九龍猟奇殺人事件」のロケ地・

          【九龍の書店】夕拾x閒社@観塘

          香港ロケ地めぐり〜「ラブ・イズ・マネー」@上環・蛇王林

          トニー・レオンとスー・チーのラブコメ映画「ラブ・イズ・マネー(有情飲水飽/Love Me, Love My Money)」。劇中、ドケチ社長役のトニーとスー・チーが最初に出会うのが、上環にある「蛇王林」です。2001年(ちょうど20年前)の映画なのですが、店内の雰囲気や店構えは現在とほぼ同じ!蛇箱の位置が変わったくらいでしょうか。 ↓10~15分あたりに登場↓ 奥にかけられている「蛇王林」の額は、清代・科挙に合格した挙人に書いてもらったそう(ネット情報) 蛇王林は1900

          香港ロケ地めぐり〜「ラブ・イズ・マネー」@上環・蛇王林

          【香港島の書店】精神書局@ケネディタウン

          ケネディタウンの東にある石塘咀(Shek Tong Tsui)エリア。トラムの走る德輔道西(Des Voeux Road West)から南へ1本入ると住宅ビルが立ち並んでいます。その中の住宅ビルの1階に店を構えているのが、今回ご紹介する精神書局。パステルグリーンでペイントされた外観が可愛らしい小さな書店です。 余談ですが、石塘咀はレスリー・チャンとアニタ・ムイ主演の映画「ルージュ」(胭脂扣、1987)の舞台。石塘咀が1900〜1930年代まで色街として栄えていた頃の話です。

          【香港島の書店】精神書局@ケネディタウン

          【香港島の書店】Books & Co.@ミッドレベル

          赤茶色のレンガに緑の窓枠と英国風な外観のBooks & Co.(華洋書莊)。ハリーポッター映画に出てきそうな店構えは、通りの中でも目を引く存在です。香港島中心部の高台ミッドレベルの柏道沿いにあり、周りには住宅街ほか聖士提反女子中学(聖ステファン女子中学)や香港大学がある文教エリア。通常ならば、通りは登下校する学生で賑わっているのですが、訪ねた時は新型コロナ第4波で学校は休校中。平日の午後の通りは静かでした。 ドラマの撮影場所として使われることもあるそうです(2020年冬、V

          【香港島の書店】Books & Co.@ミッドレベル