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Wandering around Europe: Dec.


Prologue

12月中旬。
キャリーとリュックを背負って旅に出た。
ヨーロッパは石畳でキャリーを引く音が妙に響く。

* * * * *

Prague, Czech Republic

最初の目的地は、チェコのプラハ。
現地に知り合いのいない一人旅はニュージーランドぶりだった。
滞在したのは、1330年代に建てられたとされているHotel Černý Slon。

Hotel Černý Slonの朝食

プラハは今まで旅したどんな場所よりも、歴史の痕跡を感じた土地だった。
それも想像もできないほどに昔の事柄から、世界大戦前後の近現代史の出来事まで、時間の流れとともに守られた街でもあり、壊された街でもある。
その歴史の厚みが東欧ならではで、心が動いた。(どちらかというと、観光客っぽいことをするよりも、その土地で生きた人のことを知り、想いを馳せる方が好きなんだろうな)

高台から見る街並み

かなり言語がネックで、チェコ語は今まで学んだどんな言語(英語、スペイン語、ドイツ語、中国語)とも似ても似つかないからこそ、すぐに出てこない歯痒さと、楽しみきれていないんだろうなという悲しさを同時に感じもした。

最終日はクリスマスマーケットの階段に座り込んで、道ゆく楽しそうな人たちを眺めながら過ごした。気づいたら1時間くらい座っていて、指の感覚が無くなっていた。

* * * * *

London, United Kingdom

プラハからロンドンに飛んだ。
ロンドンはクリスマスな街並みを見ることと、友人に会うために行ったわけだが、風邪を拗らせてしまい、友人といる以外の時間はあまり楽しいとは思えなかった。

混雑した中心街

久しぶりに訪れるロンドンに不思議と心は踊らなかったのが正直悲しくもあった。10年前に訪れた場所も行ったけれど、やっぱり誰と過ごすかに記憶は依存するなというのが正直なところ。かなり暇を持て余した印象。

それでも、ロンドンで職を見つけて働く友人や、同じく大学院で学びを深める同志に久しぶりに会えたことは私にいい影響を与えたことは確かだった。友人が寝る前に出してくれたカモミールティ。あれ以来、カモミールティをよく飲んでいる。

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Paris, France

パリもまた、クセの強い街だった。
インスタグラムやドラマで見る煌びやかな街とは全く異なる様相に、慣れるまではかなり幻滅していた。つくづくメディアへの信頼のおけなさを感じる。

凱旋門を目指して大晦日に移動する人々

ただ、そのギャップを受け入れてしまってからはすごく好きになった街でもある。おまけに、この旅で出会った人たちが親切だった。日本語で話そうとしてくれるスタバの店員さんや、バゲットを買ってきてくれたAirbnbのホスト、丁寧に対応してくれたフレンチのおじさん。

本場フレンチレストランのカボチャのスープ

他の国よりも、食べ物なんかをよく知っていたからこそ、楽しめるポイントが多かったようにも感じる。ニッチな香水屋さんでお気に入りの香水と出会って、自分への誕生日プレゼントにした。

香水のセレクトショップ"nose"

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Tromso, Norway

最終目的地は、トロムセ。地球を感じる旅。
これまでで一番長い滞在で、これまでで一番苦難の多い旅だった。

14:00でこの暗さ

「祖父の見たオーロラをこの目で見たい」
そう思って訪ねた土地だったのだが、あいにく連日の大雪と大雨でオーロラを見るコンディションが最終日まで整わなかった。

まさに「地球のきまぐれ」。人間にはどうにもできないこと。祈ってもお金を払っても、何も変えられない人間の小ささ。そんなことを考えながら、最終日にフィンランドまでバスで向かった。

ノルウェーから内陸のフィンランドへ。

2時間いたけれど結局現れず、落ち込んでいた帰り際にうっすらと現れたオーロラは、言われなければ気付かないほど地味なものだった。それでも、感動するくらいには心踊る体験だった。

肉眼では確認できない微弱なオーロラ

この時期のトロムセの冬は日が上らない。そんな体験も初めてで、こんなにいろんな表情を持っているこの星が好きだなと改めて思えた。

* * * * *

Epilogue

そんなこんなで無事イギリスに帰ってきた。
長旅の疲労とともに、誰にも干渉されない一人の静けさがたまらなく幸せだとも感じる。課題をこなす日々が、「お帰りなさい」と目の前で腕を広げているのをぼんやり眺めながら、頭はあれこれ違うことを考えているのであった。

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