占い師から歯並びをキレイにした方が良いと言われて歯科矯正を決意したら大変だった話し ep15
『ルパン三世 sweet lost night 〜魔法のランプは悪夢の予感〜』(再)
術後2日目。
結局、眠たいのに苦しくて眠れず、夜勤の看護師さんの香水?柔軟剤の香り?で更に気分も悪くなるという夜中の苦行をなんとかやり過ごし、ハッと目を覚ますとお昼前だった。どうやら、少しだけ眠れたらしい。
夜中、頭上でけたたましく鳴っていたアラームも落ち着いている。そもそも、なんのアラームだったんだ。
「いつもは、元気な子なんですけどね」
「またすぐに元気になられますよ」
目を覚ましても意識はまだぼんやりとしていて、母の涙声が聞こえて来て一気に罪悪感が襲って来る。
そもそも、なんでこんな苦しい思いをしてまで手術しなきゃならんのだ!と、ここにきて矯正のきっかけとなった占い師の顔が浮かんでイライラが蘇る。とにかく、ひたすら気分が沈み込んでいく。
そんな私に追い打ちをかけたのが、顔面の腫れと皮膚の剥けと吹き出物だった。鏡を見ると、え?ボクシング世界選手権でも出て来たんですか?といわんばかりに腫れあがってるし、両頬には冷やすために冷えピタを貼っているがそれに被れて皮膚が剥けてぼろぼろと落ち、吹き出物まで出来上がる。
手術して、良いことなんて一つもないんじゃね?と、普段のネガティブに輪をかけてネガティブを発動する。
そんな私の元へ、ペコちゃんがやってきた。
「具合どうかな?」
「(二度とやりたくないです)」
「二度とやりたくないって言ってます」
身振り手振りだったが、母は私の言いたい事をすぐさま理解してくれた。
さすが、母親だ(涙)
「あはは!二度目はないから大丈夫だよ!!」
ぺこちゃんは憎らしいくらいの笑顔で笑っている。そして、どのくらい血液が排出されているかをチェックして颯爽と去って行った。
2日目の夜になると、1日目よりはすこーしだけ楽になった気がする。
そこで、ふとルパンの再放送の日だ!と思い出した。
点滴に繋がれていない左手でなんとかリモコンに手を伸ばす。力が入ったせいか、尿道に突っ込まれたドレーンを伝って尿の生暖かい感覚が足に伝わる。屈辱的だ・・・。
そして、なんとかテレビの電源を入れ、視線だけで映像を追う。
その瞬間、見事に眩暈がカムバック。撃沈して、すぐにテレビを消した。
そんな2日目の夜。
次回、『自由』