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僕がマイクラをやる意味が分かった|SAGAものスゴフェスタ9レポート

こんにちは、ヒヅメです。

僕は建築士として働いているんですけど、それ以外にも漫画家として本を出したりマインクラフトで一級建築士試験の問題をモデル化したり、まあなんかいろいろやってるんですね。

実際に作ったマインクラフトモデル

んで、こういった活動が目にとまって、今年の夏に開催された「SAGAものスゴフェスタ9」というものづくりイベントの1コンテンツとして、マイクラモデルを提供して参加者に遊んでもらうというお仕事をいただいたんです。

詳しくはこちらに記事を書いています。

まあ本当にマインクラフトのモデラーをしている人たちからすると、僕の作品は別に驚くほど凄いものではないと思うんですよね。ただ僕は建築士でもあるので、構造を無視しないモデルの作り方や、実際の法規との照らし合わせとか、そういった視点は持ってるかな、という気持ちで活動していました。

ほんと、世の中のモデラーの作品って凄いんですよ。

ただ、今回このイベントに参加して、子供たち(参加者)の作品作りに接していく中で「これこそ僕がマイクラを仕事としていく上で重要なことなのかもしれないな」と強く感じたことについて今日は書きたいと思います。


1. マイクラの子供人気は本当にすごい

ヒヅメが作ったSAGAサンライズパークのマイクラモデル

マイクラって世界で一番売れているゲームなんですよ。知ってました? しかも2位のGTA5と比べても確か5000万本くらい差を付けている圧倒的な1位なんです。

…ただその実感はあんまり持っていなかったですね。

好きに建築できるゲームなのに建築士仲間でマイクラをしている人なんていなかったし(みんなお仕事お疲れ様です)、学生の友達や親戚も少なかったし。

今回のマイクラコンテンツの定員は、1クラス30人×3クラス×2日間=180人というものだったんですが、正直「まあ定員が満たせたら御の字だなー」くらいに思ってたんですよ。「佐賀県でマイクラしてる子供ってどんだけいるんだろ?」みたいな。

そしたらその何倍もの申込があって! マイクラの子供人気って本当なんだなーというのを始めて実感しました。

しかもただ参加しただけじゃなくて、結構やりこんでいる子供が多かったですね。正直マイクラの詳しさじゃ全然かなわない。

2. ただ親御さんはどうしていいか分からないっぽい

ヒヅメが作ったSAGAサンライズパークのマイクラモデル

今回のコンテンツは、僕が作ったSAGAサンライズパーク内で、子供たちがチームを組んで、テーマに沿ったアレンジをパークに加えていくというものでした。

正直、いざみんなが作業を始めたら僕はやること無いんですよね。笑

もうみんなすっごい真剣な表情で作業に取り掛かって質問する暇も無い、みたいな。操作で分からないことがあっても参加者同士でどんどん解決していったり、近くにいたスタッフに物おじせず聞いてみたり。

ただ、その中で僕が気づいたのは、夢中になっている子供たちをあたたかく見つめながらも「よく分かんねえな」って感じで佇んでいる親御さんたちでした。

ただでさえ、ゲームって分からない人には分からないじゃないですか。しかも子供たちは物凄い勢いでブロックを積んでいくんで、画面には高速でブロックを積み上げる手しか映ってないし。

中には実際に相談も受けたんですよ。「学校でも家でもあまり話さない、または引きこもっているのに、マイクラだけは一日中やっていて、どうマイクラと向き合えばいいのか分からない」みたいな。

僕も、1歳の子供がいるので「これは他人事じゃねえな」と思ったんですよね。

だってゲームならまだ分かるけど、僕が全然興味無いし分からないものに子供が夢中になったとして、その凄さや面白さを共感してあげられるかな? って。

そこでビビビっと来たんですよ。「あ、僕が今回ここにいる意味はこれだ」って。

3. 子供が何やってるか分からない親への橋渡し

これは佐賀の栄光橋

今回のお仕事の1つとして「子供たちが作った作品の内いくつかを講評をする」というのがあったんですよ。

自薦他薦で募ったり、僕がピックアップしたりして、時間の限り講評をしていきました。まあ講評って言ってもそんな偉そうなことじゃなくて、僕がその作品やその子のどういったところに凄いと思ったのかを伝えていったんですね。

そこで意識したのが「子供がいかに凄いことをしているかを、なるべく簡単な言葉で、しかも建築士”っぽく”親御さんにも説明する」ということです。

お店に従業員用の出入口を作ったという子には「お店には従業員がいて、その人たちには専用の出入口があることを理解しているんだね。物をよく見ているんだね」と言ってみたり

予め図面を作ったので限られた時間内でも目指したものが作れたという子には「僕ら建設業界には『段取り八分』って言葉があってね、事前にきちんと準備をすれば仕事の八割くらいは完了したって意味なんだけど、その年齢でもうそこに気付いたんだね。しかもちゃんと本番で成功させたんだね。これはなかなか出来ることじゃないよ」と言ってみたり

これを「トラップドアで跳ね上げカウンターを表現したんだ」とか「ドット絵の設計図作ったんだ」とか言っても、マイクラが分からない親御さんには伝わらないでしょう?

そういった解説は、ゲームになんとなく疑義を抱いている親御さんの場合、よりネガティブに囚われちゃう気がしたんです。

なのでここは「一級建築士」という威を借りて(いや一応一級建築士ですよ? …うん)、「おお、なんかうちの子が一級建築士の人に認められている」って感じさせちゃおうと。

そうすれば、もしかしたら次に子供たちの作品を見た時、どこかへ連れて行った時、ふとした時に「うちの子ってこんなとこまで見てるんだ。それをゲームで表現してるんだ。すげえな」って共感できるかもしれないじゃないですか。

そしたらもう僕はこのイベントに参加した意義ありまくりというか、本当に感無量ですよ。

実際、子供たちは本当によく物を見てるし、よくそれを表現してきます。むしろ僕が子供たちをナメてました。

4. 親御さんには正しく”威”を借りてもいいんじゃないかな

僕は仕事の延長線で一級建築士を取得したのもあって、一級建築士という「資格」自体に凄さは感じないんですが、よく分からない人に対してはそれなりの威力を発するようです。

意匠、構造、内装、設備、ランドスケープ、法規、施工、積算に管理…そういった「一級建築士っぽい」視点から、僕が得た感動を分かりやすく解説するということは「なんかよく分からんけど、ゾンビ倒すゲームばっかやってる」くらいの親御さんにとっては凄く有効なようでした。

子供はどちらかというと「ふーん」って感じだったり「とにかくたくさん褒めて」って感じが多かったんですけど、親御さんは僕が講評している間やっぱり目がキラキラしてましたもん。笑 「ウチの子そんなすごいんだ」みたいな。はい、実際に凄いんですよ。

中には「どうやったらそんな風に上手に褒められるんですか?」って聞いてきてくれた親御さんもいました。

 (ちなみに回答は「日々自分が感動するポイントをたくさん探して、なぜ感動するのかを考え、その感動を誰かに伝えること」です。客観的に優れているかどうかは関係なく自分視点であるという意味で「褒め」とはちょっと違うかもしれません)。

そのことをイベント司会者にも共有しまして。毎回司会の方が僕の紹介の時にやたら持ち上げてくれるんですけど、もう途中からは「そうです。一級建築士で漫画家もしていて、このワールドも僕が作りました」って乗っかることにしました。嘘じゃないし。

一応念を押しておきますけど、嘘はダメですよ? 一級建築士って結構簡単に免許剥奪されますからね?

5. オフラインだからこその熱量

さて話はずれましたけど、以上で書いてきたことはオフラインだからこそ気づけたことではあると思います。

オンラインイベントでいくらカメラをオンにしたところで、それを見守る親御さんたちがどういう接し方をしているかまでは分かりませんしね。

ちなみにこのコンテンツは全て満員御礼で、イベントの終了時刻ギリギリまで人でごった返していました。子供たちも親御さんたちも僕らも提供したSurfaceも、みんな凄い熱量でしたよ。

特に数人が真面目に作業し始めると、他の参加者にも次々とその熱が伝播していく感じ、なんなんですかね?

オンラインで世界とつながれる、共同作業できることは間違いなくマインクラフトの強みなのですが、今回はオフラインならではの熱量や見える景色の違いを感じました。

6. SAGAものスゴフェスタにぜひご参加ください

僕が話したのはものスゴフェスタの100以上あるコンテンツのたった1つです。会場も大盛況、マイクラコンテンツも大盛況だったので、ぜひ来年もお声がけいただけたら嬉しいなーと願いつつ、来年もこの楽しいイベントにみなさんもぜひご参加くださいということで今日の記事をしめます。

みなさん本当にありがとうございましたー。

7. マイクラでものづくりが楽しい子供はぜひMinecraftカップに参加

年に1回、日本全国の子供たちがテーマに沿ってマインクラフトワールドを制作する「Minecraftカップ」というものがあります。

参加作品はすべて公式HPで見ることができますし、全国大会まで進むとプロマインクラフターを始めとする豪華審査員に作品を見てもらえます。そして何より目標が出来るので制作に対する真剣度が一段階上がりますよ。個人でもチームでも参加出来るので、来年の夏休みの自由研究にも行けそうです(今年の分はもう締め切ってます)。







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